第二十四話 生まれながらに最強ベイビー
魔族が人間を殺すのは、延命のためだった。
「だが、なぜ人間なんだ?魔物ではダメなのか?」
「うむ、魔物では我らの延命にならん。そもそも魔族の延命に繋がるのは“進化因子”だと言われている。」
「「「「進化因子?」」」」
俺たち全員が首を傾げると、魔族は困ったように言う。
「進化因子というのは進化するために必要なエネルギーのことだ。例えばゴブリンがホブゴブリンに進化するのにも進化因子は必要だ。」
「だが、それならばゴブリンを狩ればいいじゃないか。」
アルフォンスさんの答えに、魔族の男は「否。」と答える。
「進化因子にも質がある。例えばこの街の人間と同じ数のゴブリンを狩ったとして、得られる因子は1日分の延命にしかならぬ。」
「そんなに少ないのか!?」
「あぁ。進化因子は強さに比例してその質も良くなるが、それでも魔物では効率が悪すぎる。」
「……だから人間をってことか。」
「うむ!人間から得られる進化因子の質は驚異度Sの魔獣に匹敵する!驚異度Sの魔獣を狩るのと人間を狩るのとでは、どちらが簡単かは明らかであろう?」
うーん、言わんとすることはわからなくもない。
ないんだが、狩られる側からすればふざけるなって話だしな。
実際、アルフォンスさんも怒りのせいか顔を真っ赤にしてプルプルしてるし。
「貴様!人間を何だと思っているんだ!!」
でもこの魔族、ふざけているけど実力は本物だ。
実は天眼でステータスは看破済みだ。
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名称:宵闇の魔族
個体名:なし
驚異度:S −
攻撃:3576
防御:5342
魔攻:6847
魔防:5149
俊敏:2578
技能:《宵闇》
《闇魔法》
《暗黒魔法》
称号:《宵闇の魔族》
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はっきり言ってバケモノだ。
しかも俺たちにとって不利な防御型。
一番低い俊敏値でも2000を超えている。
だが一番やばいのは、この《宵闇》という技能。
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《宵闇》
・効果
夜間ステータス上昇。
闇魔法、暗黒魔法の威力上昇。
影を踏んでいる間、対象の動きと能力を封じる。
・説明
宵闇を司る技能。宵闇に関するものの全てを支配することができる。
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いやチートじゃん。
効果の上二つはいいとして影踏み、君は許さん。
それだけならともかく、天眼に備わった説明機能によると、この技能は闇に関する全てを支配することができるらしい。
それが本当なら、今ある俺たちの影からいつ攻撃が飛んできたとしてもおかしくはない。
つまりは、戦いは始まる前から終わっているってことだ。
この場で生き残るためには、魔族を追い返すしかない。
だがどうする?
たとえこの場で生き残ったとしても、周囲の森にはリザードマンの大群が押し寄せている。
リザードマンを操っているのは、おそらくこの魔族だ。
この魔族をどうにかして説得しなければ、リザードマンとの戦闘で多くの血が流れる。
何か、何か手はないのか___
「お、お前が魔族なのか?」
「うん?誰だお前は。」
現れたのは、ギルドの中から出てきたドバノン。
声も最初の頃とは違い小さく、心なしかやつれているように見える。
……ってか、さっき見たのと別人みたいになってるんですけど!?
筋骨隆々だった身体は痩せこけ、頭髪は薄く皺だらけ。
魔族が来てからまだ10分くらいしか経ってないのに、匠も真っ青なビフォーアフターだ。
本当に、彼の身に何があったのだろうか……。
そんなハゲ老人となったドバノンは、その外見に似合わない勇猛果敢な態度で歩み出た。
「儂は王都冒険者ギルドマスターのドバノンだ。常闇の魔族……と言ったかな?先程の話は聞かせてもらった。」
「ふむ。それで貴殿はどうするつもりだ?」
ハゲ老人となったドバノンはまるで清流のように流れる動作で
土下座をした。
「お願いしますこんなところで死にたくないんですどうか命ばかりはお助けをぉぉぉぉぉっ!!」
「「「「「えぇ……?」」」」」
俺たちどころか、魔族の方まで呆れる始末。
ちょっとこれは……引くわ。
「おい、ギルドマスター。それはないだろう。」
「あぁ、流石にそれはない。」
老師たちもドン引きするという前代未聞の事態。
だがドバノンの命乞いは止まらない。
「人間がご所望なら王都中の奴隷商から選りすぐりの奴隷を集めさせていただきますなのでどうかご容赦願いますぅぅぅぅっ!!」
「クズだな。」
「人間のクズですね。」
「堕ちるところまで堕ちたか、ドバノンよ。」
流石に自分が助かりたいからって、他人の命を捧げるなよ……。
てか、そんなことするくらいなら___
「自分で犯罪者を捕まえたらいいじゃん。」
「「「「……あっ。」」」」
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