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第十話 継承、そして……


「疲れた…!」


俺はそう言って、自分の部屋のベッドに横になった。


「まさか、今日が定休日だったとはな…!」

〔すみません!私もすっかり忘れてました…。〕


シーサーペント討伐を終えた俺たちは、食堂の勤務時間が迫ったため「黄の蜜熊亭」に急いで戻ったのだが、なんと今日は定休日であった。


シーサーペントとの戦闘で体力を消耗していた俺は、急いで戻ったこともあってだいぶ疲弊していた。


「この後はどうしようか?」

〔マスター、シーサーペントの素材で《武具模倣》をしてみてはどうですか?〕


うーむ、MPの回復次第だが……


「ステータス!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


個体名:ハルト

種別:人間種/男

HP:1834/1834

MP:1024/1153

攻撃:634

防御:743

魔攻:661

魔防:524

俊敏:795

スキル:《模倣》

    技能《スキル模倣》

      《武具模倣》

      《経験スキル化》

        《超速宮廷料理術》

        《ストレージ》

      《スキル複製貸与》

    スキルストック:《体術》

           :《アイテムボックス》

           :

           :

           :

           :

           :

   :《天眼》

    技能《解析鑑定》

      《見切り》

      《天剣術》

称号:《凄腕シェフ》

   《限界突破》

   《天剣士》

   《ヒットアンドアウェイ》

   《剣聖見習い》


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「お、MPはだいぶ回復してるな!」

〔そうですね!大体1000MPもあれば十分でしょう。〕


1000もあれば大丈夫らしい。


HPも全快だし、やってみるか!


「よし!アイ、《武具模倣》を発動してくれ。」

〔了解しました!スキル《武具模倣》を使用します。イメージ(設計図)を送ってください!〕


イメージは硬く、鋭く。

おやっさんのカリバーンを参考に、俺が扱いやすいようにイメージしよう。

片手剣から、両手剣に。

カリバーンよりも刀身を広く。

シーサーペントのような、荒々しくも繊細な印象をそのまま剣に乗せる!


イメージ(設計図)の送受信が終了しました。技能《武具模倣》を発動します!〕

「ふぅ、これで一段落ついたかな?」


その時だった。


自分のスキルだからだろうか。


俺のイメージに何かが作用するのを感じた。


「ぐっ……なんだこれ!?」

〔マスター、大丈夫ですか!?〕


目の前で作り変わっているシーサーペントの牙が光り輝き、意志を持っているかのように動き出す。


俺の思い描いた姿よりも長く、重く、鋭く。


カリバーンとは似て非なる存在となったその()


おそらくはシーサーペントだろうか。


その何かは俺にこう言った。


___私を使え、人ならざる者よ。


光が収まったとき、俺の手の中には一振りの刀が収まっていた。


「アイ、《解析鑑定》を。」

〔は、はい!〕


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


【水竜刀 冰怒羅(ヒュドラ)


シーサーペントの牙を用いた、【竜剣 カリバーン】とは異なる姿。その刃に触れた者にはヒュドラの怒りが降り注ぐだろう……


武具技能:《サーペントスラッシュ》

     《冰怒羅の一撃》


《サーペントスラッシュ》:蛇のようにうねる水の斬撃。一定確率で対象に麻痺を付与する。

《冰怒羅の一撃》:1日に一度、MPを半分消費して撃つことができる。威力は消費MPに依存する。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「強すぎない!?」


想定よりも遥かに強い。


だが、そうなると怖くなるのがMP消費だ。


俺はこれを作るのに一体どれだけのMPを使ってしまったのか。


「アイ!俺のMPはあとどのくらい残っている!?」

〔確認します……えっ!?〕

「どうした!?」


〔そ、それが……マスターは()()消費していません!!〕

「な、なんだって!?」


そんな馬鹿な!?


《武具模倣》は少なからず100MPは消費するはずだ。


無から有を生み出すには少なくともそれだけの代償は必要なのだろう。


そんなスキルでこれだけの武具を作って、何の代償もないはずがない。


「まさか、シーサーペントが……?」

〔マスター、シーサーペントがどうかしましたか?〕


「なんだって?」


どういうことだ?


あの声は、アイには聞こえてなかったのか?


……もしくは、俺の___


「聞き間違いか。」


〔でもマスター、これどうします?〕


「まぁ、できた物は貰ってしまおう。使い道もそれ以外無さそうだし。」


〔それもそうですね!ラッキーだと思いましょう!〕


この時、俺はその声を聞き間違いということにした。


だがこの声の正体がわかるのは、案外すぐのことであった。



----------



翌日


「おやっさん、剣ができたぞ!」


俺はおやっさんに剣を見せ、俺が剣聖に相応しいかを確かめて貰っていた。


「おぉ、ついにできたか!じゃあ見せてみろ!」

「おう、しっかりみてくれよ!」


そう言って俺はおやっさんに、できた剣を差し出した。


「ふむ……水の魔法剣か。」

「わかるのか?」

「あぁ。魔法剣は刀身に属性の膜のようなものがある。カリバーンなら紫。お前の冰怒羅なら青だな。」

「へぇ、そんなことまでわかるのか。」


その後10分ほど眺めた後、おやっさんは俺に剣を返してこう言った。


「ハルト、お前の剣聖の適正を告げる。」


「……(ゴクリ)」





「文句無しに合格だ!おめでとう!」


「〜ッ!ありがとうございます!」


合格、と言われたとき。


俺の中に込み上げるような喜びが生まれた。


うれしい、たのしいと言った言葉で表せない、もっと根本的な喜び。


そういったものが、俺の心を駆け巡った。


それが達成感によるものなのかはわからない。


だがこの瞬間、誰かに認められる喜びを俺は噛み締めたのである。


「俺は手続の関係もあって、しばらく留守にする。ハルト、留守中は任せたぞ!」


「あぁ、任せてくれ!おやっさんこそ、しっかり頼むぜ!」


「当たり前だ、この野郎!」


その夜は二人で飲み明かし、肩を組んで笑いあった。


そしておやっさんは、俺の剣聖の手続のために王都に出向いた。


それから、一ヶ月が過ぎ、二ヶ月が過ぎ___


おやっさんは帰ってはこなかった。



追記


この世界の成人は18からなので、ハルトはお酒を飲めます!

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