2
雨の中を、私は1人歩いていた。
あのあと、やっぱり本当に実家は罪を働いていたようで、全員が処刑になったらしい。そして会場を追い出された私はそのまま馬車に乗せられ、隣国との境界線で放り出された。そこからは1人だ。森の中のような場所だったから、木の実などを食べることもできたが、雨が降ってはそれも全て叶わなくなった。また、たびたび動物が出てくるのでその度に逃げ回り、私の体力はもう尽きようとしていた。
ここには誰もいない。暗いし、何も無い。怖い、怖い。でも、もうどうしようもない。怖さを紛らわすため、無我夢中で歩いていた私はなにかにつまづき、転んだ。そして、起き上がろうとしたが、身体はピクリとも動かなかった。
あ、もう死んじゃうのかな、私。・・・・ふふ、罪人だからしょうがないか。でも、ヒロインと勘違いして罪人になって死ぬのか・・・・自業自得だけど、嫌な人生だったな。
もう意識が途切れかけている。私は目を閉じた。
まぶたの裏にある人が浮かぶ。
あの日、捨てられてからは会えなかったけれど。もう死んでしまうのなら、最後に会いたいーー
「おかあ、さんーー」
そこで私の意識は途切れた。