感謝のSS7 たたききゅうり・はざーど
ブックマーク登録25件記念のショートストーリーです!
「ハルト!ハニーエール1つ!」
「ハル坊、こっちは3つ頼むぞ!」
「はいはい、ちょっとまってね!?」
〔今日は一段とお酒の注文が多いですね?〕
「黄の蜜熊亭」は普段では考えられないほど賑わっていた。
だが、なぜこんなに客が増えたのだろう?
「はい、ハニーエール3つ!」
「おお、サンキューな!それとハルト、3日後は空いてるか?」
「ん?一応空いてるけど、何かあるの?」
「いや、近々祭りがあるらしくてな?一人で行くのもなんだし、一緒にどうだ?」
へぇ、こっちにも祭りがあるのは知ってるが、この街で祭りがあるのか。
今日の人の多さもこれが原因かな?
一体なんの祭りなんだろう?
「なんの祭りなの?」
「世界中のエールとワインが集まる酒祭りだ!」
「却下。」
「なんでだよ!?一緒にいこうぜ!?」
嫌だよ!?
絶対むさ苦しいおっさんしかいないじゃん!?
かわいいねーちゃんをよこせ!
〔マスター、セクハラを撒き散らさないでください。〕
わかったからアイさんや、恐ろしく冷え切った声でそんなこと言わないでおくれ。
風評被害で俺が死んでしまいそうだ。
〔そんなに気にしなくても、マスターが変態なのは周知の事実ですから。〕
なんか今変なルビ振ったよね!?
〔気のせいです。〕
気のせいですか、そうですか!?
「おっちゃんは売り子のねーちゃんは可愛い方がいいと思うよな!?」
「何を当たり前のこと言ってるんだ?そんなの決まってるじゃないか!」
「「売り子のねーちゃんは、可愛い方が良い!!」」
〔うわぁ…… 〕
「やっぱ俺も一緒に行くぜ。」
「本当か同志よ!あ、できたら何かツマミを持ってきておいてくれ。」
「任せとけ、やめられなくて止まらないのを持っていく。」
「マジか、頼んだぞ!」
〔だめですね、変態の発想は理解できません。〕
だから変なルビを振るな!?
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というわけで祭り前日です。
〔で?何を持っていくんですか?かっぱと海老のお煎餅ですか?〕
やめろ、そのネタを持ち出すな!?
最悪この作品が消される!
〔マジですか?〕
マジです。
〔ふぅ。じゃあそれは置いておいて、何を作るんですか?〕
そう、俺が作るのは___
「たたききゅうりだ!」
だ……だ……だ……
と俺の声が厨房に木霊した。
〔あれだけ言っておいて、たたききゅうりですか?手抜きですね。〕
たたききゅうり舐めんな、こんにゃろ。
世の中には塩で酒を飲む人だっているんだぞ?
〔料理を作る手間も惜しんだんですね。〕
お黙りなさい。
こうなったら、無限に食べられる最強のたたききゅうりを作ってやる!
というわけで、まずはきゅうりを叩きます。
〔普通は麺棒で叩きますよね?〕
そんなものはない。
〔えっ?ないんですか?〕
そんなものはないッ!
そんなもの、おやっさんがとうの昔に質屋に売っ払ったよ……。
〔あっ……なるほど。〕
だが、そんなものは要らん!
俺は麺棒の代わりにあるものを取り出した。
〔えっ、それって包丁じゃないですか?〕
「積年の恨みッ!!」
俺は包丁の腹をきゅうりに向け、勢いよく拳を包丁に叩きつけた。
〔マスター!?気でも狂いましたか!?〕
落ち着きたまえ。
さぁ、きゅうりをご覧なさい。
〔えっ、綺麗に叩けてます!〕
そう、これこそが知恵の力だ!
「ハルト、今厨房からものすごい音が聞こえたんだが……?」
「ヒエッ!?なんでもないよ!?」
あっぶね〜〜〜。
冷や汗がバシャバシャと溢れ出るぜ。
〔グレゴリウスさんは大きな音がしたと言っただけですが?〕
そそそ、そのぐらい気付いてましたけど!?
〔痩せ我慢しなくてもいいんですよ?〕
やかましいわい。
さて、この叩いたきゅうりを一口大にカットして、醤油、炒りごま、ごま油、塩昆布、お好みでニンニクを混ぜることで作った特製ダレに和えれば……
「たたききゅうりの完成だな!」
〔早いですね!?〕
酒のつまみに時間なんてものはいらないのだよ。
「さて、明日に備えて早く寝るか。」
「ハルト、少し食べてみても良いか?」
「あぁ、良いよ。じゃあおやすみ…… 」
だが翌朝、俺はたたききゅうりの恐ろしさを体感することになる。
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翌朝。
「悪い、ハルト!全部食べちまった!」
「マジかよおやっさん!?」
軽く10人前はあったたたききゅうりは、ものの見事におやっさんの胃の中に吸い込まれていた。
「いや、美味すぎて止められなくてな!悪い!」
「今日の晩飯抜き。」
「すんません勘弁してくださいどうかそれだけは許して。」
許さん。
結局、俺は途方に暮れたおやっさんを放置して祭りの会場に向かった。
「おうハルト!ツマミは持ってきたか?」
「もちろんさ!朝見たらおやっさんに食べ尽くされてたから、作り直してきた。」
「マジか。」
「マジだ。」
そう言いつつ俺はこの世界では珍しい日本酒を、おっさんは芋焼酎を片手に乾杯をした。
「乾杯どうする?」
「ん〜……。台湾に乾杯!」
「乾杯!」
こんなものである。
ところがたたききゅうりを一口食べると、おっさんは焼酎を放り出して一心不乱にきゅうりを貪り始めた。
「おい、おっさん?」
「ウマウマウマウマウマウマウマウマ……」
「いや怖いよ!?」
ところがこれを見て、近くにいた酒飲み達もきゅうりを一口食べた。
「おっ?美味そうなきゅうりじゃん!」
「ほう?きゅうりとは渋めのチョイスじゃのう?」
「「いただきます!」」
あとは言うまでもなく…
「「ウマウマウマウマウマウマウマウマウマウマ……」」
キュウリゾンビの誕生である。
この連鎖は幾度となく繰り返され、気がつけば……
「あれ!?キュウリがもうない!?」
「「「「「何ィ!?!?」」」」」
あれだけあったキュウリも、底を突いてしまった。
「キュウリがないと俺はもう生きていけない」
「キュウリなしでは生きていけない体になってしまった」
「キュウリイズビューティフル」
「キュウリなしでどうやって生きていくんじゃ!?」
「キュウリを寄越せー!」
「「「「「キュウリ……キュウリ……」」」」」
キュウリハザードの勃発である。
「大変だ、みんな逃げろー!」
「「「「「うわぁぁぁぁぁ!?!?!?」」」」」
「待て、髪を引っ張るな!それはキュウリじゃない!これ以上はハゲる!?」
「おい、それは俺のズボンだ!やめろ俺が社会的に死ぬ!?」
「あぁっ!?ボクのハイポーション!?」
こうして、街はキュウリゾンビに制圧された。
祭りが始まってすぐに起きたこの騒動が制圧されたのは、それから2時間後のことであった。
またこの祭りをきっかけに、酒飲みにキュウリを渡してはいけないという暗黙の了解がさだめられたという……。
次回はブックマーク登録が35件になったら投稿します!
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