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仮面サーカス  作者:
序章
6/11

記者の話5

支配人の部屋よりやや質素な客室に案内される。


キョロキョロと客室を物色する川崎を他所にソファに腰掛ける。


「……おい、川崎。」


「いやー、ワクワクするな!」


「人の話を聞け。」


「ん?なんだ?」


「……可笑しいと思わねぇか?円卓会議なんて……アーサー王物語みてぇな巫山戯(ふざけ)た会議なんて……。」


「そうかな?」


「それに……」



“このサーカスは何か可笑しい”



その言葉が出て来ない。


真っ直ぐな目をした川崎に向かって言う勇気がなかった。

川崎が光属性なら、俺はノーマル属性だろう。

それ程の差があった。


「大丈夫だ。絶対いい記事になるぞ!」


結局、川崎の言葉に流される。



客室の扉をノックする音がした。

相手は例の副団長らしい。


「準備が出来ました。」



「よし、行くか。」


先陣に立つ川崎。



この時、川崎を止めていたら。

なんて、何度も後悔した。





「どうぞこちらへ。」


案内されたのは薄暗い部屋……部屋と言うより空間に近い。

目の前には鳥籠を半分に切断したような物が二つ。


外国の裁判で被告人が立たされる場所に似ている。


川崎がそれの左のヤツに立つように促され、俺は右隣の方に立つように言われた。



副団長が鍵をかけ、俺達の前に背を向けて立つ。



「これより、円卓会議を開廷します。」


副団長の言葉と同時にライトが当てられた。

眩しさに一瞬だけ視界の感覚が麻痺する。


「っ……」


目が慣れてきた。

まず、視界に飛び込んで来たのは議長の様に木槌を持ち、艶やかなカーブを描く円状のテーブルの向こう側に座る副団長。


その背後には魔王の様な椅子に優雅に座る支配人。


向かって左。副団長の右隣。

その席にはペストマスクを被った人物。

目の前に水晶を置き、頭には魔女のようなとんがり帽子。

花のコサージュを着けていることから、女性であると推測出来る。


向かって右。副団長の左隣。

巨漢が座っていた。

大柄な体格には似合わない、ダンボール箱で作られたTVを被っていた。


巨漢の隣には、あの人魚の歌姫がいた。

公演とは違い、紅い着物に狐面といった鮮やかな姿。

下半身は見えない。


それ以外は未だに死角にいるため分からない。

だが、

このサーカスは異常だ。


そう思うのには十分過ぎた。

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