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感謝のSS8 野営カルボナーラ

ブックマーク35件記念です。


これは王都に向かう途中の野営でのこと。


「不味いな、牛乳が腐ってしまう…… 」

「何で牛乳なんか持ってきたのよ!? 」

「安かったんだよ! 悪いか!? 」

「悪いから言ってるのよ! 」



一緒に馬車に乗っていた冒険者パーティーの一組が、食材の管理を怠ってしまったらしい。



「老師、牛乳って割と珍しいよね? 」


「そうだな。輸送中に腐ってしまうことがほとんどで、まともな保冷技術がないと取り扱えない代物だな。」



お、おう。思ったよりマジな解答が出てきたぞ?


確かに牛乳なんかは腐りやすいから、腐っていないうちに料理しておきたいものだ。



「そのくせチーズなんか買ってきて、まともな食材も買ってこれないの!? 」

「チーズはまともな食材だろう!? 」

「あんなカビの生えたものが食材? 何いってるのよ! 」



「チーズ!? この世界にチーズあるの!? 」

「おいハルト、何がお前の琴線に触れたのかは分からんが、一旦落ち着け。」



チーズは、俺が探し求めていた食材の一つだ。


とろーり伸びるあの食感と舌触り。


前世での大好物だったチーズに、まさかこんなところで出会えるなんて!



「すみません! ちょっといいですか!? 」

「うおっ!? びっくりした…… 」

「なによあなた? 」


「チーズって、あの火を通したら伸びるチーズですか!? 」

「あ、あぁ。他にも、粉チーズもあるけど。」



粉チーズ!? 粉チーズもあるの!?


これは料理せずにはいられない!



「そのチーズで、料理を作らせてくれませんか!? 」


「えっ? 俺はいいけど。」

「私は構わないよ。それよりも、牛乳とチーズを処理してくれるのならありがたいわね。」



かっちーん。


このお姉さん、チーズを愚弄するとは頭にきました、頭にきましたよこれは。


いいだろう、目に物見せてくれるわ!


覚悟しときな!



----------



「というわけで目に物見せてやります。」

「何がどうなったらそんなことに…… 」



今回作るのはカルボナーラだ。


実はカルボナーラは、山を登っていた登山家が、バックにあった食材を全部ぶち込んでできた料理なんだそうだ。



「そんな適当な成り立ちだったんですか!? 」



諸説あるがね。


だから、カルボナーラにふりかける胡椒は窯で焼いてできた“焦げ”の再現だとか。



「へぇー、確かに焦げに見えなくもないですね。」



まぁ、見えないだろうけど。気分だよ気分。



「ところでマスター、カルボナーラって卵を使うイメージがあるんですけど、卵ってありました? 」

「…… 」



やっべぇ。


卵、絶賛品切れ中。



「えぇ!? どうするんですか!? 」



おおお落ち着け、アイ。


そもそも卵を使うレシピは卵を生で食べるレベルの安全品質が求められる。


だから、野営でカルボナーラを作る時は卵は使わない方が良い……はずだ!



「ふーん……? まぁ作るのはマスターですし、任せますよ。」



ふぅ、焦った。


では卵を忘れた時のカルボナーラ、作っていこうか!



パスタを茹でつつ、鍋でベーコンを炒める。


その鍋で牛乳を煮るわけだが……


ここで新兵器コンソメキューブの登場だ!



「やっと作ったんですね。」



うるせぇ、作るのにどれだけかかったと思ってんだ。


このコンソメキューブを牛乳の入った鍋に入れ、コトコトと煮込む。


この時、沸騰させると牛乳に膜が張って美味しくなくなるから、注意!


で、パスタが茹で上がったら、皿に乗せておく。



「で、どうするんですか? ソースはまだできていませんよ? 」



うぜぇ。


牛乳の入った鍋にパスタの茹で汁と薄力粉を加える。


こうすることで、ソースにとろみがついて、カルボナーラのようなトロッとしたソースになる。



「へぇ、パスタの茹で汁も加えるんですね。」



パスタの原材料は小麦粉、オリーブオイル、卵、塩などいろいろあるからな。


カルボナーラに入れて問題ないどころか、いいことしかないからな。


ただ、この時茹で汁と一緒に加えるのは薄力粉だけだ!


そうしないとダマになって食感が台無しになるからな!



「パスタの茹で汁だけでも大丈夫そうですけどね。」



そこら辺は好みの問題だ。


俺はトロッしたのが好きだから、今回は薄力粉を加えるぞ?


最後に粉チーズや削ったチーズを混ぜて、パスタにソースをかける。


お好みで粉チーズや胡椒を振りかければ……



「よし、カルボナーラの完成だ! 」




----------



「お待たせしました! 」

「待ちくたびれたわ。味の方はどうなのかしら。」

「わぁ、すごく美味しそうだね。」



前者と後者の差だよ、これ。


さぁ、お姉さんよ。


その泣き顔を拝ませろ!



「もはや発想が変態ですよ。」

「アイ、お口チャック。」



チーズは偉大なんだ。


チーズを愚弄したからには、それなりの泣き顔を拝ませて貰わなくては。



「では…… 」

「「「「 いただきます! 」」」」



俺とアイもいただくことにする。


老師の分はない。忘れていた。



「ん!?これは…… 」

「「「 美味しい! 」」」


「この牛乳の質がよかったのか? なめらかな舌触りと粉チーズの旨味がたまらない! 」

「マスター、美味しいです! このチーズの味がすごくパスタに合ってます! 」

「ハルト君、これはすごいね!? チーズと牛乳の味が密接に絡み合って、新たな味に昇華しているよ! 」


前世を含めて食べたカルボナーラで、一二を争う美味しさだ!



これはあのお姉さんも泣いて___



「うぅ…… 美味い…… ぐすっ…… 」



マ、マジで泣いてる!?


どうしよう、118番? 118番!?



「118番は海上保安庁ですよ?」

「アイ、お口チャック。」



「ハルト、飯は___何やってるんだお前? 」


「違う老師、誤解だ! 」

「まだ何も言ってないのだが…… 」



この後誤解は解けたものの、老師のご飯は作られることはなく、老師は一人泣いたという……



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