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第九話 なんかデカくない?


「いや、デカすぎだろ!?」


シーサーペントのあまりのデカさに、俺はそう叫んだ。


___シャァァァァァァッ!!!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


名称:シーサーペント

個体名:なし

脅威度:A

攻撃:584

防御:486

魔攻:324

魔防:494

俊敏:318

技能:ウォーターブレス

   スネークバインド

称号:《川崩し》


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〔マスター、このシーサーペントはA級を遥かに逸脱しています!〕

「なんでこんなデカブツが川底に___ 」


ズビシィィィン!!!


「〔うわぁぁぁぁ!?〕」


俺たちが話している隙を狙って、シーサーペントは俺たちの立つ地面を尻尾でぶっ叩いた。


そのおかげで局所的に地震が発生し、俺は立つことが困難になっていた。


「ぐっ……一体これは……?」


〔わかりません、可能性がある称号の解析を急ぎます!〕


「くっ…!早めに頼むぞ!」


そんなこちらの事情など知らず、シーサーペントは攻撃を続ける。


『クァァァァァッ!!!』


「今度はなんだ!?」

〔おそらく、シーサーペントの技能___ウォーターブレスです!〕


ウォーターブレス。


確か他のブレスと違い、圧縮された水流がレーザーのように噴き出す攻撃だ。


〔推定、あと3秒です!〕

「早いな、おい!?」


そしてその直後、シーサーペントの口からブレスが放たれる。


その動きを目で捉えながら、俺は術理を繰り出した。


『ガァァァァァッ!!』


「おらぁっ!!」


___天剣術 “水瀑布”!!


気と魔力で練り上げられた水の壁が俺の前に現れ、シーサーペントのブレスの勢いを相殺する。


「くそっ、このままじゃキリがない。アイ!称号の解析はまだか!?」


〔マスター!たった今完了しました!ウィンドウを表示します!〕


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

《川崩し》

一つの川を再起不能な状態にまで追い込んだものに贈られる称号。

自身が地形破壊を起こした際、地形変化にボーナスが入る。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「これが原因か!」


おそらく地面を叩きつけたことで、地震という地形変化ボーナスが入ったのだろう。


だが、自然という条件なら!


〔こちらが有利ですね!〕


敵のカラクリがわかったところで、状況は変わらない。


チャンスは、次に敵が地形破壊をするまでの一瞬。


「このチャンス、逃すものか!!」


そして俺は剣を鞘に収め、気を練り始めた。


___天とは、すなわち自然


気は、魔力とはまた違ったエネルギー。


___自然とは、すなわち超常


その力は万物を育み、その力は……


___故に、天とは……


「万物を討ち滅ぼす力となる!」


俺は鞘から剣を引き抜いた。


さぁ、気は満ちた。


海蛇よ、覚悟はできたか?


さぁ、刮目せよ!


「ハァァァァァッッ!!!」


___天剣術 “雨穿ち”!!


天剣術を習得するにあたって俺が覚えた5つの術理の一つ、水の術理。


その中でも、攻撃に特化した技が“雨穿ち”だ。


それは神速の突き技。なれどその突きは岩をも穿ち___



ザァァァァァンッ!!!


『シャァァァァッ!?!?』


万物を切り裂く水の刃と成る!



----------



その海蛇は、ある日群れからはぐれた。


海蛇は必死に生きた。


やがて海蛇は、強靭な肉体と強さを手に入れた。


海蛇は好きに生きてみることにした。


ある日は波を起こして遊び、またある日は人間を丸呑みにして食べた。


しかし、どれもつまらなかった。


何もかもが退屈だった。


やがて海蛇は陸を目指した。


自分にないものを探すために。


海蛇は陸に上がるために川を遡った。


そこで休んでいると、一人の男がやってきた。


海蛇は男と戦った。


海蛇は、自分の強さに疑いを持たなかった。


ゆえに男が自分のブレスを防いだ時、海蛇は驚いた。


___こいつは何故生きている?


次の瞬間には、海蛇は首をばっさりと斬られていた。


海蛇は、その男に殺された。


___なんなんだ!?あの闘い方は!?知りたい、もっと知りたい!!


だがその海蛇は心の空腹を満たして死んだ。


海蛇は死に際に悟った。


___私が欲していたのは、闘いだったのか?


そして海蛇の生涯は終わった。


----------



〔いやー、かっこよかったですよ?マスターのちゅうに___ 〕

「うわぁぁぁぁっ!!やめてくれ、天剣術を使うとああなるんだよ!」


だからやめろ、過去の傷口に岩塩をまぶすな!


おやっさんのスキル《天剣術》は、MPと“気”を使って自然の力を操る魔術___もとい剣術だった。


今まであまり実践を積んでこなかったこともあって、自分が起こした惨状に自分が一番驚いてしまった。


俺の使った“雨穿ち”は、突き技。


しかしその実態は、水の流れを利用して生み出した刃で敵を切り裂く斬撃だ。


今回の場合至る所に水があったため水刃の生成が早く、強度が高かったためあのシーサーペントを一太刀で葬ることができた。


〔とりあえず、素材を持ち帰りますか?〕

「そうだな。《ストレージ》!」


そして俺は、新しいスキルを発動した。


シュルルルル……


と、俺の手に現れた魔法陣がシーサーペントの亡骸を吸収していく。


〔それにしても、我ながら本当に便利ですよね。〕

「本当にな。《アイテムボックス》持ちのおっさんに感謝だぜ!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

《ストレージ》


《アイテムボックス》と《超速宮廷料理術》の食材管理術を融合し、アイが作成したスキル。

吸収したものを保管し状態を固定することで《アイテムボックス》に無い半永久的に食材などの状態を保つことができる機能を組み込んだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


《アイテムボックス》の完全上位互換である。


《アイテムボックス》を持っていたおっさんも商会の上の方の立場であったが、《ストレージ》を知られれば完全にお払い箱だろう。


まぁ俺は、商人になるつもりはないけどね!


〔マスター、そろそろお昼休憩が終わりますよ?〕

「まじかよっ!?急げ急げ!」


そして俺は、「黄の蜜熊亭」に戻った。



----------


アイの異世界常識コーナー


術理とは、数ある剣術スキルの使い手達がそのスキルに合うように編み出した“技”である。

天剣術の術理としては、次のものがある。


火の術理…攻撃性の高い、火を使った技

水の術理…受け流しや柔軟性に特化した技

風の術理…スピードに特化した、風や草木使った技

土の術理…カウンターに特化した、大地を利用した技

雷の術理…全てに特化したものの、扱いづらい最強の術理


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