01 非モテ少年、チョコレートにつき絶賛気絶中!
「あなたは先ほど第一界……地上世界から姿を消し、死にました。」
目の前に真っ白い空間と驚くほど黄色い髪の毛。そこには美少女が立っていた。2月にしては薄着すぎるその服の周りは天女の羽衣を思わせる少し黄色掛かった透明な布が浮かんでいた。
──いや、今こいつなんて言った?
俺は体感時間約5分ほど前のことを思い出す。
○○○
「ふわぁ……」
俺は眠気を抑えながら教室を見渡した。
「あの、高貴くん、これ……」
そう言ってクラスメイトは斜め前の席のイケメンにホワイトチョコを渡していた。咄嗟にカレンダーをみると、2/13までに斜め線が引いてあり今日が2/14だということを表している。
そう。彼らイケメンには嬉しく、俺ら非モテには嬉しくない行事だ。
俺は今までの17年間、母と妹以外からチョコをもらったことがない。義理チョコさえも貰ったことがないのだ。
──そんなことを考えながら窓の外を眺めていると
「あの、鷹司くん、これ!チョコ作ったから……よかったら食べてね?」
──はぁ……。また他のやつがチョコを貰ってやがる。え? 今彼女は誰に言ったんだ? 俺か? よく考えるんだ。 俺の名前は金島鷹司。そして彼女が言ったのも鷹司。うむ。俺しかいないわけだ。
「ありが…………」
そこまで言いかけて俺は気付いた。彼女はクラスのマドンナ、つまり絶世の美女だ。
○○○
──そこで俺の記憶は消えている
「おい、お前。俺のチョコはどこだ?」
美少女にお前といいつつも聞く。俺にとって一番大事なことだ。それを聞くと美少女はニヤニヤして足を組み、だらしない格好で言い返す。
「私は女神よ。私は第四界、神界から降臨した光の女神。他の神からは光の巫女と呼ばれている。そう! 私は光の巫女、ライティア!」
「ごめん。知らねー」
「えええええええええええっ!?」
「は? 日本人の俺がそんなアホみたいな神を知るわけないだろ。」
「あほ…………あほ…………あほ…………」
機械の様に呟きながら横の砂をいじりはじめる。
「おいおい……。それはいいけど俺のチョコはどうなったんだよ。女神様よぉ。」
「ふっ! よろしい。実はタカシはバレンタインでチョコを貰ったことに驚いてショック死したのよ!!」
「えっ!?」
なんと。俺はショック死で生涯を終えたのか。しかもバレンタインデーに。
「くすくす。これまで異世界案内人をしてきてこんな死に方をした人を見たのは1600年ぶりよ。くすくす。」
なんという屈辱。あとで同じ目に合わせてやろう。
「はぁ……。んで? 俺は何でここにいるんだ?」
「よくぞ聞いてくれた!! 実は地球以外にも十五の世界があるの。そんでここは第十五界。それで君たち死者を異世界に送るのが私の仕事。じゃあ、そこの八番目の円の中心に立ってね。」
「え? 早くない? もうちょっとお話しませんか?」
「はぁ……。下心丸見えよ。じゃあじっとしててね。」
「……。っ!」
──そうだ。転移するときにこの女神も連れ込めば……
「じゃあ行くわよ。サクラッド・エイト・テレポーぉとぉっ!?」
「ふっ。」
「なんでよぉぉぉ!?」
──とりあえず女神様を異世界に取り込むこと成功。
まあ。何はともあれ。異世界生活が始まったわけです。