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ユリアさんに付いて階段を降りると、そこにはキレイな金色の髪をした男の人が椅子に座っていた。
「レオン、あの子が起きたわよ。」
「そう?それは良かった。」
「あ、あの!この度は助けていただきありがとうございました!」
「いや、いいんだよ、ほら、顔を上げて?」
そう言われ、顔を上げた私は初めてその人の顔をを見た。
金色の髪。それと同じ色の瞳。そして整った顔に浮かべる優しそうな笑顔。
ユリアさんといい、この人といい、なんでここには美形が多いんだろう・・・・・?
「名前はセシルっていうんですって。」
「そう、体調はどう?セシル。」
「あ、ありがとうございます!もう元気になりました!勇者さまのおかげです!」
そう言うと、
「勇者?」
と首を傾げられてしまった。
あれ?
「もしかして、ユリアさん、また僕のことを勇者って言ったの?」
「え〜だってその方が面白いじゃない!」
「僕は面白くないよ・・・・あのね、セシル。僕は勇者じゃないよ。むしろユリアさんの方が、勇者っぽいかな。」
「あら!私はそんな勇ましいのになった覚えはないわ!それに、レオンがリーダーなことは事実じゃないの。セシル!言ってなかったけどね、私たち実はーーーー魔物退治業をしているの!」
「え!?ま、魔物ですか?」
「そうよ〜。そして、このレオンが私たちのチームのリーダーってわけ。」
「え、魔物ってほんとにいるんですか?」
絵本でしか見たことない。
そう言うと、2人はきょとんとした顔でこちらを見た。
「え、セシルもしかして魔物見たことないの?」
「は、はい・・・」
「びっくり!そんな人初めて見たわ!」
「僕も初めてだよ。でも、セシルはもしかして、エルマ王国から来たんじゃないかな?」
「はい!そうですけど、どうして・・・・」
「ここら辺の国で魔物が出ないのはエルマ王国だけだからね。なんでも、エルマを取り囲む森を、魔物は通ることができないらしい。」
「そうだったんですか・・・・」
「そうかぁ〜魔物見たことなかったかぁ。私は『すごい!カッコイイです!』って答えを期待したんだけどなぁ〜。」
「すみませんっ!もちろん、ユリアさんもレオンさんもすっごいかっこいいです!」
「あはは、冗談だよ、もう、可愛いなぁ!」
「わわっ」
可愛い、と言いながらユリアさんが私に抱きつく。
人に抱きつかれるのは久しぶりで、こんなにくすぐったくなるものだったかな、と思っていた時だった。
ドオォォォォン!!!
すごく大きな音がしたと思うと、いきなり火の玉みたいなのが部屋に入ってきた。
なにこれ??
「うわ、なんでこんな所に来んの!」
「セシル、あれ、魔物だよ。」
え、この火の玉みたいなのが?
少し驚きながら見つめていると、ひゅん、といきなり飛んできた。
「セシル、危ない!」
とんっ、とレオンさんに押され、避けられたものの、レオンさんと火の玉がくっつきそうになっていた。
「レオンさん!!」
だめ、レオンさんが死んじゃう、助けなきゃーーー!
そう思って手を伸ばした瞬間、ドクンッという鼓動が聴こえたかと思うと、身体中が熱くなった。そして、信じられないことに、私の手からまっすぐ火の玉に向けて、水が飛び出したのだ。水は、意志を持っているかのように火の玉を包み込むとそれを消し去った。
何が起こったのかわからないまま、力の抜けた私はその場にへたりこんだ。