第十四話 お前か!
「はぁ……はぁ……思ったよりも遠かったな。」
俺とアイは街から脱出するために衛兵のマックさんを探して、衛兵の宿舎に来ていた。
〔でも、マックさんは本当にいるのでしょうか?〕
「君の探知がポンコツだからこんなことになったんだよ?」
〔だからポンコツとはなんですか!?私はスーパーエリートなAIなんですからね!?〕
自分のことをエリートと言う奴は大体頭が悪い。
これテストに出るからよく覚えておくように。
〔ぐぬぬ…… 〕
いや図星かよ。
「とりあえず門の番をしている人に聞いてみよう。」
そう言って俺は門番の衛兵にマックさんの行方を聞こうとしたのだが___
「……ねぇ、あれってどう見てもマックさんだよね?」
〔……はい。どこからどう見てもマックさんです。〕
門番の男は見るからにマックさんとそっくりだった。
いや、話してみないことにはわからない!
「こんにちは!マックさんいますか?」
「ロールキャベツ」
確定!こいつはマックだ!
いや待て、決めつけるのは良くない。
もしかしたら生き別れの双子の兄弟という可能性もなくはない!
〔それはちょっと無理があると思いますけどね……私も驚いてます。〕
そんなこんなしていると、宿舎の中から誰かが現れた。
「あれ、ハルトくん?今日はどうしたの?」
「あ、ロッテリアさん!」
現れたのはマックさんの後輩、ロッテリアさんだった。
「いや、マックさんに用事があってきたんですけど……この人ってマックさんですよね?」
「何言ってるの?マック先輩に決まってるじゃない。」
間違いない!こいつはマックだ!
でも、確かにアイは街中でマックさんを見かけたはずだが……?
じゃあ俺たちは、一体何を追いかけていたのだろうか。
「あ、もしかして先輩、お酒を買って来たんじゃないですか?」
「ロールキャベツ」
ん?
「酒?マックさんが?」
「そうそう!先輩はお酒が大好きなんだけど、衛兵のイメージに関わるからっていって、あんまり堂々とお酒を飲まないのよ。」
「ロールキャベツ!」
「違わないですよ。今日も記念もののウイスキーが出るからって、こっそり仕事をサボっていたんですよね?先輩?」
「……ロールキャベツ?」
「なんのこと?じゃないですよ!私知ってますからね!」
ちょっと待て。
マックさんがウイスキーが買いたくて街にいたのはわかった。
でもなんでロールキャベツで会話が成立してるんだ!?
「先輩は表情の変化がわかりやすいですから!それによく聞くと抑揚とかもちょっと違いますよ!」
「ロールキャベツ」
だめだ、さっぱりわからない。
そもそもこの人の表情筋は仕事をしてないだろ!?
なんでロッテリアさんはそんなことまでわかるんだよ!?
〔マスター、そんなことよりも!〕
「あぁ、そうだったな。」
俺は一旦心を落ち着かせて、マックさんにこう言った。
「マックさん、おやっさんは死んだよ。」
「……そうか、グレゴリウスは死んだか。」
「「〔言葉を喋った!?!?〕」」
このタイミングで喋り出すのかよ!?
しかも渋めなイケボが腹立たしいなオイ!?
「それで、私に何の用だ?」
「実は___ 」
俺はマックさんに、あったことの全てを話した。
親父が死んだこと、おそらく暗殺者に殺されたこと、俺も狙われていること。
自分の持つ情報をありったけ放出した。
「そうか、そんなことが……。」
マックさんはしみじみと呟き、親父が死んだことを悔やんだ。
ただなんというか、日頃のマックを知っているからこそ違和感が凄い!?
そんな心の格闘をしていると、マックさんはこう言った。
「ところでハルト、グレゴリウスから、私のことは何か聞いているのか?」
「いや、特には。」
「そうか……あのバカは……!」
青筋を立てながら頭を押さえ、親父をバカと呼ぶマックさん。
なにそれ恐ろしい。
「ところでハルト、行き先はどこにするんだ?」
「ああ、そうだった。」
俺は考えていた行先を告げた。
「王都だよ。」
「よりにもよって王都か!?危険だぞ!?」
「暗殺者は俺を探してる。木を隠すなら森、人を隠すなら、人の集まる王都って訳。」
「なるほど……それならなんとかいけるか?」
マックさんはしばらくブツブツと呟きながら悩んだ末、俺の方を見ていった。
「よし。この私、先代剣聖マクドネルがお前を王都に送り届けてやる。」
先代!?
「先代ってことは親父……おやっさんの前の剣聖!?」
「ああ、そうだ。しばらくの間よろしくな、ハルト!」
……一つ言わせてくれ。
「ロールキャベツはなんだったの!?」
「好物だよ!?悪いか!?」
「売上に貢献してくれてありがとう!?」
「どういたしまして!?」
〔……まるでどこかで見たような光景ですね。〕
SSの時間軸は本編と異なります!
グレゴリウスの死ぬ前、ぐらいに思っていてください。
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作者のやる気とモチベと上腕二頭筋が膨れ上がります!




