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あと一話で終了します。
テ~レレッテテレテッテ~♪
『はい本日はこちら!高枝切りはさみ!をご紹介いたします!』
『なんとこちら!高いところにある果物をとるのにも便利なんです!ほら!切った枝を挟んで離さないのです!今ご注文ならさらに・・・・!・・・・・・!!!』
あー、そういうの見たことあるー
って!じいちゃん?!TVとかこの世界ないじゃん!!
「じいちゃん?記憶が・・・?!」
頭を打ったことで、記憶をうしない、頭を打ったことで記憶が戻ってくる。
そんな!あほみたいなこと本当に起きるなんて。
「ともき・・・ああ?なんだか霧が晴れたように頭がすっきりする・・・」
目を白黒させてじいちゃんが覚醒しだした。
「よかった、、、じいちゃん。」
俺は少し寂しかった。生まれ変わってからずっと一緒だったから、余計に。
「そうだ、ばあさんはどうした?あれ?スイカを食べに来たんだよな?ここではスーカだったな。」
どうやら怪我をしたときや、記憶がなかったときの細かなことは忘れているようだ。
「怪我ばっかりしやがって!ばあちゃん泣いてたぞ!」
「ええ?!そういえばおでこが痛むんじゃが?」
そっと鏡を渡して壁を向く俺。
「な!?なんじゃ?!私の顔にこぶが・・・け、けんか?」
どうやってケンカでそんな丸い青あざできるんだよ!っと笑いが込み上げてきた。
と、そこへ控えめにノックがされた。
「あの、お加減はいかがです?」
開かれたドアから、おず・・と赤毛の可愛らしいルル嬢が顔をのぞかせた。
先ほど収穫したスーカを切り分けて持ってきてくれたようだ。
そうだ、ばあちゃんにも記憶のこと伝えなきゃ・・・
そう思ったのだが、ミーシャさんや町長、医者も後ろに控えていて言い出すタイミングを逃した。
医者の再診と、町長や農家の人の謝罪など話が終わり、やっと俺とじいちゃん、ばあちゃん、ミーシャさんだけになった。
ミーシャさんには、転生とかそんな話しても訝しがられるだろうしどうしたもんかと思っていたが。
「ジルバルド様、スーカ狩りに誘っていただき感謝してます。でも、怪我は気を付けてくださいね?木の実の落下ですから、気を付けようもないのですけれど・・・ふ・・・ふふふ!」
「ルル嬢?」
ジルバルド様がきょとんとして彼女を見つめるのだが。
「そ、そのような痣が、、、ふふ、、、ふふふ!木の実そのままですわ!」
丸い痣はスーカの実の大きさそのままで。うん俺も笑ったからね。
見るとミーシャさんも肩が震えている。
一人憮然として口を尖らせ始めた方がいるので、そろそろ助け船をだすか。
「ルル嬢?スーカをここでご一緒にお食べになりますか?」
俺はそう言って、この部屋の簡易テーブルを寄せた。
ジルバルド様の隣になるよう、椅子も配置して、俺たちは一度下がろうと思う。
カステラのときのように、甘い空間になるのはわかっていたからね。
ミーシャさんに目配せをして、部屋を退出した。
そうしてしばらくののち。
「ば、ばあさん!!!!?」
と、奥の部屋から、すっとんきょうな大声が聞こえてきた。
一緒にスーカとお茶を頂いていた、ミーシャさんはその声にびっくりして部屋にいこうとしたけれど・・・
「ね、ミーシャさん、、、俺、君に話したいことがあるんだ。」
そういって彼女の手をつかんだ。
そうして、彼らは・・・