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第二十話 くノ一(ケモミミ)

投稿遅れました。

てへぺろ☆



「ヘイ、マスター! あの豚どもを殺っておしまいなさい! 」

「そのセリフだけですごく殺る気が失せるぜ。」




俺たちはオークの集落と忍者らしき格好をした少女を発見し、オークの集団に攻撃を仕掛けようとしていた。


もっとも、俺が攻撃せずともアイが特攻を仕掛けそうではあるが……




「さぁ、豚さん! かかって来るのです! 」


「豚さん!? 豚さんですって! キャワイイ!! 」

「落ち着け、そしてうぜぇ。」



俺の後方(アイ)がうるさいので、さっさと片付けるとしよう。



___風の術裏!



俺は風を刀身に纏わせた。


その様子は、まさに荒れ狂う竜巻の如く。



「おい、ケモっ娘! 道を開けろ! 」

「ッ!! 」



俺の言葉に反応したのか分からないが、少女は俺の間合いから離れた。


そしてようやく、俺は纏わせていた風の刃を解き放った。




「《天剣術》 “鎌威太刀(かまいたち)”ッ!! 」




プギャアアアアアアッ!?!?


解き放たれた風の渦はオークたちを一掃し、斬り刻む。


だが___




「やべっ!? 威力強すぎた!? 」

「何やってるんですか、マスター? 」




思ったよりもスッと力が入り、予想より威力が強くなりすぎてしまった。


それは抜きにしてアイは後でシバく。




「ヘイヘイ、ピッチャービビってるぅ? 」

「う、うぜぇ……! 」




煽るような表情で言われることで腹立たしさが倍増する。


しかもそれ、ピッチャー(オーク)じゃなくてバッター()のセリフだろ!?


しかもピッチャーいないしさ!?




「もはやツッコミが追いつかないよ…… 」

「何やってるのです!? 豚さんの残党が来るのです! 」



おぉ、近年稀に見るキレの良いツッコミ……!


傍らの少女にキラリと光るツッコミの才能を感じながら、俺はオークの討ち漏らしを目で追う。




「ざっと15匹くらいか…… 」

「半分は私が倒すのです! 」

「「え、マジで? いけるの? 」

「おつかいじゃないのですよ!? 」




あぁ、このすっきりとした爽やかなツッコミ……


騒々しさと喧騒の間に忘れていたもの___ボケツッコミの重要性を噛みしめながら、俺は少女に答えた。




「夕方までには帰るのよ! 」

「だからおつかいじゃねーですよ!? 」



そう言い残し、彼女は旅立った。


さて、俺も残りのオークを狩らなくては。



だがここで問題がある。


ズバリ、風なら威力が強すぎるのだ。


そもそも《天剣術》は環境の影響を受けやすいのだが、今日はなぜか、いつもより風が強く吹いている。


明日ごろには雨が降るのだろう、空が曇っており、天気が良くないことがわかる。


この状態で、良い感じにオークを狩る方法は……



「焼き豚にしても怒られないかな? 」

「何を考えてるのか知りませんけど、弱火なら大丈夫じゃないですか? 」



よし、アイに責任転嫁しよう。


多少の焦げは見逃される、はずだ!



___火の術裏!



この不安定な天気の中、太陽の光の影響を受ける火の術裏は威力が弱まる。


つまり、手加減ができる!


……ちょっとは焦げるけど、まぁそこはアイさんに任せましょう。



「天剣術 “散斬華(さざんか)ッ!! 」



シャラン、と鈴の音のなるような動きで俺は戦場を舞う。


俺が通り過ぎるたびにオークの体には切り傷が増え、やがてその身体は切り裂かれた。


俺が倒したオークは8体ほど。


残りは……6体か。




「マスター、こっちもなかなかすごいですよ。」




アイに声をかけられそちらを向いてみると、先程の少女がオーク6体を一度に相手にしていた。




「大丈夫なのかよ。 」

「さぁ? でも長い間、オークの攻撃を避け続けてますね。」




彼女の方を見てみると、オークたちが振るう棍棒を紙一重で避けている。


この数を相手取るのは至難の業だ。


見かけによらず、この少女はなかなかの手練れなのだろう。



___と、そんなことを考えているうちに、決着がつきそうだ。



「《短剣術》 “しだれ桜”ッ!! 」



おそらくはスキルの派生技なのだろう。


オークたちの頭上から舞い降りる彼女は、まるで桜の花びらが散るようにオークたちを翻弄する。


そしてついに、彼女の持つ短剣が最後に残ったオークを仕留めた。




「そっちも終わったようだな。ちっこいのにすごいな、お前。」


「お前、じゃなくてサクラなのです!それとちっこいは余計なのです! 」




サクラ、と名乗ったその少女は、頬を膨らませこちらをジト目で見つめた。


ちっこいって言ったのに不満があるのはわかるが、そんなことをしてもウチの変態(アイ)が喜ぶだけだぞ?




「ハァハァハァハァハァハァ……! 」

「いろいろ末期かもな、お前。」

「ひぇっ!? この人、怖いのです……! 」




ほーら、ビビられてやんの!




「そ、そんな……!? 」


「まぁこの変態はさておき、お前はなんでこんなところにいるんだ? 」




サクラは俺の言葉に顔を俯けた。


なるほど、これは訳ありかな……?




「俺たちは依頼が終わったから、もう帰るぞ? 」

「マスターの人でなし! 」




変態に言われたくないな!?


俺は厄介ごとに巻き込まれるのはごめんだ。


というわけでさっさと……




「ま、待つのです! 」

「どうした? まだ何かあるのか? 」

「そうじゃないです。依頼ってオークの集落の調査ですか? 」

「? そうだが……。」



なんでこの少女は俺たちの依頼の内容を知っているのだろうか。


この娘が暗殺者……という線は無さそうだが。



「わ、私もその依頼を受けてきたのです。」

「え、マジ? どの受付で受注した? 」


「えーっと、確かテレサさんという方です。」



テレサァァァ!! 何やってんだお前ぇぇぇ!!


依頼のブッキングはそうそう起こらない……というか受付のミス以外で起こらないのだが……


まさか登録初日にそんな目に遭うとは……



「サクラと言ったか、お前、ランクは? 」

「D級なのです。だったらなんなのです。」


「いや、俺たちの受けた依頼はC級用の依頼だったからな。」


「え?でも私のはD級って…… 」


「よし、ギルドから慰謝料をふんだくるぞ! 」




このような依頼のランク分けは、冒険者ギルドの独自の判断基準で仕分けられているが、高ランクの依頼が低ランクのものとして張り出されていた場合、依頼達成の有無に関わらず、関係者全員に慰謝料が配られる。


テレサさんのメンタル? そんなことは知らん。


冒険者は命を張って魔物を討伐する仕事だ。


その安全が脅かされようものなら、冒険者ギルドの信頼は地の底に沈み込むだろう。




「? まぁ私は報酬金がもらえるなら構わないのです。」

「心配だなぁ、おい。」




そのうち報酬金の高さだけで高難度の依頼を受けてそうなんだが……


この少女の将来に不安を感じながら、俺たちは王都へ帰還した。



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