強欲なる選択
再び夢が現実か分からない空間へと引き戻された。
とりあえず、わかるのはここが教室で周囲の冷たい視線があり、そして数十分後にフードの少年が襲撃しにくること。
まずはここから離れよう。
急いで向かった先は、校舎裏の森林だった。
どこまで逃げればいいのだろうか。
逃げて状況は変わるのだろうか。
ある意味期待を裏切らない登場、前方の木陰からフードの少年が現れた。
ただ今回唯一違うのはフードの少年が現れると同時に、時間が切り取られたかのように周囲の一切が止まる。
勿論、フードの少年も微動だにしない。
カズヒロの真横にもひとり姿を現した。
暗闇の中の少女だった。
少女はおきまりのセリフを吐く。
「理想と現実、どちらを選びますか?」
三度目とあらば、流石にこの問いを考えるくらいの余裕はある。
そもそも理想とは、恐らくピンチからの脱出手段。
現実とは、悪夢の継続ってところだろう。
ならば、
「生憎、バッドエンドは嫌いでね。理想の現実だ!」
とカズヒロは返した。
少女に呆れられただろう、短い溜息をつかれ、
「強欲ですね。」
と言うなり、指を鳴らた。
止まっていた時間は再び動き出し、フードの少年が二人を睨む。
少女が少年に語りける。
「このアヴァリス、カズヒロ様を主とする。」
少女の一言で何かを察したのか、悔しげな表情で逃げ去っていった。
二度も繰り返した死線を、こうもあっさりとひっくり返されてしまったので、カズヒロは腰が抜けてしまった。
暫くして、少女はこちらに振り返り、頭を下げた。
「改めまして、私は強欲の使い、アヴァリス。以後、主であるカズヒロ様に忠を尽くします。」
「へっ?」