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第二話 俺ってこんなに強かったっけ?

しばらく投稿の頻度を早めます。

カクヨムは11時に投稿します。

後良ければ高評価お願いします(切実)

〔条件の達成を確認しました。スキル《ものまね》はスキル《模倣》に変化しました。〕



「は?」


〔スキル《模倣》から派生技能が発現します。技能《スキル模倣》《武具模倣》《経験スキル化》《スキル複製貸与》が発現しました。〕




ちょっと待て、待って欲しい。



まず前提として、俺たちは選定の日にステータスプレートとスキルを授かる。


そこで授かったスキルは生涯()()()()()()()()、この日に人生が決まると言っても過言ではない。


なにせスラム出身の若者にとっては人生で一度の出世のチャンスだ。


この公平さが時に弱者に微笑み、時に強者に牙を剥く。


神の気まぐれとも言えるこの儀式は、良くも悪くも公平だ。



スキルが変わったと言う事例は存在しない。


そのはずなのだが、アナウンスは事実そう言った。




「……聞き間違いか。」


予想外のこともあり、集中が途切れた俺は「黄の蜜熊亭」に戻った。



----------




「はい、どうか2枚のお釣りです。」


「いつもありがとうね。美味しかったわ〜。」


「またいらしてくださいね。」




次の日。


結局変わったことが怒ることもなく、今日も食堂のホールの手伝いをしていた。




「ハルト!そろそろ交代だ!」

「おやっさん、やっぱり交代のペース早くなってない!?」



「気のせいだ。働け。」

「いやそれ俺が言いたいのだが!?」




こうしておやっさんと軽口を叩き合える日々も、悪くはないのかも……




「おらぁ〜!しゃらくせぇんだぁよぉ〜!!」




バキッ!

と机が割れる音がした。


どうやら酒癖の悪い冒険者が悪酔いしたらしい。


まぁ問題を起こさなければいいが……




「おらぁよぉ〜!なぁ〜にこっちみてんだぁ〜!?」


「いや何も見てないんだが。」

「うるせぇ〜〜!!」




バァン!

と哀れな冒険者が犠牲になった。


あの手の酔っ払いは無視すれば良いのに。


そろそろ潮時かな……


と思っていると




「あんた、そろそろ頭冷やしなさいね。」

「あぁん?誰だぁばばぁ?」




常連のおばちゃんがついに酔っ払い冒険者に口を出してしまった!




「ここは飯を食う場所だ。酒に呑まれる場所じゃないよ!あと誰がばばぁだって?」


(おばちゃん、かっけ〜!)




おばちゃんだけじゃない。


お客さんは少なからず皆不快に感じていたのだろう。




(一従業員として、不甲斐ないな…)




と、自分の行いを反省していると……




「うるせぇ、ばばぁはすっこんでろ!」




なんと、酔っ払い冒険者は常連のおばちゃんに対して手を振りかざしたのである。



「ちょっ、まじかよ!?」




冒険者が一般人に暴行を加えた場合、冒険者には多大なペナルティが課される。


しかしその制度も、あの冒険者の頭にはないのだろう。




(くそっ、今の俺の力じゃ……)




さっきの机の壊れ方から見るに、あの冒険者はおそらく腕利きだろう。


戦闘系のスキルも所持している可能性が高い。


俺のスキル《ものまね》では太刀打ちできないだろう。


ふらふらと彷徨いながらおばちゃんに迫る冒険者を横目に、俺は考える。




(どうすれば……)




すると突如、俺の目の前にSF映画のようなウィンドウが現れた。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


模倣するスキルを選択してください


+持久力アップ

+体術

+火魔術

+剣術


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「は?」



突如のことに気が動転する。しかし___




「とっととくたばれよぉ!」




冒険者は今にもおばちゃんに差し迫ろうとしていた。


おばちゃんも冒険者の希薄に気圧され、身動きが取れないでいる。




(よくわからんが……このウィンドウを信じるか!)




俺はウィンドウの欄の中から《体術》をタップした。


すると___




〔模倣スキル《体術》を習得しました。残りスロット数は6です。〕




アナウンスが流れた直後、俺の中で変化が起こった。


習ってもいない体術の型、人体の構造、対人先頭の心得、狙うべき急所……




(わかる!これなら……いける!)




すぐさま俺は冒険者に向かって駆け出した。




「あぁん?誰だぁテメェ!」




冒険者はそう言い、俺に裏拳を放つ。


俺はそれを___




バシィッッッ!!!




拳で受け止めた。




「な、なにぃ!?」




冒険者は驚いているが、大したことではない。


先程の知識の応用技だ。


力を受け流し、自身の力に変える奥義___




(“破天流 柳風”ッ!!)




「ハァッ!!」



俺の繰り出した裏拳は、冒険者の頬を的確に捉え___




パァンッ!!!

「へぶぅッ!?」




冒険者は衝撃でよろめき、正気を取り戻した。




「あれ、ここは……?」

「お客さん、酔うのは構いませんが、ほかのお客さんに迷惑をかけるのはダメですよ…?」

「ヒィッ!?す、すまねぇ!すまなかった!」




こうして、「黄の蜜熊亭」に平穏が戻った___と言いたいところだが……




「ハルト、火喰い鳥の串焼きはまだか?」

「あ、ずるい!私たちもハンバーグがまだなんだけど!?」

「ロールキャベツ」




「やべっ!?注文滞ってた!」




客たちの食欲は止まるところを知らず、俺は休みを返上して働く羽目になった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



???の異世界常識コーナー


火喰い鳥の串焼きは、この世界ではポピュラーな料理である。火喰い鳥の肉そのものに含まれるピリリとした辛さを生かして調理された串焼きは、料理人の腕によって味が千差万別だ。【宮廷料理人 ペデロ】のオリジナルレシピは、東国の調味料“麹”やヨーグルトなどに漬け込んだ肉を数十種類のハーブを調合した香草塩で味付けするか、東国の調味料“醤油”と“味醂”、ロイヤルハニービーが集めた蜂蜜を混ぜ合わせた秘伝のタレに漬けて炭火で焼き上げるものだ。その香りは嗅いだ者を虜にし、食べた者を昇天させるほどの味を誇るのだとか……。


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