第十八話 ミッション・おそらくポッシブル
「よっしゃあハヤテ! 準備はいいか? 」
ギルドで冒険者登録をした俺は、ランクアップを狙ってB級冒険者のジャックと対峙していた。
「いつでもいいよ! 」
「よし、それじゃあ来い! 」
ジャックはそう言って、訓練用の鉄製の盾を構えた。
B級冒険者にもなると、新人冒険者の育成能力も重視される。
半端な攻撃では、ジャックの意表を突くことすらできないだろう。
「本気で行くよ! 」
だから怪しまれない範囲で、本気で勝ちに行く。
俺は木剣を上段に構えた。
___ 土の術理!
土の術理は、大地のありとあらゆるものに作用する。
しかしその性質は防御に特化しており、必ずしも強いとは言えない。
しかし、その性質はこの地のみならず___
「《天剣術》___ 」
天の頂___ 星の領域にまで届く!
「___ “綺羅星”ッ! 」
上段に構えた剣に星の力を纏わせ、俺はジャックとの距離を詰めた。
「てやぁぁぁぁ!! 」
「くっ…… んなろっ!? 」
ジャックは盾を構えて対抗しようとするが、そんなものではこの斬撃は防げない。
この斬撃は地を割り、山を砕き___ 星をも穿つ。
「はぁぁぁぁぁッ!!! 」
「ぐわあぁぁぁっ!? 」
俺の予測通り、放った斬撃はジャックの構えていた盾を切り裂き、それでも殺しきれない勢いでジャックに襲いかかる。
俺は思った。
やべぇ、やり過ぎた!?
「まだまだぁぁぁぁぁッ!!! 」
「嘘だろ!? 」
ジャックは腰に装備していた木剣で俺の斬撃を受け流した。
盾で半分以上勢いが殺されていたとはいえ、これは予想外だった。
「はぁ…… はぁ…… 凄まじい威力だな、その技! 」
「何でそんなにピンピンしてるんだよ…… 」
だが、真に恐ろしいのは、コイツが“綺羅星”を受けて平然としていることだ。
本気ではなかったとはいえ、綺羅星をも防ぎ切る実力。
これがB級冒険者の実力か……
「凄いな、ジャックさん。」
「さん? ジャックでいいさ。それよりどうする? まだやるか? 」
「もちろん! 」
俺もまだまだ実力を出し切れていない。
勝負はこれからだ!
俺とジャックさん___ ジャックは目を合わせ、再び切り結んだ。
ガガガガガガガガッ!!
無数の斬撃が互いに繰り出され、互いに打ち消し合う。
言葉にすればそれだけ。
しかし言葉を持ってしても表現し難いほどの攻防戦。
これを見ていた誰もが息を飲み、目を見張らせた。
「うおっ!? 今当たらなかったか? ほら今も! 」
「うるせぇ、集中できないだろ!? 」
「いいから黙って見とけ!お前らさっきからうるさい! 」
だがこの攻防は、長い時を経て決着を迎える。
「ぐあっ!? 」
ジャックの放った斬撃を俺は躱し切れず、遂に隙を突かれ攻撃を食らってしまう。
「勝負あったな? 」
「くっ……! 」
喉笛に木剣を突きつけられ、俺はどうすることもできず、降参した。
「…… 降参だ。」
「「「「「 おぉぉぉぉ!! 」」」」」
「ジャック、お前凄いな! 」
「新人君も、ナイスファイト! 」
勝負を見ていた冒険者たちが次々に賞賛の声を俺たちに浴びせる。
ジャックだけでなく、負けた俺も讃えられるのには驚いたが、褒められたのは素直に受け止めた。
「それにしてもハヤテ! 凄いな、あの技! 」
「“綺羅星”のことか? 」
「そうそう! まるで魔法みたいだったぜ! 」
やはり、《天剣術》は魔法みたいに見えたようだ。
それでも魔法と言い切られないのは、今の容姿が獣人で、魔法が使えない種族だからだろう。
アイと老師に助けられたな。
「そうだ! ジャック、チャレンジの結果はどうだ? 」
俺は元々、冒険者のランクを上げるためにこのチャレンジを受けたんだった。
勝負に熱中して、すっかり忘れていた。
「ん? チャレンジ? 何の話だ? 」
「あれ? 」
ジャックは何も知らないような顔をしてこちらを見た。
どういうことだ?
もしかして、チャレンジ云々は受付嬢さんのデマだったのか?
「あぁーっ! ジャックさん、ここにいらしたんですか!? 」
「あ、テレサさん! やっほー! 」
そんな話をしていると、訓練場に受付嬢さんがやってきた。
「そんなに急いでどうしたんですか? 」
「それが、ジャックさんの担当の訓練生が今日は休みで…… 」
「ん!? ハヤテ、お前訓練生じゃなかったのか? 」
訓練生?
一体何の話だろう。
「ハヤテさん、訓練生とは見習い騎士のことです。騎士団に入団する予定のC級以上の冒険者をジャックさんは指導されています。ジャックさんはS級昇格を期待されている、A級冒険者なんですよ!
」
「ちょっと待て、テレサちゃん。ハヤテは訓練生じゃないよな? 」
「はい?ハヤテさんは今日登録に来られたはずですが…… 」
「それじゃあハヤテのランクは…… 」
「今日登録したばかりだから、まだ決まってないな。」
「「「「「「 はぁぁぁぁ!?!? 」」」」」」
「登録したての新人だったのかよ!? 」
「俺もてっきり訓練生の新入りと思ってたぞ!? 」
「世界は広いなぁ…… 」
「新人にしても、凄い戦闘力ねぇ…… 」
「え、皆さんどうしたんですか? 」
「「「「 テレサちゃん…… 強く生きろ。」」」」
「な、何なんですか、皆さん揃って!? 」
その後、事情を把握したテレサの悲鳴が訓練場に響き渡ったのは、言うまでもない。
その日、テレサはギルドに残り、今回の仕事を徹夜で片付けることになるのだが、それはまた別の話……
どこまでいっても星が欲しい。
この作品が面白い、と思ってくれたそこのあなた!
高評価、ブックマーク登録をどうぞよろしくお願いします!
評価は下の☆を押して★に変えるだけ!
だから押していって!何卒!何卒ー!




