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人見知り冒険奇譚  作者: ふぁくとりー
初めてのVRMMO
10/40

プレイヤーと交流②

ペペロンティーノさん無双。

Q 食事とはァーーー!?

A 仁義なき戦いである。


飯テロだァ!!!!!


======

ご指摘により、⁉︎→!?に変更しました。

<チュートリアルを開始します>

おお、料理は普通のチュートリアルになるのか?

いやでも運営だし……


<町の北の商店街で材料を買って普通に料理してください。以上です>


……What ?


「とりあえず材料を買いに行きましょう」

「はい。お見苦しい所をお見せしました……私のことはペペロンティーノと呼んでください」

「ペペロンティーノですか」

「はい。ペペロン『ティーノ』です」


めっちゃ強調するなよ。ボケを誘ってんのか馬鹿野郎。


北に行くと、メインストリートから一本ずれたところに屋台がいっぱい並んでいた。

海外の朝市のような感じである。


……マグロを一匹丸ごと売っていたのは見なかったことにしようか。


使うのはウサギ肉だ。ただ焼くにしても、色々と面倒そうだしな。

果物の出店に立ち寄ると、砂糖、蜂蜜と林檎を買う。そして香辛料を扱う店でマスタードにシナモン、胡椒とハーブいく種類かを購入して、付け合わせの野菜をジャガイモ、そしてインゲンを買う。ニンニクも合わせて購入。

卵も買っておく。


塩とオリーブオイル、酢を食料品の店で入手すると、東に向かい貸し作業場の前に来たところでインフォが流れた。

<運営からプレゼントが届きました!

開けますか? YES/NO>


迷わず開けたら、中には『しょしんしゃクッキングセット』が入っていた。ありがたくいただいておく。

……マグロ庖丁が入っていたのは見なかったことにしておく。


ちょっとだけ不安だったが、パーティーメンバーフルの枚数だけ皿は入っていたので、ちょっぴり安堵した。

時間は二時間。大してかからないだろう。


まず、取り出しましたるはウサギ肉だ。

バトラビの肉

癖がなく、さっぱりしている。

歯ごたえが強い。


肉の血なまぐささを取るため、刻んだ乾燥ハーブを(危ない表現だ)胡椒と一緒に刷り込んで、放置。塩もしたいが、ウサギは水分が抜けやすいために加熱のしすぎや水分の抜けに注意しなければならない。

ハニーマスタードソースもつけるので、下味はマヨネーズを作った後でよし。


ここで、蒸し器にジャガイモをセット。さっと水洗いしただけでいい。

そういえば皮に栄養があるからそのままにしたけど、これゲームだったわ。


ボウルに卵黄を酢と一緒に入れて、オリーブオイルをちょっとずつ足しながらガシャガシャ混ぜる。そして白っぽくなんとかなったところでようやくマヨネーズができる。

塩胡椒をして味を整え、そこで一部取り分けたところに蜂蜜とマスタードと塩胡椒ををぶっ込む。満遍なく混ざったところで、次だ次。


インゲンは下ゆでをさっとして、それから水を切ってフライパンにオリーブオイルをたっぷりめに入れ、わずかに温まったらニンニクをみじん切りしたものを入れる。香りがついてニンニクが若干キツネ色になったらそこにインゲンを投入。


さっと炒めたら、それを皿に盛り付けておく。

そして、ウサギ肉に塩を振ったら購入しておいた林檎の芯を取り出して、砂糖とシナモン、蜂蜜をそこに詰める。バターを買い忘れていた。失敗だ。

オリーブオイルを気持ち垂らして、ごまかす。

オーブンが部屋についていたので、そこで焼く。時間は鑑定結果により二十分と出たので、それに従って温度を低めにしつつ設定。


さて、肉を焼いていこう。

フライパンに肉を並べて、表面に焼き色がついたところで『料理用の湧き水』を甕から汲んで、少し回しいれて蓋。

お前なんて蒸し焼きになればいいんだ!


ハニーマスタードソースを片手に構えて、フライパンを開ける。

蒸気がブワッと上がって、フライパンから逃げて行く。水っぽくならないようにタイミングを見計らって。


いざ!


じゅわぁ、と音と香りが広がる。背後で全員が喉を鳴らした音。

私は数回フライパンを揺らして、火からおろして皿に盛り付ける。ジャガイモはすでに蒸しあがっている。

あーバターを忘れたのが悔やまれるよう。


そしてジャガイモをあちちと言いつつ切り分け、皿に盛ると残っていたハニーマスタードソースもそこにかける。


オーブンもあと十分といい感じの時間帯だ。


「はいどーぞ」

『いっただきます!』


私も器はちょっと違うけど、食べ始める。

カリッとした外側に、癖のない淡白な肉。けれど、それはハニーマスタードソースの重さで気にならず、むしろいい方向になっている。蒸し焼きした肉はパサパサせず、むしろ程よい肉汁を提供する。

ハニーマスタードの甘く、かつピリッとした風味が刷り込んだハーブとマッチしている。マヨネーズはさらにそれを引き立たせる酸味だ。


ジャガイモはほっくりとして、ソースをベタベタに塗りつけて食べるとしっとり感が増して美味しくなる。

味のリセットのために置いていたインゲンのオリーブオイル炒めも、ニンニクが効いていていい。特にインゲンに味が少ししみていて、なんだか箸が(フォークだけど)進む。

うまい。


と、ボンヤリしていたらなくなった。

全員も残念そうな溜息をつきつつ、私をじとっと見る。

でももうない。無い袖は振れないのだ。アイテムボックスになんか余った分はしまってない。

ないったらないのだ!


……そんなに睨むなヨォ……。


と、ここで焼きリンゴが焼きあがったらしい。私はそそくさと逃げるようにしてオーブンを開けた。


そして、暴力的なまでの芳香が広がった。


全員の視線が背中にチクチクと当たる。痛い。

そして、まだ未練がましくフォークを皿に浸して舐めていたペペロンティーノさんもバッッ!と顔を上げて満面の笑みを浮かべている。


こいつら全員、飢えてやがる……。


テーブルに置いた瞬間、凄まじい速度で笑顔のペペロンティーノさんが全員の伸ばした手を払った。アイスがびっくりした顔でペペロンティーノさんを見る。

一応斥候っぽいし、AGIにも振ってたんだろうなあ……。

「等分よ。私が責任持って分けるわ」

「リーd「私が分けるわ」

にこにこにこ、と聞こえてきそうな顔で言い放つペペロンティーノさん。


すいません私にはどうしたらいいかわかりませんでした。

ナイフはペペロンティーノさんの手に握られている。


あっという間だった。

あっという間に一つの大きいものと六つの小さいものに不均等に分けられた焼きリンゴは、目で(私以外は)捉えきれない速度で、大きいものを自分の皿に盛った。


そして素早く小さい方に合わせて大きかった部分を切り分けて、ペペロンティーノさんがそれをものすごいスピードで口に入れて、もぐもぐしていた。


…もうわけがわからないよ。

あんた魔法職だよね?


ペペロンティーノさんのお皿には、すでに他と同じ量の焼きリンゴしかない。

証拠の隠滅スピードが、やばい。

「リーダー、ちゃんと当分に分けました?」

「もちろんよ♪」

大嘘である。ここまで図々しいといっそ清々しい。

「ならしょうがないけど……」

引くな。目の前には裏切り者しかいないぞ。


…自分では言えないけどな!


焼きリンゴを手に入れた私は、それを口に入れる。と、林檎が口の中でとろけた。

シナモンがわずかに香りを残して、余韻を醸し出しているが、林檎は甘酸っぱさを儚く残してとろけてしまった。

あゝ無情。


いや、美味しい。美味しいのだ。

けれど、物足りない。

スイーツは甘すぎると十分だと思ってしまうが、これはもっと食べたいと思わせる魔性の焼きリンゴになってしまった。

なってしまった。


気づいたらお皿から林檎は消えていて、私は見つめてくる全員の視線を一身に受けて、そそくさと片付けを始めたのであった。


ちくせう、睨むなら君らのリーダー睨めよう。ぐすん。

そういえば、汚れた皿はどうしたらいいのだろうか?


<料理のチュートリアルは終了です>

って忘れてたわチュートリアル中だった。

てか何もしてねぇしインフォ。


運営極端すぎるわ。


<料理のレベルが5上昇しました>

<『初心者料理人』の称号を獲得しました>

<魔法『洗浄』を獲得しました>

<レシピ『魔性の焼きリンゴ』『ハニーマスタードプレート(バトラビ)』を獲得しました>


OKOK、順番に行こうか?

まず、レシピはハニーマスタードソテーその他を一皿に盛ったからプレート。そして焼きリンゴは……ツッコミどころがあるが共感はできるので放置。


料理レベルの上昇が著しいのは、手順を多く経たからだろう。恐らくだが。

称号の方も納得できる。


で、ちょうどよく『洗浄』ってなんぞや?


『洗浄』

耐久度減少の元になる汚れを落とせる。汚れを落とせる範囲は、INTに依存して拡大する。


ふむふむなるほど。

すごく便利なようだ。分類的には魔法欄にある。


もし泥まみれになっても、全身丸ごと洗えるというわけだ、すごくありがたい。

私は皿に洗浄をかけてみる。


フォン、という音とともに皿が緑の光に包まれて、皿はペカペカになった。

うん、便利だ。具体的には全国の主婦の方々が発狂して、食洗機メーカーがマスコミに圧力をかけるレベルで便利すぎる。


そういえば、料理ってなんか付加効果とかあるんだろうか?見忘れてたけどまぁどうでもいいかな。




この日のログインを終えて、私のアタッチ人数は七人に増えた。

その後サンダースがめちゃめちゃ掲示板ではしゃいでいたのを、私は知らないままだった。




フォルフィフォーケン LV11

種族 カンヘル


HP 90/90

MP 158/158(+32 効果残り07:27)

STR 20(+20 効果残り07:27)

INT 128(+32 効果残り07:27)

VIT 70

AGI 13

DEX10

LUK ±100(上限100)


スキル : 細工LV2 魔法・無LV2 錬金術LV2 料理(New!)LV5(↑5) グラム判断LV- 宝飾LV-


魔法(New!)

・『衝撃波(ショックウェーブ)

衝撃波を相手に叩き込むことで、ダメージを与える。追加効果 : 爆散

・『洗浄』(New!)

耐久度減少の元になる汚れを落とせる。汚れを落とせる範囲は、INTに依存して拡大する。


レシピ(New!)

・ポーション改

・魔銀のブレスレット

・パーツ : オリジナル①

・魔性の焼きリンゴ(New!)

・ハニーマスタードプレート(New!)


残ポイント0


称号(New!)

『持たざる者』ソロの状態でLUK増加・微

『暴き屋』PKK行為により24時間ステータス全てに+100

『錬金術師のタマゴ』錬金に際し、LUKに関わらず錬金成功率を1%上昇させる。

『細工師の卵』DEXが細工の時わずかに上昇する。

『初心者料理人』(New!) 料理に際して、味を1%上昇させる。BUFF効果通常の2%増



装備

しょしんしゃのいんなー(AGI+3)

くろのまんと

ホッケーマスク

のろいのくつ(効果 蹴りにより相手にランダムの状態異常・微)

テーピング(AGI+10)

魔銀のブレスレット(フォルフィフォーケン作)

ランクC+

ルビーが連結されている魔銀のブレスレット。

INT+15

DEX+10

耐火(微)

ちなみに気になったのにステータスは確認しないままログアウトしたフィーちゃんは、当然掲示板など見ていない。

…見る、わけがない。


=======

マヨネーズの製法に関して、油を一気に入れては固まらないとのご指摘がありました。

修正をしておきます。


======

ご指摘により、ブレスレットを装備させました。コピペは気をつけねば…。

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MP分の数値を増加させ忘れていました。INT依存なので、追加しておきます。


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技名の修正しました。

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