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半人半霊の俺が召喚者に放り出されて異世界観光  作者: 雪月卯月
序章 精霊の森
1/6

1話 どこですかね。ここ。

果たして人類の中で「朝起きたら異世界にいました」という経験をした人間はどれほどいるのだろうか。

少なくとも俺の身内にそんな奴はいない。

というか、考えてみてほしい。


「俺、朝起きたらこことは違う世界にいて、3年ぐらい冒険してきたんだ!」


ということを冗談ではなく本気で言う奴がいた場合、普通はどうするのだろうか。


俺はノータイムで病院に行かせる。


少なくとも、それを本気で捉える奴なんてごく僅かも僅かだろう。

俺としてはそいつらも病院をおすすめしたいところだ。


ところで、

その場合は、精神科がいいのだろうか。

それとも、別の何かそういう専門的な病院があるのだろうか。

まあ、とりあえず真面に取り合ってもらえそうな病院だ。


そして、その日、俺こと赤瀬祐理<<あかせゆうり>>がまさか

「朝起きたら異世界にいました」

という、荒唐無稽な経験をした。



今度から、「朝起きたら異世界にいました」と言われたら、


「俺もそうなんだよ。大変だよな!」


と、意気投合するのは間違いないだろう。




まあ、前置きが長くなったが、要約すると


これは、俺が異世界にいって、色々やるというそういう話だ。


皆様、おはようございます。


木漏れ日の暖かさと空気の良さが相まって目覚めはいい。

あとは、目の前に天井があって、窓から色取り取りの声が聞こえる。

それなら、最高の目覚めだった。

ところがどっこい、そうはいかないらしい。


屋根がない。

そもそも人工物が見当たらない。


状況が分からない。

昨日は風邪をこじらしてしまい、いつもの就寝時間より少し早い時間に寝た。

そして、寝ていたのは一般的な民家の自分のベッドの中だ。決してこんな森の地べたの上じゃない。


……夢か?


一体どこなんだここ?

とりあえずこう座っていても仕方ない


とりあえず立ち上が

「アカセユーリさん!?」

――れなかった。


体に力が入らずそのまま地面にたおれる。


なんだこれ!?


いきなり声が聞こえて驚いたのも間違いないが、妙に体に力が入らない。

足に関しては殆ど感覚すらない。


「ダメですよ!急に動いちゃ!まだ体の構成も安定してないのに!」


体の構成?安定?何を言われているのか、さっぱりだ。

というか、この声はどこから聞こえてるのかさえ分からない。


「もう一人は暴れてるし、もう!!召還する人間違えたんじゃないですか!!!」


どこからともなく訳の分からない声が聞こえてくる。

とりあえず誰かいるのは間違いないようだ。それも一人で姦しい女が。

一人でじつににぎやかなことで。


ただ、こんな訳の分からない状態で、近くに誰かいるというのは御の字というものだ。


「誰かいるのなら出てきてくれ、色々と説明を頼む!!」


焦りやら何やらで声が大きくなってしまった。


「そんなに叫ばなくても聞こえますよ。っていうか、目の前にずっといるんですけどね。やっぱり人間寄りの体になっちゃいましたか。」


「は?……うおおおおおおおおお!?!?」


自分ながらだらしない大声をあげてしまう。

いや、だって、これは仕方ないというものだろう。

突然何もなかったところから、身長40cmほどの女の子が出てきたのだから。


身長40cmだぞ?

生まれたての赤ちゃんの平均身長よりも少し小さいくらいのサイズ。

黒髪のボブ?だったか。とりあえず肩の上で切りそろえてある髪型。

それでもって、体つきは痩せ形の高校生くらいだ。


想像してほしい。

叫んでしまってもしょうがないだろ?


そして、当の小さな少女は


「ひゃっ!?いきなり大きな声を出さないでくださいよぉ!」


少し怒っていた。


「まったく!よく叫ぶ召喚者たちです!!……そりゃ、ちょっとだけトラブルもありましたけど。」


「は?え?召喚者?トラブル?」


驚きが連発で、何か言っていたことが、少ししかわからない。

「そうですよ!こっちは召喚だ。トラブル発生だ。先に目覚めた女の子は暴れだすわ。……正直疲れましたよ。」


「そ、それはご愁傷様」


疲れたという人はとりあえず労う。

そうすれば、話も丸くなることが多い。


少しずつだが落ち着いてきた。

立つことはまだできそうにない。

だが、何とか座ることくらいはできそうだ。


「よっこいせっと。」


よし。座れた。だが異常に体がだるい。


昨日の風邪が治りきっていないのか?


だが、そんなことを言っていても埒が明かない。

今の状況の要点を整理しよう。


まず、朝起きたら深い森の中にいた。

そして、立とうとしたら立てなかった。それに加えてどこからか声が聞こえた。

終いには、少女?が目の前に現れた。


うん。訳が分からない。



とりあえず、この少女に聞いてみる。


「とりあえず、君の名前とか教えてくれるかな。」


「私?私の名前は……ってちょっと待ってください。はい、こちらフィーアです。あ!通信つなぎ忘れてた!ごめんなさい!!」


なんか一人で話し始めた。というより通話でもしているのだろうか。


とりあえず、名前は「フィーア」というらしい。

そして、そのフィーアはずっと誰かと話している。


「あ!はい!わかりました!!私が責任を持ってノル様のところにアカセさんを連れて行きます!!」


どうやら俺は『ノル様』とやらの所へ連れて行かれるようだ。


さすがにどうなるか、本気でわからない。

『ノル様』がそもそもどういう生命体かすらわからない。

少なくとも話の通じる相手であってほしいと切に願う。

とりあえずノル『様』って言ってるんだから上司的な者だろうし、たぶん大丈夫だろう。

そう信じる。


「それではアカセさん。これからノル様の所へ行きますよ。」


気付くと通話らしきものが終わっていた。

そのノル様とやらに合う理由もあるし、行くことには異存がない。

一点だけ問題があるが。


「すまないが、俺立てないんだけど」


そう。立てない。足に力が入らない。

感覚は少しずつ回復してきてはいるもの。

だが、今すぐ立って歩くのは難しい。


「あっそういえば!!ええっと、私の魔素足りるかな……たぶん足りるよね。うん。」

なんか嫌な予感がする。


「それじゃ、転移魔法で移動します。それでは少しだけ待ってくださいね」


ちょっと待ってくれ。

なんだ!?転移魔法って!?!?

しかもさっき「足りるかな」とか言ってなかったか!?

足りなかったらどうなるんだ!?


「待て待て待て」

「はい。転移魔法準備完了しました。それでは、行きますね。3、2、1、転移開始!!」

「話をきけええええええええええええ」



そして目の前が真っ白になって、浮遊感が生まれた。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

この調子で続けていくつもりでございます。

どうぞ、よろしくお願いします。


2017/01/20 追記

 大幅に改稿しました。

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