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果物狩りは何歳になっても楽しいもの。

ジルバルド様と王都へ戻ることになった。やっと帰れる。

たいそうな休暇となってしまった。王都ではどれだけ仕事が溜まっているのか考えたくないな。

途中であのスーカを買いに行きませんか?と俺は提案してみた。

なぜ途中で寄り道までして、あのスーカを食べに行ったのか、ジルバルド様はまだ思い出していない。

ただ、ルル嬢がおいしそうに食べたという事実だけが記憶に残っている様子のジルバルド様は、彼女の笑顔のためならと寄り道を決めてくれた。

記憶のもどったばあちゃんなら、あのスーカを食べたら驚くほど喜ぶだろうなあ、とマゴ心。


スーカを再び求めて、王族がまた寄り道をしてくれるという話に、辺境の街はまたお祭り騒ぎらしい。

そんな噂話はすぐに王都に伝わったらしく、ルル嬢があのスーカの街へ迎えにくるかも?と。


「ルル嬢がスーカをたくさん食べられるように、現地にて準備をしなくてはなりませんね~」

俺が何気に言った一言に

「ラルト・・・私が収穫したスーカを食べてもらうこともできるだろうか?」

御自らのお手でもぎ取った果実を食べさせたいとか。

また膝にのせて食べさせてやりたいんだろうか、なんだかあやしいぞ。

「あ、いや、変なことはしないからな?!ラルト顔がこわいぞ!」

ジルバルド様は慌てて否定したが、じいちゃんが今までしてきた溺愛ぶりを思い出して訝しんだ。

記憶があってもなくても、この人は好きな人を甘やかしたいんだな。

問題は、前世と違って歳の差がありすぎることだな。絵面的に危険だ。

「わかりました、現地にて調整しましょう。ただし、街の人々にきっと見守られますからね!ルル嬢が大変恥ずかしがるようなことは・・・成人としてなさらないよう・・・」

「わ、私がそんなに信用ならないと!」

「はい。はやく記憶がもどられるとよいですね。」

「即答、、、とは。あちこち記憶が飛んでいて自分でもわからないところがあるんだ。ルル嬢に嫌われることはしてないと思いたいのだが・・・」

完全な記憶喪失というようり、外傷による一時的な部分的な記憶の欠如。

ジルバルドとしての今世、じいちゃんだった前世、どちらも持ち合わせていた人生、まぜこぜの彼の記憶はまだ戻らない。

自分が何者であったか、どんなふるまいをして、幾多の人々にどうかかわったのか、わからないところがあってジルバルド様も少々不安定だ。

「大丈夫ですよ。まあ、少々構いすぎでしたけど、嫌いじゃないと思いますよ。」

がんばっておいしいスーカを用意しましょうね、とフォローをした。





長い療養ですっかりこの館の人とも仲良くなった。

お医者様にも大変世話になった。何度もみなさんにお礼を言って、また来ることを約束し旅立った。

ジルバルド様は腕の骨折は、もうしばらく固定が必要だ。背中は抜糸もしたし、炎症もおさまった。

しかしたいそうな傷跡が残ってしまった。これがルル嬢でなくて本当によかった。


「そういえば、スーカって木の実でしたねえ、あの硬い実は熟すと落ちてくるようで気を付けないと頭などにあたって怪我をするそうですよ。次はあの街で療養、、、なんてことにならないよう、お気を付けくださいね。」

俺は毎年けが人がでるという、スーカの実に関する資料を読んだ。

「恐ろしいことを言うでない。これ以上ルル嬢に会えないなんて、、、ああ、でも熟すくらいの果実ならどれほどおいしいのだろうね?ルルの笑顔が極上に!!!」

ジルバルド様が妄想に入られたのでほっておいた。

ほんと、まじでけが人の報告が多い。他に実をとる技術がないのだろうか?

俺は何か対策がないものかと悩んだ。



「ようこそおいでくださいました!ジルバルド様!」

町長など、お偉いさんの挨拶は前回と変わらず手厚いものだ。

さらに間をあまりおかずの二度目だ、街も王族見たさにお祭り騒ぎだった。

そして王族が欲するスーカがすでにこの街名産品!としてあちこちで売られていた、商魂たくましい!



「ジルバルド様!」


突然、かわいらしい声が歓迎の輪の外からかかった。

ルル嬢とミーシャさんが見える。

わっと人垣が割れて、ルル嬢がジルバルド様にむかって走ってきた。

可愛らしい様子に街の人もほほ笑む、そしてジルバルド様はデレデレして受け止める体勢をしている。

彼女がジルバルド様の腰のあたりに抱き着いたあたりで、すぐに抱き上げられ顔と顔が向き合う。

未来の王様と王妃様の仲睦まじい様子は、この後、この街の絵師によって描かれ教会に飾られることになる。

「会いたかったですわ!」

「会いたかったよ。私の可愛い妃。」

二人とも嬉しそうで微笑ましい。

俺はミーシャさんにお礼を言って、この急な日程について詫びた。

ばあちゃんにスーカ食べさせてやりたかったからな、俺も血はあらそえない。

そしてミーシャさんに会えた喜びも。

俺たちも再開をそっと二人の影で喜びあった。


「さ、皆様方 スーカ農場へご案内いたしますね。もぎたてをご賞味いただけるとあって、熟して食べごろの実を残してあるのですよ。」

町長の案内で、スーカ狩りがはじまる!!

察した方。きっと正解!

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