表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面サーカス  作者:
序章
2/11

記者の話 1

『都市伝説』



老若男女問わず、こういった娯楽話が好きだ。


もちろん俺も。



「男優の○○○と一般人女性の熱愛……くくく、明日のニュースはこれで決まりだぜ。」



そう呟きカメラのシャッターを切る。


誰しも娯楽に飢えている。

都市伝説やら噂話、報道。

俺はそんな飢えた奴らにネタを提供する立場にある。

つまりパパラッチだ。



有名人の特ダネが取れた所で所属する出版社に一時帰還する。


うちの出版社には特ダネを扱う部署の他に、何故か都市伝説やらのオカルト話を扱う『オカルト部署』がある。


しかも、同期が部長。


新人時代から振り回されっぱなしだが何の因縁か付き合いは長い。



編集長と熱愛報道の打ち合わせの帰りに、そんな同期に呼び止められた。


「よっす、谷口!」

「……よぉ」

「打ち合わせの帰りか?良かったら一杯どうだ?」



俺とは違い、ハキハキとした喋り方の熱血野郎。

川崎はそう言った。



「……いいぜ。」

「よっしゃ!ちょっと待ってろ、荷物を取ってくる!!」


川崎はバタバタと走りながらオカルト部署へ戻って行った。


何故、熱血である川崎がオカルト部署に入ったのかは出版社七不思議の一つに数えられている。


余談だが七不思議の一つに『屋上のうめき声』というのがあるがそれは屋上が編集長の昼寝スポットであり、うめき声は寝言という結果だ。


慌ただしい音とともに川崎が走ってくる。


出版社の外は早くも夜



居酒屋が並ぶ路地は混雑するから余り好きではない。

行きつけの居酒屋へ向う途中、川崎はずっとオカルト話だ。




行きつけの居酒屋に入る。この居酒屋はメニューが豊富で好きだ。

いつものカウンター席に座り、メニューから適当に頼む。



「それで、本題はなんだよ。」

「察しがいいな、谷口!」

「何年つるんでると思ってんだよ。」

「同期だから約7年だな!!」


川崎は熱血であり天然である。


「実はな、面白い都市伝説を見つけたんだ。」

「……ふぅん」

「“サーカス”って都市伝説だ。」

「サーカス?」

「ああ、『そのサーカスが街に来ると、一人行方不明者が出る。』っという都市伝説だ!」

「誘拐か家出だろ。」


胡散臭い話だ。確か前も『河童が出たらしい』というガセネタを掴まされていた。


「いや、違うぞ。この都市伝説は本物だ!」


バンッ!とカウンターを叩く。


「その心は?」

「そのサーカスから見事、逃げ出した者がいる。」

「ふーん……」

「しかも!そのサーカスが隣町に来るらしい!!」



ドヤ顔の川崎が突きつけて来たのは2枚のチケットとチラシだった。


黒地のチラシ白いインクで描かれたレースの様な装飾。

川崎の手で読みにくいが白い文字でハッキリと“サーカス”と書かれている。


「……何処で買った?」

「深夜にチラシ配りと一緒に販売もしててな!谷口と行こうと思って買った!!」



恋人と行け。

そう思ったが、よく考えるとコイツに恋人はいなかった。



川崎からチラシを奪い、じっくりと読む。


『マスケラル・サーカス』

『甘い物を持参ください。』

『心臓の弱い方、お断り!』

『入場時、仮面を貸出します。』



“マスケラル”……確かイタリア語で『仮面』だったか。

大学で外国語を学んでいたことが(こう)を成した。


甘い物持参?外国のサーカスのようだから、チップ代わりか?



「なーなー、谷口ー、一緒に行こうぜー」

「……貸し一つだ。」

「よっしゃ!!」




開演は明後日、夜12:00




ガセネタだったとしても普通の娯楽には丁度いい。



そう




間違ってもそう思ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ