02 トカゲ怪獣、空腹につき絶賛女神をお食事中!
「おい、女神。どこに行けばいいんだよ?」
「うわあああああああああん!!」
「おい。女神。聞いてんのか?」
「うわあああああああああん!!」
「もういい。じゃあな。お前だけでも帰れよ。」
「帰れないから泣いてるのよおおおお!!」
「はあ。分かった。もうこの世界に従順になれ。まずはギルドカウンターに行くぞ。どこだ?」
俺は泣き続ける女神に尋ねた。
「知らないわよ。ぐすん。私が知ってるのは名前くらいだから。ぐすん。」
「そうか。」
そこで俺は通りすがりの人に尋ねることにした。男の人だと柄が悪いと困るし、女の人だとリアル経験値がなさ過ぎてきけない。だから無難なそこらのお店の人に聞くことにした。
「あの、ギルドカウンターみたいなところってどこですか?」
「あら、ここに来たばかりかしら? ようこそ。駆け出し冒険者の集う街へ。それで? ギルドカウンターでしょ。ギルドカウンターなら噴水に向かって行って左よ。」
「ありがとうございます!」
そう言って歩き出そうとする俺たちをお店の店主が引き留めた。
「ちょいとお待ち。この街は他の街と違うお金を使ってるからね。お金をあげるよ。いっぱいはあげられないけど、はい。」
「え? いいんですか?」
「いいのよ。遠慮しないで。」
店主はそう言ってのけたが少し気が引ける。貰った袋の中には分厚い金色の硬貨が3枚入っているのだ。
「まあ、3000シルファだけだけどね。」
そう言って店主は店の奥へと戻って行った。
──なるほど。この金色の硬貨が一枚1000シルファで、お金の単位はシルファなのか。
そして俺たちは店主の言ったように噴水の左のギルドカウンターに着いた。そこには5人のギルドマスターと何人もの食事をしている客がいた。
「こんにちは。2名様ですね。ギルド申請やクエスト報告等なら奥のカウンターへ。お食事なら左の厨房へどうぞ。」
と、エルフのお姉さんが。お姉さんに「ありがとう」とだけ言ってギルドカウンターに向かう。3人は男の人。残りの2人は女の人でついつい美女の方に向かってしまう。ということで左から二番目のカウンターに向かう。
「こんにちは。報告ですか?申請ですか?それ以外ですか?」
「ええと。申請でお願いします。」
「かしこまりました。こちらのプレイヤーカードに必要事項の記入をお願いします。」
「分かりました。」
必要事項と言っても少なかった。《NAME》《OLD》《GENDER》だけだ。俺は《NAME:TAKASHI》《OLD:17》《GENDER:MEIL》
と記入する。そしてカウンターの《シラル》というらしいお姉さんに手渡す。
「ありがとうございます。少々お待ちください。」
という言葉と共にシラルが手を動かす。
「ええと。知力22、体力49、俊敏36、術力79、運100!?」
「すごいな、タカシは。運だけがめちゃくちゃいいぞ?」
「だけは、は余計だよ。」
と、ライティアと話してからシラルに向き合う。
「どうですか?どんなクラスが取れそうですか?」
「ええとですね。《術師》か《商人》をおすすめします。」
「じゃあ《術師》で。」
などと話しながらクラスを決めた。結果、月幻術師というクラスを取った。理由は神様が可愛いから。クラスを決め、プレイヤーカードを受け取ると様々な項目が追加されていた。《CLASS》《SKILL》《A-SKILL》《no.》等々。
──へぇ。意外とすごいんだな。
などと考えていると。
「ええええ!?」
「どうしたんですか?」
シラルの絶叫にライティアが聞く。
「だって知力0、体力0、俊敏0、術力100、運0というとてもアンバランスな配分なんです!これなら《光神聖術師》、《風神聖術師》だってなれますよ?!」
その大声に周りのプレイヤーたちも黙り込む。
「じゃあ《光神聖術師》で。」
という透き通った一言に「うわぁぁぁ!!」という歓声が。
○○○
後日、俺はライティアにレクチャーしてもらった。この異世界から出るには魔王を倒すか死ぬか。その二択だと。だが、死ぬのは現実的ではない。なぜなら死ぬときには強烈な痛みを感じ、その後天界で途方もなく歩き続けるからだと。
そこで俺たちは本気で魔王討伐をしようとした。その為にはまずレベル上げからだ。クエストカウンターで《トカゲ怪獣を3匹討伐せよ》というクエストを受けてきた。
○○○
「はむ。」
これはトカゲ怪獣に女神が食われた音である。ただしくはライティアが女神の力を見せてやる! と、正面からぶつかりに言ったが食われた音である。
「はぁ。」
とため息を、ついてから俺は《月石生成スキル》で大量に石を生成し一匹目撃破。
その後も女神を囮にして3匹撃破。そのおかげでライティアはよだれでべとべと。俺は街を歩くときに多くの女性に冷たい目で見られるようになった。
冷たい視線をかわしながらギルドカウンターにつくと報酬が出た。たったの3000シルファ。割に合わないというか……。
とりあえず、記念すべきクエストは終了!