表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

11

おもい、だした!TV通販を!

町長の案内でスーカの果樹園に到着した。

柿、、、くらいだろうか、低ければ手が届くが、高い位置の木の実は梯子などがいるようだ。

ジルバルド様が自分で木の実を取りたいというので、町長もよく熟した木の実のある木へ案内をしてくれた。

腕を骨折して固定も外れてはいないが、片手で器用にいくつか収穫するジルバルド様。

少し離れた場所に、敷物などを引いていつでも食せるように準備をするミーシャさんが見える。

その隣で心配そうにジルバルド様を見つめるルル嬢。

良く熟している木の実が多いせいか、果樹園は甘い匂いがして、お腹がすいてきたな、と思ってた矢先。


ガタガタン!

「おっと!」

ジルバルド様が少し揺らいで梯子が傾いた。

俺は慌てて梯子を正しい位置に押し戻す。

「張り切って収穫されるのは構いませんが、あまり無理しないでくださいね?!」

離れた場所にいたルル嬢が青い顔をしてこちらをうかがっている。

「っ、、すまない。あの上の方の木の実、おいしそうだろ?」

なんて反省してるんだかしてないんだか生返事が帰ってきた。

町長や農家の人々もその様子に驚いて真っ青だ。安全にとれる位置の実を残したというのに、欲張って上の木の実に手を出すんだから、、、街の人の気持ちも考えてー!

王族様が怪我したら大変だろー!

とはいえ、ルル嬢においしいのを食べさせたいという気持ちも散々聞かされた俺はつい、甘やかしてしまう。

「もう!俺が上りますから変わってください!」

胸の傷もシクシクと痛むが、できないこともないだろう。

俺はジルバルド様と交代して梯子に登る。ジルバルド様が登っていた段より一段上へ、手を伸ばすと木の実に届いた。

「ほら、これですよね?」

下でハラハラと心配そうに見上げてくるジルバルド様に確認する。

「そ、そうだ、それだ。気を付けて降りて来いよ?!」

はいはいと返事をして、木の実を胸ポケットにいれて、俺は慎重に降りだした。


と、目の端で何かが落下していった。

ヒュン!と小気味よい音がして、そしてガツン!!!という衝撃音がした。

そしてキャー!!というあちこちからの悲鳴。

下を見るとジルバルド様の額に木の実があたったようで、目をまわして倒れるところだった。

俺は梯子から飛び降りて地面に着地すると、すぐに彼の頭を受け止めた。

自分の傷も痛んだが、ジルバルド様の額の傷も酷い。


すぐに冷やすものを持ってこさせて彼の額に当てる。

「ジルバルド様!!意識はありますか?!!」

ううっと唸って痛がっているが、意識はあるようだ。

そりゃ相当痛いだろうな、とたんこぶになりつつある額をみてぞっとした。


青い顔をしてそばに立っているルル嬢に気が付いた。

彼女は泣きそうな顔をして、今にも倒れそうだ。

ミーシャさんに支えられて、彼女もハッとしたのか、ジルバルド様のそばに座り込み、

「大丈夫、、、?ひっく、、もう、怪我ばかりして、、、」

泣き出してしまった。


町長たちが担架を持ち、医者の手配もしてくれた館へ移動した。



かなり熟した木の実であって、皮もすこしはやわらいでいた木の実のため額の骨折などはなかった。

だが、彼の丹精な顔の額にまあるく青あざができた。

こぶも酷い。

もう、、、俺は、、、、、爆笑した。


「ブフっ、ジルバルド様、本当にこの街で療養することになるなんて、ぶはっ」

おでこに氷嚢をのせて憮然とするジルバルド様。

「ラルト。笑いすぎだ。やめろ変な目でみるな!」

自分のお顔に少しは自信もあったのか、青あざこぶにショックを受けているようす。


町長や農場の方々も、本当に申し訳なさそうに謝り倒されて困惑した。

俺は彼のやりたいことだったのだし、木の実だってわざと落ちてきたわけではないからと、そう諭して、しばらく療養させてほしいと申し出た。


「まあ、頭を怪我したのですからね。念のために少し休みましょう。」

「私は大丈夫だと言っているのに。早く王都に帰って少しでもルルのそばにいたいのだが。」

「しかし、本当に当たり所が悪かったら大変なことになる木のみですねえ、、、農場の人は鉄の鍋を被って作業をするっていうのも頷けるな。何か、、、こういい知恵はないだろうか。」

俺はうーんと考え込んでいた。ああやっておいしい木のみを作ってくれた人が怪我をしてるなんて気の毒だ。

すると、考え込んでいた俺をみて、ジルバルド様も何か思い出した、

「ラルト、剪定ばさみはどうだ?ほら?あのテレビ番組で挟んで落ちないとかいう、、、あ、、、っつう?!」

ジルバルド様は氷嚢を落として頭を抱え込んでしまった。

「大丈夫ですか?!」

すぐに駆け寄って彼の顔を覗き込むと。


「ともき・・・」


彼の空色の瞳に、確かに孫の俺が映っていた。

あけましておめでとうございます。

今年も楽しく書き物できたらいいなと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ