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叙事詩 タロットラプソディー  作者: fengleishanren
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Canto 4. 契約

 大精霊や精霊たちとの契約。これにより、術者は霊力を代償として彼等の力を借りて様々な現象を引き起こす事が出来る様になる。また、78枚のタロットカードそれぞれに宿った精霊は、術者が持つカードのイメージに呼応して実体化して術者を助けてくれる。通常は、一人の最高レベルの術者がカードを介して一人の精霊と繋がるのがせいぜいで、ごくまれに二人以上と契約可能な者がいる程度。それも、複数同時に力を顕現させる事は出来ず、いちいち個別に呼び出さなければならないが、ルナたちは少しばかり違った。


 一方、大精霊との契約ではカードを介する必要は無いが、親密度により大精霊の行動の自由度が変わる。術者の霊力を使う事は変わらないが、独自の判断で術者の利益や安全を守る為に行動するのだ。それは、時には術者が意図しない事も含まれる。

【Canto 4. 契約】

-タロットイニシエーションが無事終了。

いったん三人は解散するが、新しい変化は確実に始まっていた。

力ある者との契約により大きな力を振るえる様になった

フラーマの暗躍で新たな(えにし)が出来る。この縁こそ

ルナを歴史の大舞台へと引き込む事になる。



 「終わったようだな」 いつになく優しい目線をマヤに向け

投げかけたのはフラーマだ。


ルナはひと息つきながらあたりをゆっくり見渡した。

 『他の精霊たちもまたマヤちちゃんの前に集まって

  横一列に勢揃い。。。って、あれ?

  4人の後ろにうじゃうじゃと見慣れないのがいるけれど

  いつ、どこから涌いて出た?』


心の中で指差して数えているとウェントゥスが

 「新たなる者22名、更には56名が控えているが、呼び出すか?」


 『相変わらずの調子だが仔細を教えてくれたから』

すぐにルナは気がついた。

 『カードに刷り込むイメージにつられてやってきたんだな』

 「大アルカナが22枚。小アルカナが56枚。

  それでこの数になったのか」

思わず彼女が呟くと、火の精霊が突っ込んだ。


 「先にも言った通りだな。そなたたちには

  力がある。共鳴すればこの程度、いとも容易い事だろう」

 「じゃあ、残念イケメン君、小アルカナにも会いますよ」

 「誰が残念イケメンじゃ」 抗議のウェントゥスさておいて

 「なる程それは面白い」 フラーマ頷き手を叩く。

息ピッタリの二人組。見事な掛け合い繰り広げ

場の雰囲気を和らげた。


 「こほん」 とひとつ咳払いしたのは水のフォンスだ。

 「残りの者たちだったよね。実はもういるんだ、ここに」


彼は足もとを指差す。

影だと思っていたものがやにわにざわわと動き出す。

手のひらサイズの精霊の手のひらサイズの精霊が

56人集まってじっと何かを待っている。


 「良ければ言葉をかけてやれ」

軽くフラーマ促せば、ルナは彼等に顔を向け

 「皆様、きょうはお疲れ様。私はルナ。残り2名はステラとマヤ。

  以後どうぞお見知りおきを」 無難な言葉をかけていた。

反応らしきものはない。

様子を見てたフラーマが一言申し添える様

 「ふむ。

  彼等小さき者たちは、まだそなた等と意思疎通

  する術持たぬ様である」

 「彼等も精霊なんでしょう?」

ルナが疑問を投げかける。

 「そうだ。

  だが何よりも若すぎる。これからなのだ、何もかも」

 「歳をもっと重ねたら、、」

 「我ほどになる為ならば億の単位の歳月が必要となるはずだった」

 「だった?」 と首を傾げると

 「そなた等の持つ力ならそれを短縮するだろう」

 「短縮ってどの位?」

 「そうさな、数年くらいには」

 「そんなに? ちょっと極端じゃ」

 「それがそうでもないのだよ」


精霊たちの力の元は自然界から得ているが

巨大な霊力持ってる人がいれば忽ち満たされる。

嘗て両者は見事なまでに互恵関係築いたが

いつしか人は科学を選び精霊たちから遠のいた。

科学は人に自然の中で生き抜く術を与えたが

人は自然の支配を望み数多の破壊をもたらした。

人が進めた自然破壊は精霊たちを追い詰めて

数も力も減少させて人への加護も絶えさせた。

人は益々科学に頼り聖なる加護から離れゆく。

今や人には精霊たちを見ることさえもかなわない。

人の中にも稀に心を通わす者が現れて

最後の一線繋ぎ止めては次の世代に受け継いだ。

お陰で人から神秘の力が無くなる事はなかったが

精霊界の消え行く定めを押し止めるには至らずに

日々少しずつ存在薄れ力も衰え続けてる。


 「そこに今回そなた等が大いに力をみせつけて

  我等の命脈繋ぎ止め希望を示してくれたのだ。

  これに乗らない手はないと、我は思わず飛びついた。

  我等の世界、はらからを滅びの淵から救い出す

  これが最後の機会かもしれないからと思ったら

  もう動かずにいられない。儀式に乗じて飛び出した」

 「それじゃがっかりしたでしょう? こんなドタバタばっかりで」

 「いやいや結構楽しめた。そなた等自身の人となり

  頼むに足ると理解した。予想以上の収穫だ」


満足そうなフラーマに嬉しそうな弟子二人。

他の精霊たちからも熱い視線が向けられる。


 「我が思うに、ここにいる者たちは皆同心だ」

 「余り過剰に期待して失望されても困ります」

 「その心配は既にない。あとは契約するのみだ。」

 「ああ、そうでした。その話、後でするって言いました」

 「そなた等3名それぞれが我等82名全員と

  契約結んでくれるならこれ程嬉しい事は無い」

 「代償だとか条件に決まりがあれば聞きますが」

 「既にそなた等3名のじつをしっかり見届けた。

  そなた等の同意以外に、この上望む物は無い。」


もとよりこちらに異議はなく晴れて契約成立し

ルナ、ステラ、マヤの三人は、精霊たちの加護を得た。

ルナはつらつら考える。

 『ひとまずこれでお祭りはお開きにして弟子たちを

  自宅に帰す事にしよ。外はすっかり夕方だ』


ルナは後で知ったのだが、契約するには本来は

血の儀式などが必要で口約束で済んだなど

まずあり得ない事なのだ。

 『それも複数対複数。同時成立させるとは、

  余程相手の精霊に気に入られたとしか思えない』

ジルが話を聞いた時呆れながらそう言った。


 「君たちならば、それ位やってくれると思ってた」

同じくこれは我がマスター、カアンさんのコメントだ。

 「でも、君たちの日常がこれから変わるわけじゃない」


何やら含みのありそうな持って回った言い方に

そこはかとなく一抹の不安を感じた私って

なかなか偉い子じゃないの、見当違いじゃないわよね?

カアンさんがあの笑い。あの表情をする時は

絶対何か企んでいる時なんだ、分かってる。

案外今度の契約はとんでもない事なのかしら。

イマイチ涌かない実感に少し戸惑い覚えつつ

暫しの間固まって考え込んでいた私。


さて。


数週間が過ぎた頃。別段何か特別な

事件が起きるわけもなく普段通りの日常が

続いているかに見えていた。


この日は朝から曇ってて、気分ももひとつパッとせず

定時になったら帰宅してさっさと寝るしかないなどと

考えてたらノック音。ゆっくりドアが開かれて


 「こんにちは」 と声がした。

オフィスに入ってきた人は、何やら優雅な雰囲気の

若い女性の二人連れ。


 『一人は金髪碧眼の絵に描いた様な美少女だ。

  歳は若そうに見えるがスキを見せまいと気負いたち

  気張る様子がいじらしい。いいなー、やっぱり若い子は。

  初々しくて癒される。

  もうひとりの子も同年代。いかにもお付きという感じ。

  黒眼黒髪日本風。影のように寄り添って

  しっかり主を支えてる。なんて勝手に思ってる

  私はいささか妄想狂。

  高級そうな服を着て小さな仕草も決まってる。

  流れる様な所作を見て思わず私は息を呑む。

  私なんかにゃ縁がないひらひらドレスに身を包み

  日傘を持っての登場だ。曇り空でも使うんだ。

  賤しからざる物腰はただの成金じゃなさそうだ。

  二人の様子を見てみると何やら心細げにも

  見えない事もない様な気がしてきたのは私だけ?

  ここは一番カマかけて相手の状態把握から』


 「いらっしゃいませ。こんにちは。今日はどんなご用件で?」


ルナは二人を招き入れ応接室に通しつつ、

よくよく観察してみると

一人はとても緊張し、一人は至って冷静だ。

歳の頃なら15、6。ステラと同じ年代か。

出来得る限り、にこやかに親切そうなフリをする。


 『こちとら根っから庶民だし、お上品には行かないわ』


二人はもじもじしていたが金髪少女が切り出した。


 「ルナ様にお目通りをばお願いできますか?」


 『なんだ、私に用なのか』


一瞬きょとんとするもののルナは平素を装った。

魔術師ルナは有名だ。名指しは別に珍しい事ではないが

ソルナリア人なら有名なだけで会いに来はしない。


 「お初にお目にかかります。私がルナです。お見知り置きを」

二人は顔を見合わせてそのまま俯き固まった。


 『私、何かやらかした?

  お嬢様の流儀なんて私ゃとんと分からない。

  マヤちゃんあたりがこなせそう。でもまだ今は学校か。

  ここはとりあえず謝ってなんとか話を繋いどこ』


 「すみません、私何か失礼な事を」

 「いえっ、とっとっとんでもない!!」

二人同時に否定した。


 『あれっ? なんだか違うみたい』


金髪少女が語り出す。

 「じつは私は、ルナ様にお会いするのが夢でした。

  この国だって今朝着いたばかりで勝手が分からずに

  ガイドブックを参考にこの街までは来たのです」


 『私に会うのが夢だっ、て言われたところで、私には

  どんな対応していいか見当すらもつきかねる』


 「ああ、ルナ様。本当にルナ様なのですね」


ルナの気持ちも知らないで美少女様は感無量。

胸の前で両手を組んで、夢見心地のご様子だ。

ルナが返事をどうするか考えあぐねていたところ、

黒髪少女が言い出した。


 「貴殿を見込んで打ち明ける。

  これなるお方はフィデッサ様だ。

  カルラム王国第三王女であらせられ、、」

 「ちょっと、夢花、いきなりは」


いきなり素性をバラされて戸惑い気味の本人を

軽く宥めて口上の続きを促すルナだった。。


 「構いませんよ。それにまた、顧客情報守秘義務も

  私たちにはありますし、クライアントの不利益に

  なる様な事は一切致しません」


ルナは思いを巡らせた。

 『二人は、安心した様子。ほんのちょっとだろうけれど。

  それにしたってこの二人。どんな事情かしらないが、

  どうやら一人は王族で護衛の騎士を連れている。

  これって近くにSPや要人なんかがいたりして

  悪けりゃ国際問題になってもおかしくないんじゃない?

  キチンと保護して然るべき筋に連絡すべきかな』


 「解っているとは思うが」

先程ユメカと呼ばれてた黒髪少女が切り出した。


 「実は姫様はお忍びで見つかるわけにはいかぬのだ。

  余程の危険がない限り放っておいてくれまいか」


何やら事情がありそうだ。それはルナにもわかったが

だからといってどうすればこの場が丸く収まるか

戸惑いながらも考える。

 『つまりは誰にも知らせるな、という事らしいが大丈夫?

  見逃した後が問題だ。怪我でもされたらどうしよう?』


 「さすがに全く知らん顔するのはまずいと思います」

私はなんとか切り返す。

 「それでも素性を隠したい事情はおありと思います、、

  そこでおひとつご提案したいのですが、いいですか?」

 「先ずはお聞かせ願おうか」


 『私の案はこうだった。

  二人をうちのエイジェントとして雇ってしまうこと。

  IDカードを発行し、我が家に滞在して貰う。

  勿論仕事も手伝って貰って私は楽をする。

  給与もちゃんと支払うし、部屋代なんかいらないわ』


 「そんな事が出来るのか?」 ユメカ驚き目を見張る。

 「いくら何でも悪いです」 フィデッサ流石に遠慮気味。

 「準備もなしにこの様に突拍子もない行動に

  出たればこその結果です」

ユメカがきっちり釘を刺す。

 「あうう」 フィデッサ、うなだれた。

ルナは二人をざっと見て一息ついて考える。

 『二人の信頼関係は全く問題無い様だ。

  次は師匠の説得か』


 「ただいまー」 そのときようやくと

ルナの師匠のご登場。


 「待ってました、カアンさん」

 「おや、珍しい、ルナ君がそんなに歓迎するなんて」

 「私はいつでも歓迎をしてあげてるじゃないですか」

とにかくルナはひと心地。いつもの調子でふざけてて

お客の事を忘れてた。


 「あのー」 小声を発したフィデッサに

気付いたルナが振り返る。


 『なんだか様子がおかしいぞ。

  手先がわなわな震えてる。視線の先にはカアンさん。

  この人何かやらかした?』


思わずルナも見つめると、

心当たりがあるらしくカアンは視線を外そうと

キョロキョロするがフィデッサは固まったまま動かない。

ユメカはユメカで足元にひれ伏したまま動かない。


 「師匠、これはどうなって」

ルナ尋ねるより早く話し始めたフィデッサは、

 「お久しぶりで御座います。大賢者様」

とても丁寧な礼をとる。

ルナは耳を疑った。

 『いま何て?』


 「あ、ああ、君たちも元気そうで何よりだ」

ルナには事情が掴めない。

 『この人たちは顔見知り?

  それも

  ただの知人じゃなさそうだ。大賢者って何だろう。

  カルラムくんだりまで行って、この人何をしてきたの?

  とにかく訳が分からない』


フィデッサはただ俯いて頬を赤らめ小刻みに

肩を震わせもごもごと言葉にならない事を言い、

暫く戻って来そうもない。


 『何、この反応?

  この人相手になんでまた

  こんなに緊張するんだろ?』

ルナがカアンを見てみると、頭を掻いて黙ってる。

 「大賢者様ぁ、」 フィデッサ殿下が呟いた。


 『そういやこの人何でまた私なんかと会うことを

  夢みたいに言ってたの?

  それに、それに、カアンさんの慕われ様、

  どう見ても普通じゃない』


そのときオフィスのドアが開き、マヤがひょっこり顔を出す。

もうそんな時間かとルナは時計を確かめる。

午後4時を少し回ったとこだった。


 「こんにちは」 いつも通りのマヤの声。

ルナは少ーしほっとする。


 「お客様でしたかって、あなたはフィデッサ」

 「マヤ。えっ、えっ?」

フィデッサ益々当惑し、ユメカは思わず顔を上げ、

マヤを認めてようやくと、表情緩めて微笑んだ。


 「私、小さい頃にカルラムで過ごした事があるんです」

ニコニコしながらマヤが言う。

 『教えてくれたはいいけれど、やっぱりどこかおかしいよ。

  この子の家では宮廷に出入りするのが当たり前?』

 「それにしたってどうやってフィデッサ殿下と知り合うの?」

 「父の仕事の関係で王宮に行くことがあって、

  たまたまついて行ったんです」

同年代でもあることだし、仲良くなるのもおかしくはない、か。


 「それで、何故マヤがここに?」

 「弟子になったの、ルナさんの」

フィデッサ殿下が固まった。

ぱっちり開いた両眼からぼろぼろ涙が溢れ出た。


ルナは些か呆れ気味。

 『ほんにこの人忙しい。見ているだけでも目が回る』


 「なんでマヤだけ? いつの間に?」

やっとの思いでフィデッサが放った言葉がこれだった。


 「タロットイニシエーションもこないだしてもらったの。

  それで82人の精霊と契約結んで貰ったの」

 「そ、そ、そんな、、、そんなこと」


ルナはひとつ確信した。

 『これはマヤちゃん絶対に面白がってる、間違いない。

  ついさっきまでひれ伏して言葉もなかったユメカさん、

  二人に向ける微笑みが傍から見てても癒される。

  あ、でもまずい事がある。床に正座したままだ』

ルナが思っていたところ、カアンが右手を差し伸べた。


 「そこは人が通るとこ。こちらに来なさい、危ないから」


ルナは様子を見て思う。

 『邪魔だ、どけ、とは絶対に言わないところが彼らしい』

気の毒な位のユメカさん、恐る恐る手を出した。

カアンさんたらそれをまたしっかり握って引き寄せる。

立ち上がりざまに勢いが余って彼にぶつかるか、

という寸前でカアンさん、ひょいと彼女を抱き上げた。

そのままソファーに連れて行く。

 『カアンさんの事だから脚の痺れを気遣って

  やった事だと思うけど

  あんな調子であちこちで誤解を招く振る舞いを

  しまくってるんじゃなかろうか。

  いわゆるお姫様抱っこ。彼はほんとに卒がない。

  こういうとこはいつ見ても悔しい位カッコええ。

  とはいえ私の趣味じゃない。して欲しいとは思わない。

  ユメカさんは真っ赤っか。茫然自失の寸前だ』


カアンは応接コーナーのソファーに彼女を座らせて

くるりとこちらを振り返り

 「さあ君たちもいい加減、こっちに来なさい」 と言った。


場所が変わって人も増え、話を戻して最初から

筋道立てて聞きましょう、という事になったのだが

フィデッサはただボロボロと泣いてばかりで要点が

さっぱり掴めずにいたが、やがてカアンがおもむろに、

軽ーい調子で切り出した。


 「事情を知らない人もいる。先ずは軽く説明を」

 「師匠、私はお邪魔では?」

 「ルナ君、何を言うんだい? 君も立派な当事者さ」


楽しそうに言ってるが、その眼はかけらも笑ってない。

 『何か事情がある事は間違いないな、余りにも

  曰く有りげな雰囲気だ。でも私まで当事者って

  どういう事になってるの? カアンさんの弟子だから?』


一瞬の()にあれこれとルナは考えてはみたが、

話す言葉が見つからず、まごついているとフィデッサを

宥めたマヤがルナを見てにっこり笑って頷いた。

どうやら一緒にいて欲しいという気持ちでいるようだ。


ルナもようやく落ち着いて承諾の意を表した。

 「わかりました。ご一緒します」


皆の表情が和らいだ。

 『何、この反応、私ってそんなに注目されてたの?』

些か戸惑い気味ながら最後にソファーに腰掛ける。


フィデッサはまだ泣きやまず声こそしないが俯いて

肩を震わせ続けてる。

何がそんなに泣けるのか、ルナはさっぱり分からない。

困っているとマヤの声。

 「ルナ様、実は私にはフィデッサ様の来訪の

  連絡が入っていたのです。

  ただ、こんなに早いと思ってはいませんでした。すみません」

 「謝る様な事じゃないわ。それにしても連絡を?」


 「私共ではありません」 ユメカがぼそっと呟いた。


まだまだ意識が朦朧としている様だが気丈にも

フィデッサを守ろうとして必死に自分を保ってる。

健気な彼女の心情を思ってルナは感じ入る。


 「私が知らせた」 一同に突然声が掛けられた。

見れば(ほむら)のフラーマが得意そうに立っていた。


 「とはいってもポチにだが」

ルナは納得してしまう。

 『そうか、みーんなポチ繋がりで』

試しにルナが問いかけた。

 「じゃあ師匠も」

 「そんなとこかな、」

 「どうだ、私の紹介だ」 大先生が自慢する。

 「この両名がこっそりとルナを訪ねる相談を

  していたからな。ちょっとだけ手を貸してみたというわけだ」

ルナは暫し考えた。

 『私も当事者のひとり、とはそういう分けだったのか』

ユメカが疑問を口にする。

 「あの、さっきからどなたかそこにいらっしゃるのでしょうか?」

言い難そうに聞いてきた。

 「大精霊のフラーマ様」 とルナが答えると

彼女はまたひれ伏そうとしてしっかり身構えた。

 「あー、いいから、そういうの」 カアンが見かねて制止した。


 「フラーマ様と言えば、その、私の国では伝説の救国の英雄の一人です」

まさかまさかの発言に、ルナは驚きフラーマと

ユメカの顔を見比べた。続いてユメカが語るには

 「大賢者様は当代の英雄です」


ルナがボケ顔していると、ユメカが真顔で言い放つ。

そしてカアンに向き直り必死に訴えかけてきた。

 「先程も助けて頂き、わたくしは、

  そばめとしてでも構いません。

  一生お側にお仕えし、ご報恩の限りを尽くす覚悟です!」

 「なりません!」 大きな声が響き渡った。


 『今度は何?』 ルナは思わず向き直る。

 『見ればフィデッサ殿下だが、何やら怖い雰囲気だ。

  さっきまではさめざめと泣いてたはずだがどうしてか

  目元を腫らしたままなのも気にもしないで言い出した』

泣いてるどころじゃない様子。ルナは黙って見守った。


 「その役、私が引き受けます。

  あなたはあなたの役目を果たすのです」


 『さすが王族凛々しいわ。言われた方のユメカさん、

  しょぼんと俯き沈んでる』 ルナは素直にそう思う。


 「ようやく泣くのをやめたかな」

カアンさんが話しかけ、フィデッサ殿下はハッとする。

これも一種の修羅場なの?


 「そんなに固くならないで」

 「は、はい」 両名緊張し、背筋をピンっと伸ばしてる。

 「皆さんとても優しいよ。フィデッサだって大丈夫」


 『ニコニコ顔でマヤちゃんが二人に話し掛けたのだが

  二人にとってみるならば彼女が一番ショックを与えてる。

  故意ではない分大変だ』


 「わ、私はこの十年、

  あなた様にこの身を捧げ

  一生かけてお尽くしする様

  教育されてきたのです。

  あなた様は国の恩人、民の恩人、

  私の憧れ、すべてです」


 『これって本気(まじ)で言ってるの?』

ルナはいささか引き気味だ。


 「あなた様がカルラムをお救い下さる一部始終を

  幼いながらもわたくしはじっと見つめておりました」

 「師匠、一体何したらこんなに人を狂わすんです?」

思わずルナが突っ込むが即答したのはフィデッサだ。

 「呪いを退けられたのです」

 「呪い、ですか」 ルナにはイマイチ分からない。


 「不正を働き追放された、嘗ての王宮魔術師が

  全土に掛けた呪いのせいで相次ぐ天災、疫病が

  民を襲って王宮の人材も多く倒れゆき、

  誰もが国の崩壊を覚悟した時この方が…」


フィデッサはまたここに来て声を詰まらせぼろぼろと

涙を流し始めたが話を止めはしなかった。


 「大賢者様は旅の途中、たまたま寄った我が国の

  酷い様子をご覧になると、迷わず王宮に来られて、

  宰相に謁見するなり西北の水源地に災いありと断言されました。

  早速調査隊が派遣されほどなく怪しい術式が組まれているのを発見し

  早速破る試みが企てられて100人の

  王宮魔術団員がこの術式に挑みました。

  大賢者様はご自分が対処すると申し出て下さったのですが

  プライド高い王宮の魔術団長が反対し、

  術式解除を無理矢理に始めてしまいました」

 「なんと愚かな」

呟いたのはフラーマだ。


ルナも少々考える。

 『私だってそう思う。カアンさんが自分から

  行動するって言う時は、それだけ他の誰かには

  任せられない場合だと、経験的にわかってる』


王女は静かに頷いて続きを語り始めた。


 「しかし彼ら100人が束になっても術式を

  解除するには至らずに却って一人、またhy。

  落命し続け王族も多くが病に伏す始末。

  手詰まりになった私たち、恥をしのんで大賢者様の御力に

  縋るしかありませんでした。

  大賢者様は快く困難な役目をお引き受け下さり

  東南の地に敵がいる、ただちに向かい捉えよと、

  お告げを出され自らも秘術を使ってたちまちに

  術式を破壊し尽くして呪いを排除されたのです。

  東南の地には稲妻の大きな柱が立ち上り

  行ってみると黒焦げになった術者の屍が

  横たわってたという事です」

マヤが気楽な声を出す。

 「そんな事があったんだ。フィデッサ大変だったねぇ」


 『気楽に言うけど術式を跳ね返すって下手をすりゃ

  こっちも命を落とすんだ。カアンさんも無茶するわ』

ルナが思って聞いてると、

当の本人、語るには

 「いや、あれ位なら自分でも何とかなるなと思ったし」

ルナは思わず抗議する。

 「今後は私がそのような無茶な事はさせません」

カアン

 「いやいや10年前の事だから」

ルナ

 「駄目です。絶対禁止です」


ルナがカアンをやりこめていると王女が口を出す。

とても申し訳無さそうに。

 「ルナ様のお怒りはごもっともです。

  でもこの10年、事態が収拾した後に

  大賢者様は忽然と姿を消してしまわれて

  国では大変な騒ぎでした

  でも私達にもご恩にむくいる方法が」

ルナ

 「この人そういうのは望みませんよ、きっと」

フィデッサ

 「やはり私では役不足ですか」

ルナ

 「いやいや、そういう問題じゃ」

ユメカ

 「やはり正妻様のお許しが戴けないという事で。。」

ルナ

 「正妻様?」

 『二人揃って私を見てる。

  いくら何でもそれはない!』

 「お二人とも誤解です。私は単なる弟子ですし、

  結婚する気もありません」


ルナがきっぱり言い放つ。

二人は喜色満面だ。

呆れながらも思うルナ。

 『どうやら本気で師匠を好いてくれてるようではあるけれど、、』

フィデッサ

 「では、正妻の座は未だ、、」

ルナ

 「空きっぱなしのはずですよ」

ユメカさんの問いかけにルナは答えた。素っ気無く。


カアン

 「埋まる予定もないけどね」

すかさずカアンがフォローした。これに一瞬怯んだが

二人は健気に食い下がる。


フィデッサ

 「それは私達次第と言う事ですね。了解です」

ユメカ

 「私ももっと頑張ります」


当のカアン本人は顔色一つ変えないで

一枚書類を取り出した。


 「それは?」 私が問いかける。

 「契約書です」 と言いながら、彼は書類をテーブルに

広げてみせた。それを見て


 「お父様!」 声を上げるとフィデッサは

書面を見たまま固まった。


 「実は半月ほど前にカルラム王から直々に

  たずね人依頼が入ってね。

  第三王女が行方不明ということらしかった。」

 「うげっ」 と王女は絶句する。

ユメカはうつむき困り顔。


カアン

 「恐らく私を訪ねて来られると、返事はしておいたので」

フィデッサ

 「でもこの10年あなた様は、、」

カアン

 「久しぶりに挨拶を入れてみたのさ、王宮に。

  いくら何でもほとぼりが冷めていると思ったし、、」

ユメカ

 「むしろ年々熱くなり、留まる処を知りません」

カアン

 「だねー、私も驚いた。で、国王陛下が切り出した

  依頼話がこれなんだ」


フィデッサ殿下は俯いて契約書を見てワナワナと両手を震わせ呻いてた。

慌てた様子のユメカさん、急いで書類に目を通し、同じ様に固まった。


ルナ

 「これは尋ね人の契約書?」

カアン

 「特約つきではあるけどね」


下の方に書かれてる。たしかに特約条項が。


 『尋ね人を保護した場合、一報入れたらそのままに。

  どんな風でも構わないから側に置いてやってくれ。

  期限は無期限、費用は出すし、別報酬も用意する。

  粗忽者ゆえ粗相があれば、放り出しても構わない』


開いた口が塞がらない、とはこういう事を言うのだろう。

 「とんだ親バカですね、これ」

突っ込んだのはルナだった。どうせ当人聞いてない、

とでも思ってのことだろう。


 「いやまったくその通り。面目次第もない事で」

流石にルナもぎょっとして、声の方を振り返る。

いつの間にや端末の通信ソフトが開いてた。


 「お、お、お父様!」

 「国王陛下!」

二人が同時に振り返り、叫んで席を立ち上り、

カアンさんに止められた。


 「座ったままでよい」 との声。

カルラム王

 「そこな女将がルナ殿か、大賢者殿の愛弟子の?」

ルナ

 「は、はい、ルナに御座います」

 『あちゃー、私はとんだ恥じっかき』

カルラム王

 「なるほど大賢者殿が一目置くのも肯ける」


 「おじさま、ご無沙汰しています」 マヤちゃんも声を上げ出した。

カルラム王

 「誰かと思えばマヤ殿か。息災そうで何よりだ」

マヤ

 「今はルナ様の弟子やってます。さっきフィデッサと再会しました」

カルラム王

 「そうかそうか、これからも、アレと仲良くしてやってくれ」

マヤ

 「はい! 勿論です」


ルナの素直な感想は、、

 『聞いてる限りじゃご近所のおじさん相手の会話だな。

  とりあえずだが矛先が他に向いたという事で

  一息入れておこうかな』


国王陛下が仰った。

 「大賢者殿にはフィデッサを娶って貰って末永く

  我がカルラムで睦まじく暮らして貰う気でいたが

  なかなかそなたも頑固よのう。

  やはりコレでは役不足、、」

 「お父様。それは仰らないで」 フィでッサ殿下が食い下がる。

フィデッサ

 「思いを遂げる為ならば奴隷にだってなる覚悟」

ルナは驚き目を瞠る。

 『何を言い出す、お姫様?』

 「その意気やよし! さすが我が娘だ。よい覚悟」

更に驚くルナだった。

 『こらこら、あなた、この人の父親なのに何を言う、、』

フィデッサ

 「どうもありがと、お父様。私、頑張る。見ていてね」

ルナ

 『この父にしてこの娘。カアンさんをふと見れば

  意外と平気な顔してる。全然その気がないのかな。

  それもそうだよ、10年も前なら二人は5、6歳。

  「あなたのお嫁さんになる」と言われて本気にする訳ない。

  ところで師匠は今幾つ?

  10年前なら10台か?

  それだと今なら釣り合うか。。。』

半ば納得しかかって頷いてると、カアンが


 「ルナくん、そこで納得しない様に」 棒読み調子でのたまった。


ルナはこれにも舌を巻く。

 『なんで分かったのだろうか。私にゃとんと分からない』


 「カアンよ、そなたも色々と苦労が絶えぬ様じゃのう」

面白そうにフラーマがちゃちゃを入れてからかった。


カアン

 「さし当たっては両名はルナ君の助手と言うことで

  研修生の扱いで当オフィスに所属させ、

  滞在中はルナ君と一緒に暮らして貰います。

  ルナ君にはすまないが二人を宜しくお願いします」

ルナ

 「はい、勿論です」

 『私と同じ考えだ。私の師匠は凄い人』


 「費用は我が王家が負担する。」 国王陛下が宣下した。

二人はあからさまにご機嫌だ。分かり易いな。楽しめそう。


カアン

 「ルナ君」

ルナ

 「はい?」

カアン

 「二人は君の後輩だ。余りいじりすぎないでね」

ルナ

 「ぎくっ」

 『この人無駄に察しがいい』

マヤ

 「いじるって何をするんですか?」

マヤがツッコミ入れてくる。

ルナはついついたじろいだ。


 「ルナ様にならいくらでもいじられたいです」

危ない事を言ったのは目をうるませたユメカだが、

 「それは私の役目です」 フィデッサもまた食い下がる。

 「お前たち、大賢者殿や魔術師殿の言うことをよく聞くのだぞ」

国王陛下が釘を刺す。意外と常識的だった。


カルラム王

 「それにマヤ殿も大賢者殿の孫弟子だ。余り気安く、、」

マヤ

 「その気遣いは無用です、おじさま」


国王陛下の言葉を遮りマヤちゃんが口をはさんだ。


ルナ

 『この子、一国の王様相手によく言うわ。

  そういえば、そういえば。大先生が見えるのは

  ここでは私と師匠とマヤちゃんだけでいいのかな』

ルナの思いを察してか大精霊が歩み出た。

 「よかろう」

そしてたちまち光りだす。


これは全員見える様。いきなり発した輝きに

各自それぞれ手をかざす。

光は徐々に収まって見え出したのは人影だ。

背丈は私より高く師匠よりはちと低め。


 「ぢゃーん、ぢゃーはちにてんてん」

等身大のフラーマが登場しながら口走る。


 『また意味不明な事を発して』

ルナは呆れて声も出ず、ただ成り行き見守った。


フラーマ

 「火焔の精霊フラーマだ。今日は特別に姿を顕現してやろう」

ルナ

 「またそんな事、霊力の無駄遣いではないですか?」

フラーマ

 「少し位は構うまい。どうせそなたの霊力だ」

ルナ

 『やっぱり食えない、大先生』

フラーマ

 「カルラム王よ」

カルラム王

 「何でしょう」

フラーマ

 「そなたの娘とその従者、私も面倒見る事にするが依存はあるまいな?」

カルラム王

 「如何様にも」

フラーマ

 「ルナともマヤとも契約を結んだからは、当然だ」

ルナ

 「何勿体つけてんの」

フラーマ

 「良いではないか、少し位。最近見える者が減り、

  物足りなさが半端ない」


ルナは素早く思索する。

 『なんやかんやで住人が二人増えたよ、大変だ。

  空いてる部屋はあるけれど、共同生活するんだし

  決め事だって必要だ』


フラーマ

 「ところでルナよ」

ルナ

 「なんでしょう?」

フラーマ

 「同居人が三人も増えて何かと世話をかける」

ルナ

 「いま3人って」

フラーマ

 「我もいるから三人だ」

ルナ

 「なんでまた」

フラーマ

 「せっかく顕現したからは、下界ライフを満喫せねば申し訳無い」

ルナ

 「それ、誰にですか」

フラーマ

 「霊力だってタダではないし」

ルナ

 「私の霊力ですけどね」

フラーマ

 「細かい事を気にするな」

ルナ

 「これが細かい事ですか」


ルナたち二人のやりとりを周りは微笑み向けながら

静かに見守り続けてる。


 「やっぱり二人は最高だ。良い相方を見つけたね」

カアンが何故かラーマに満面の笑みを投げかけた。


 『なに? その笑顔』 思いつつルナは彼女を振り返り

ルナは思わず声を出す。

 「え?」

見ればほんのり頬染めて大精霊が照れていた。


 『何?どうしたの、この展開?』

一瞬ルナは戸惑うが、ある伝聞を思い出す。

 『そういや聞いた事がある。

  彼らの寿命は長大で人との出会いは一瞬だ。

  余程の事がない限り一緒にいたいと思わない。

  それでも刹那を望むのは、それだけ強く入れ込める

  相手と認めたからだという。

  顕現化までして共通の時空にいたいと思ってこんなこと、、』

そして彼女は気がついた。

 『そうか、認めてくれたんだ。

  フラーマ様は嬉しそう』


不敵な笑いを浮かべると、フラーマやにわに語るには、

 「こんなに面白そうなのに放っておく手はないだろう」

そして始める高笑い。


ルナは思いを巡らせた。

 『ちょっといいなと思ったらたちまちこれだ、大先生。

  カアンさんはにこにこと変わらぬ視線を送ってる。

  ああ、もしかして照れ隠し?

  カアンさんは頷いた。

  ここは優しく見守ろう。それが大人というものだ。

  心暖かいい気持ち。こういう大人も悪くない。』

そして思わず問いかける。

 「それにしても大先生。大精霊ってこんなにも

  お節介なものでした?」

大精霊の回答は少し意外な物だった。

 「この二人には霊力がそれなり以上にあるからな」

家出娘を見て言った。


二人は喜色満面だ。

 「使いこなせるかは別だが」

二人はしょぼんとうなだれる。

流石、息はぴったりだ。


フラーマ

 「カアンに恋慕というネタも」

ルナ

 「それはネタではありません」


すかさずルナが釘を刺す。

 『こういうのばかり増えてきた。

  私は小姑タイプなの?

  捨て置けないから口を出す。私の師匠と一緒かも』

思わず苦笑を浮かべるとフォローしたのはフィデッサだ。


フィデッサ

 「あの、有難う御座います。気にかけてくださって」

ルナ

 「いや、そんな大袈裟な事ではないです、大体が

  この方たちはこうやっていつでも人をおちょくって

  楽しむ癖があるのです」

フィデッサ

 「この思い、今すぐ届かなくたって

  いつか必ずあの方の心に入るつもりです」

ルナ

 『蓼食う虫も何とやら。敢えて止めはしないけど。

  そんなにあれがいいのかねえ。やっぱり私は分からない』

マヤ

 「でっかいマスター、好いてる子。結構沢山いるんです」

フィデッサ

 「マヤ、まさかあなたもその一人?」

マヤ

 「私はルナお姉様一筋です」

ルナ

 『何か違う』

フィデッサ

 「なんだ、そうか。安心した。あなたが相手じゃ勝ち目無いから」

ルナ

 『そこ、納得するな』

カルラム王

 「歓談中に悪いが」

ルナ

 『あ、王様いたの忘れてた』

カルラム王

 「私はそろそろ失礼する。大賢者殿、魔術師殿、

  娘と従者の事、暮れぐれも宜しく頼む」


 「おまかせを」 カアンさんは一礼し

モニタを閉じた。



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