(29)
「アルフレッド……」
「ララタ……」
「好き」
「えっ? えっ……再会して開口一番にそれ?!」
「それと、呼び戻すのが遅い」
「普通はそれが先なんじゃないかなあ……」
「いいの、一番に伝えたかったの。うれしくない?」
「うれしいけど」
「神殿で言おうとしたのよ。でもそれができなくって」
「僕も神殿で……指輪を渡そうと思って」
「指輪?」
「お試しじゃなくて、僕の后になって欲しくて……それで――ああ、恰好がつかない!」
「別にわたしの前でも恰好つけなくていいよ」
「いや、でもさ……」
「ふふ。機会はいくらでもあるでしょ? わたしはこれからたくさんの好きを言うよ。今まで言えなかったぶんと、それから死ぬまで言うぶんがあるからね」
「それは僕こそが言いたかった……!」
ひどくロマンチックでない、いつも通りの空気の中で、ふたりは想いを伝えあった。
その後は王様とお后様に結婚したいと伝えたら、ふたりの想いは多くのひとに筒抜けであった事実がわかったり、巡り巡って月の神の神殿が夫婦和合の御利益があるとされ、例の廃れ神殿が王都近くに移設されることになったり、アルフレッドの側室を迎えない宣言でゴタゴタするも、ララタと一〇人の子を儲けてうるさ方を黙らせたりと色々あるわけだが、今のふたりにはまだ知る由もないことである。
ロマンチックでなくとも、いつも通りの幸せに満ちたふたりをもって、今は筆を置くことにする。




