私は転生悪役令嬢のようですが、婚約者に遊ばれるってどういう事ですか?
「マルセルおにいさまっ。できました。」
「うんうん。レティはすごいね。」
なんだって…!?
あ、皆様こんにちは。
キャシリア・ラルフォードです。
とりあえず、ゲームでは悪役令嬢です。
え?今?
そんなの決まってるじゃなーい!
ただのシスコンですが何か?←
「“陣”は自分で作らないといけないからね。」
「はい、おにいさまっ。」
はい、この“陣”の話ですね。
この世界の魔法の使い方は、簡単に言えばこの陣に魔力を流して使います。
陣は人それぞれ。
火・水・地・風・そして光があって、その象徴やら文章やらを陣に組み込み、それを衣服や武器に刻みこみます。
そして、その陣に魔力を流し込むと、足元にその陣が浮かび上がり、魔法が発動します。
もちろん、適性もありますから闇雲に陣に情報を組み込んでも無駄ですし、これは完璧に人の個性です。
大体は属性は1つ。
2種類を持っているとかなり珍しいです。
もう1つ珍しいのが光属性です。
これはいわゆる、“回復魔法”を持つ属性でとても重宝されます。
はい、これが私の可愛い可愛いレティの属性です!
天使で光…完璧です!
ヒロインはゲームでは光を含めた全ての属性に適性がありましたが、正直ファンタジー風味の乙女ゲームだったので、どれだけすごいのかはよくわかりません。
ちなみに私は火と水。
2種類持ってて珍しくて祭り上げられたから、余計に調子のった我が儘お嬢様になってました。
まあ、今考えれば…
火事になっても大丈夫!
って感じです。
陣は、ペンダントに刻んでいます。
記憶が戻る前から持っていたけど、自分には才能があるとたかくくったお嬢様(私)は全部の属性の情報組み込んだゴテゴテの陣で、ものすごく発動しにくかったので作り直しました。
使えもしないのに、無駄に書くなって感じです。
え?今日は大人しい?
あー突っ込みもしてないから…
いや、あのさ、突っ込みたいわけよ?訳なんだけど、
「マルセルおにいさまは物知りなのですねっ。」
「そうかな?レティも物覚えが早いよ。教えがいがある。」
「えへへ…。ありがとうございます。」
照れてるレティ可愛いっ!!
って、そんなのは当たり前で、そのレティの相手が問題なんだよ、コノヤロー!!
マルセル様どうしてここにいるんですか!?
おにいさまって何!?
朝、急に来たと思ったらお父様ニコニコしてるし…
お触れあったんですね!?
私に言わなかったってどういう事!?
言って!言ってよお父様!!
「…キャシー。大丈夫かい?」
「おねえさま?」
少し意識がどこかに行っていた私を気にして私の顔を覗きこむ2人。
ああ、天使が2人いる…
同じ年でも、まだ10才だとマルセル様は私より少し背が低いし華奢だし…
って、マルセル様ちょー笑顔!ものすごい笑顔!!
これ確信犯だわ!私が可愛い顔に強く言えない事気付いてわざとやってるわ!!
「だ、大丈夫ですわ。レティ。マルセル様に教えていただいてよかったですわね。」
「はいっ。」
「こういう事ならいくらでも教えてあげるよ。僕の将来のお嫁さんの妹なんだから。」
「……っ!?」
確信犯コノヤローーー!!!
私が耐性無いのも気付いてんのかよーーー!!!
顔が熱い…
「?おねえさまどうされました?お顔が赤い…」
「な、なんでもないですわ、レティ。」
「熱でも出たかな?キャシー。」
「え?おねえさま、おからだつらいですか?」
「大丈夫ですわ。レティ。少し顔をこすってしまったようですわ。私は元気なのですから、そんな泣きそうな顔をしないで。」
「…はい。」
姉さん元気!
レティの可愛さがあれば姉さん倒れない!!
だから、そこの確信犯!
レティにいらない心配かけるなコノヤロー!
自分は楽しそうに笑いやがって…
あ、ヤバイヤバイ口調が男の人みたい。
「レティ様。旦那様がお呼びです。」
「お父様が?わかりました。おねえさま。おにいさま。失礼します。」
お父様の執事に伝えられ、レティはぺこりと頭を下げて駆けていく。
転んじゃうから走っちゃダメよ!
あー…でもちょっと助かった…
私が言ってもレティ心配そうに見てたし。
「助かった、って顔だね。」
「…誰のせいよ、誰の…」
「俺かな?」
「わかってるなら…!」
「ふっ…俺もいるのに、レティばかり見てるからだよ。」
なっ…………!?
その笑顔のまま私の頬をサラリと撫でるから、私は後ろに飛び退く。
といっても、座ってるからそんなに距離はとれないんだけど…
つーか、メイドどこいった!?
サラさーん!メリルさーん!
「俺はキャシーの婚約者なんだから、もっと見てくれてもよくない?」
「わ、わわわ、わ!!、?」
そんな悲しそうに見られても私はどうすればいいかわかんないし!
助けてーレティー!
「…まあ、男性経験無さそうだし、仕方ないのかな。でも」
「で、でも?」
「これからも俺を意識しないようなら……ね?」
ね?って何!?
首コテンて!
可愛いけど!!
うわー笑顔に戻ったー!
なに?そんなに私は面白いのか!?
顔が熱い!
後生ですから誰か助けて!!
夕方。
マルセル様はものすごい笑顔で帰っていかれました。
それはもう楽しそうな笑顔で、殴ってやりたくなりました。
お父様の仕事が片付くまで、王様の屋敷に留まっている私達ですが、早急に帰りたいです。
ですが、妙にマルセル様になついたレティが、今度はいつ来るのかと楽しみにしています。
複雑です。私はどうしたらいいですか?