思い出の、おばあちゃんの梅干
自分が小学4年生のある日におばあちゃんが、自作の梅干を使って
おにぎりを作ってくれました。
炊き立てホカホカの熱い米を、水と塩を付けた手で
優しく……しかし崩れない様にしっかりと握られた、出来立てのおにぎりを食べた時です。
塩味によって甘く引き立たされる米の味。
それと、さめた時には味わえない、口内の温もりを楽しみながら咀嚼していると
口の中でジャリ……と、不愉快な触感に私は眉を顰めました。
(小石ではなかろうか。いやいや、おばあちゃんが入れるわけ無いし。)
そう頭を傾げるが、口を動かすたびにアサリ汁を飲んでいる時にたまにある
砂利を噛んだ時と同じ感触が消えない。
それどころか、徐々に塩辛さが増していく。同時に、不安も増していき
我慢して飲み込むか、吐き出すか、そのまま朽ちの中にとどめとくか、と
3拓にまとめた時
「おばあちゃん~梅干塩付いてる~。」
隣で一緒に食べていた姉が、笑いながら言いました。
それを聞いて、私は手元に握られているおにぎりに視線を落とし
目をパチクリとさせました。
赤黒く乾燥した梅干に、皮の部分だけでなく実の部分まで
半透明の塩の結晶が沢山付いていたのでした。
それから、たまに食べている内に
口の中で広がる塩味と、ジャリジャリとした触感が結構くせになりました。
人間1日あたりの塩分摂取量、男性は8g・女性は7gと
最近になって知ったのですが、その梅干を1個食べただけで
1日分の塩分濃度超えてしまう気がしてます。
その年から2~3年間はそんな感じの梅干でしたが
最近は塩を入れる量をしっかり決めたようなので
梅干から塩の結晶が取れることは無いので
今はもう味わう事の無い、食べ物の思い出です。