激動の三日間③
突然どうしてこんな話だ?と思う人もいると思いますが、今後の展開上どうしてもここに入れたかったのです。
完全にリアル回であります。スカっとしたかった人ごめんなさい。
======
夏菜の発言で、わかりにくいと指摘を受けたので、修正します。
他の人の発言でわかるようにしました。
学校に到着すると、照菜がむしゅっとした顔をして、私をじっとり睨んだ。
「ねぇナツ、やっぱり動けなかったこと気にしてるでしょ」
「(ブンブンブン)」
「うそね。明らかに気にしている顔です」
そーなのです!と言い切ってドヤ顔をする照菜。思考回路がマッハでモロバレだ。
「……ナツは友達ってギブアンドテイクだと思う?」
ふぅ、と顎に手を組んであてがいつつ照菜がちょっぴり首を傾ける。私はゆるゆると首を振った。
「ぉ、も、わな…」
「そうね。私も思ってない。だいたいナツと話すのが嫌なら、今頃トンズラこいてるわ。ナツ、すっごい緊張してるし」
ぎくっ。
「……そ、…なこと、」
「『そんなことない』?オオアリクイよ!」
面白くないな。
「いつもやらないことだしね、仕方ないと思うわ。けど、ガチガチじゃダメよ!」
そんなこと言ったって無理なもんは無理である。
「んもぅ。ナツったら本当に頑固?強情?ツンデレ?」
最後のだけは違うと断言できる。というか小心者なだけである。
「と言うわけで今日は部活の見学に行くわよ!私の行きたいとこに行ってもらうんだからね!」
わざと貸しであるかのように言った照菜は私の頭をグリグリとグーで挟んで、私は照菜の気遣いに感謝しつつ乱れた髪を整えた。
「それでナツは、この間の新歓のときに見た部活、どれが気になったの?」
新歓……新歓……ああ、部活紹介なんてあったっけ。うーん。
「まさかとは思うけど」
「?」
「寝てた?」
……あっ。
「シマッターって顔してるわよ。まぁ仕方ない。私が入りたいのは三つかしらねぇ」
そんなにあるのか?
「一個が乙女研究部ね。ひたすら自分の萌えるものを探求し、女子力を磨くと言っていたけど実情は乙ゲーやりまくりだって言ってたわ」
なんだその部活。有名無実な同好会でほぼダベるに等しい放課後だな。
「もう一つが漫研ね。ここはBL同好の士とGL同好の士が対立しながらニヨニヨする部活だって聞いたわ」
いやいやいやなんでそんな部活が存続してるの?大丈夫なの?この学校寛容すぎない?さっきの部といい。
「最後にVR研究部。最新鋭の機器とかでどう動けばいいのかなんて研究をしてるらしいのね。零式とZFGを部費で買ったかつてない自分の欲望に忠実な部活よ」
忠実すぎにもほどがある部活だった。ってか予算でそんなことしていいのか?
「最初の二つは興味はあるけどそう大してやりたいとは思わないわね。自分の時間でやれば済むことだし」
「…たし、ぶ…っ、はぃら……ぃ」
「『私部活は入らない』ってねぇ……部活は全員が所属しなきゃいけないわよ?」
……アーアーキコエナーイ。
「というわけで、放課後にVR研究部に行きましょう!」
「…ぇえー?」
「えいえいおー!」
何はともあれ、私は照菜に連れられてその部活のある第三会議室をノックする事になった。照菜は笑顔だが、目の前は結構パニックである。
「はいはい大丈夫大丈夫怖くない怖くない。ほら」
私あんなちょろい小動物じゃないからな。指舐めたりしないから。
第三会議室は旧校舎にあり、人気が少ないのが唯一の救いである。
照菜はためらいなく扉をガラガラと開けた。
「たのもーーーー!」
ドアの開け方が道場破りじゃねぇか。
「ふぇあっつ!?あっつ!!!!!」
黒い髪が顔全体に被さったような人物が、コーヒーを手にかけて熱がりながら机の下に駆け込んだ。ウェーブな上にメガネだが、モサさが付きまとう方の雰囲気である。
「ど、どどどどどどっ」
どこの漫画の擬音語だ。気持ちはよくわかるが。と、もう一つの部屋の中の気配が静かに立ち上がり、「やれやれだz…じゃないわ、やれやれやな」と肩をすくめて立ち上がって来た。
「やっぱり俺が応対せなあかんのやな……初めてさんやなぁ。一年か?」
奥からもう一人出て来たのは、少しチャラい……うーん、チャラいが中途半端な感じのチャラさの人が出てきた。この人も部員なのか?
「おー小さいのう。ほれこっちきて座りやー、な?」
よりによってこいつ!
小さいと言い放ち!
私に目線を合わせて来やがった!
「…っち、ぃって……」
「『あって行って』とはなんやつれないのう。俺は蜂谷玲雅。そっちの人見知りが三枝雄一郎やな。おーい挨拶くらいせんかこの引っ込み思案が」
「い、いやいやいやいや無理無理無理知らない人と話すのなんて無理だよおおおおお」
「しのごの言わず挨拶くらいせんかい部長やろ。……はー、しゃあないのう。いっちゃん詳しい三枝を部長にしたんが間違いやったんかなぁ」
「……あー初めまして蜂谷先輩、私は須賀照菜です。こっちが夏菜。それで、そこの人って一体?」
「あぁ、俺の幼馴染での。人見知りが過ぎて人と話せへんのや。おーいユウ、生きとるか?」
「……あつい……」
どうにも冴えない人見知りさんがまた一人増えそうな予感がする。そういえばハチ先輩は私の声を聞き取れたようだ。
慣れない人は難しいと言うのに。
「へー蜂谷先輩もなんですね。私もほら、ナツ」
「……!」
前に出そうとすんなよ。前に出したらもれなくスカートが回転するぞ。
「あーごめんったら。と、見ての通り人見知り度が凄いわけで……」
ハチ先輩と照菜が見つめ合った。馬に蹴られるか?……そう言う感じではないな。
「よし」
「決まりね」
「「競争ね」」
「「……!?……!?」」
ちなみに私は三枝先輩と二人でパニックになりつつ現状況を飲み込もうと頑張っていた。が、私が考えたところで高が知れている。
過去の有名なデータベースさんも、データベースは結論を出せないんだよと穏やかに笑っていらした。
って違う違う。話が逸れている。
「もしかしてVRって、人見知り治療のために買ったの?」
「ああちゃうちゃう。こいつの親父さんが開発のエライ人やっとってな、それで俺が始めるまでやらへん言うとったんやけど……まさかうちに金がないからと部活の費用で買えるなんて思いもせんかったわ」
そ れ で い い の か。
学校の自由度にZFG運営並みの奔放さを感じる。
「店に並べてあったから塗装はハゲてたんやけどな!」
いや筐体が綺麗なメタリックブルーに恐ろしく緻密なラインを何本か引いたようになっている。
要するにカッコよくなっている。
「これは…誰が?機械だし壊す恐れもあったでしょうに」
照菜の問いには、三枝先輩がテーブルから目から上だけ覗かせつつ答えてくれた。
「……あ、あああああの、ぼ、僕が、……です、ね?父さ、んには……お、教わって……ぃ、まして」
なるほど、すなわち三枝先輩の父親が筐体開発部であったらしい。壊さずにいじれるのか、すごい技術力だ。
「ゲーム、もやれ……って、押し付け…られたから……」
おぉ、アグレッシブだなぁ。
「今は……GM、してる……って」
んん?
「…ちぃ、ふ?」
「!?!?!?」
驚愕を顔に浮かべる三枝先輩。なぜか私のことを見てものすごくびっくりしている。
あちゃー……あの人の息子か。
息子をいじりすぎてこうなったとかじゃ……ないよね?
「…、やらかした……新人?」
「……そ、ぅ」
微妙な空気がちょっぴり流れたが、私は照菜に、三枝先輩はハチ先輩に手を取られて立ち上がらせられた。
「知り合いかはちょっと微妙だけど、仲良くしましょう二人とも!」
「若干話にきいてるくらいな知り合いの感じやったが、部活入んねやからこれでええんとちゃうん?」
手首を握られた手は、まっすぐに三枝先輩に差し向けられる。
三枝先輩も同様だ。
と言うか照菜とハチ先輩がさっきからツーカーだ。その役回りは私のはずなのに。
三枝先輩の手が震えている。
私の手も震えている。
「「……」」
「大丈夫よ。ナツは」
「……照菜……」
相手が震えていた。
条件はイーブンだ。
そろそろと手を伸ばす。
そこで気づいた。
差し出した手は右手と左手同士だった。
「「………」」
私は、三枝先輩がごく自然に右手を出して、私の手を握ったのを感じた。
若干、震えている。
落ち着きを持つまでには、数秒かかった。私はゆっくり息を吸って、吐いた。
「…じめ、ま、て」
「ど、どっどどど、どっ」
風の又三郎じゃないんだから。
「すぅうう、はぁあああ。……ど、どうも、よろしく……」
なんだか緊張していたのが嘘みたいに、私はホッとした。
「ぅえ、ええええん、ナツが他の人の手を握れたぁああああ〝きょうはお赤飯だあああああ」
「せやな……ぐすっ」
嬉しいのはわかるが、もう少し落ち着いた形で祝ってもらいたかった。
さて、ログインだ。私は右手を握りしめて、開いた。
「大丈夫」
同類で傷を舐めあったわけじゃない。
けれど、何かそこには新しいものがあるような気がした。
意識は電脳の世界へダイブした。
夏菜が勇気を貰うために必要な回であり、今後の展開に大いに関わるお二人であります。
拍手で迎えましょうわーぱちぱち。
…あれ?追随がない…
======
握手について。
うっかり握手できる形でしたので修正しました。
ご指摘ありがとうございました。マジで。いやほんと。




