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人見知り冒険奇譚  作者: ふぁくとりー
初めてのVRMMO
4/40

これはスキルじゃない…PSだ

本日最終話。

一日目にして時の人。

友人に一歩ずつ近づいて行くたびに人波が割れて行く。おぉ、俺はいまプチモーゼだっ!


バカなこと言ってないで、さっさと声を掛けましょうかね。


しょしんしゃシリーズの鎧を着ている友人の横を通り過ぎるようにしつつ、唐突に方向転換をしてその手をがっしりと掴んだ。

「あひぃ!?」

「くぷぷっ……テーナー、私だ」

ちょろっと吹き出しつつボスっぽく言うと、須賀(すが)照菜(てるな)、キャラネームテーナーが私を見て、目を見開いた。


「あぅ!?まさかお手軽身長…ふごっ!」

「リアルネーム、厳禁、おk?」

私はその口をがっちり塞ぎつつホッケーマスクでぐいんと迫る。十分圧力はかけられたらしく、その顔は引きつった。


「お、おっへー……でお名前は?」

「フォルフィフォーケン。アタッチの登録申請届いた?」

「おーきたきた。うん、名前は普段何て呼ぶべきかな?」

「フォルフィフォーケン……フィーでいいよ」

「りょ。一緒に狩りする?前に一緒にやってたβの時の人もいるんだけど」


私は首をひねる。

「完璧ロマン仕様の変則ステプラスネタ装備だからやめといた方がいいよん」

ちなみにGMのクソ仕様まで付いている。

「……おふ……ネタ振り……したんか……フィー」


友人は考えられねーと頭を抱えて、それからアタッチの登録をして別れた。うん、そういやアタッチの説明してなかった。


説明しよう!

アタッチとは、フレンド登録のことである!

以上!


あ、いや手ェ抜いたわけじゃないですごめんなさい。

フレンド登録しておくと距離が関係なく会話ができて、パーティー申請もいつでも出来る。もちろん、その分の経験値が戦ってないのに流れ込む不思議仕様だ。


これを利用した悪質な色々(主に街にいたまま何もせず寄生してレベル上げなど)もあったが、どうやら今は改善したと御達しがあった。

同じフィールド限定で、倒した地点からの距離に応じて経験値が上昇するようだ。


私はさっさか街を歩き始めた。

今見てみると、結構ゲームの画面そのものだ。木の家にあっちこっちでわかりやすい看板がぶら下がっている。石畳の感触が、のろいのくつに響く。

靴は透明だけどね!

NPCは私を見て怯えなかったので、とりあえず早急に門をくぐった。


眼前に広がるのは、ステップのような緑のなだらかな丘。曲線が緩やかに続いていて、塾で先取りして習った三次関数を思い出して不愉快になった。


おっといかん今はゲーム中。忘れろ私。


と、目の前に青い光とともにポップしたのは……


バトラビ LV1

HP30/30

MP10/10


<ステータスの表示には鑑定のLVが不足しています>


大きな白いうさぎさんである。

可愛らしいが、目つきのみがハシビロコウ先輩のような殺気のこもった眼差しである。

鼻をスピスピさせながら、こちらを睨むうさぎさん。


残念だったなハシビロコウは好きなんだ。

トンファーを構えて、摺り足でジリジリと距離を詰める。


「キュア!」

「ふっ!」

腕を振り抜く。トンファーの先がうさぎを掠めた。


グチャァ!


ん?

あるえ?

あるぇーーーー?


うさぎさんがご臨終している。

もう一度言おう。


うさぎさんの頭に掠めただけの牽制のつもりのトンファーが、うさぎさんの頭を半分綺麗にすっ飛ばしている。まぁ脳は出てないけど、青く光る断面を見せて転がった。


いや半分しかないうさぎさんの頭ってだけで既にホラーですねありがとうございます。

ドロップアイテムは、以下の通り。


バトラビの肉

癖がなく、さっぱりしている。歯ごたえが強い。


バトラビの皮

加工することで装備品を作れる。


順当だな。

私はトンファーをアイテムボックスに入れると、素手になった。


物足りなさすぎである。


うさぎさんが現れた。

私はそこに忍びよる様にして、茂みから飛び出した。うさぎさんは硬直している。拳を振り抜くと、VITのおかげか何の痛みもない。蹴りを繰り出して麻痺状態に陥ったうさぎさんは、宙に浮いた。


そういえば、魔法・無があったっけ?

まぁもういいか。


「破ッ!」

蹴りで浮かせたうさぎさんの顎に、掌底がクリティカルである。動物虐待?

これはゲームだ問題ない。

第一魔物に可愛いもクソもあるか。モフモフがどうした。

殴る瞬間に堪能していろバカめ。


私は俗にいういい笑顔でうさぎさんを葬った。


うさぎさんは合計3発で青いカケラに変わって、ドロップアイテムを落とした。

現実でやったら、拳を痛めてただろうな。


二匹屠った時点で、素手にレベルアップを果たした。以下がそれである。


フォルフィフォーケン LV-

種族 カンヘル


HP 80/80(+2)

MP 81/81(+1)

STR 0

INT 51(+1)

VIT 50(+2)(+2)

AGI 13

DEX 0

LUK ±100(上限100)

スキル : 細工LV- 魔法・無LV- 錬金術LV- 料理LV-

残ポイント0


称号

『持たざる者』ソロの状態でLUK増加・微

『暴き屋』PKK行為により24時間ステータス全てに+100


装備

しょしんしゃのいんなー(AGI+3)

くろのまんと

ホッケーマスク

のろいのくつ(効果 蹴りにより相手にランダムの状態異常・微)

テーピング(AGI+10)


割り振りはゼロのとこにはできないので、ちょうどいいだろう。私はアイテムボックスに肉を入れつつ、しばらくうさぎ狩りに励むことにした。


そういえばアイテムボックスと鑑定の表示はされないんだな、と思ってこれも調べたところ、全員共通のためもはや仕様だと考えていいらしい。

別名言い訳ともいう。


次回アップデートまでには載せるようにするとの報告があったので、ちゃんとその辺しっかりしてほしい。


レベルはその日のうちに十上昇して、私は満足してログアウトした。


俗に言う、スタートダッシュを知らず知らずのうちに切って、そしてゲーマーの体力の無さを甘く見ていた。


加えて、こんなゴミスキルばっかりとるやつは一人もいないということを認識もせずにいた。


そして、結局、私は自分が掲示版で話題になっていると知らないまま、次の日もログインすることになった。

一部端末でデコ文字表示のようなので、修正しました。

⁉︎→!?


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