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■断章二   凶謀の思恋情

■断章二   凶謀の思恋情


 今日一日観察しただけでも良く分かった。やはりチカを幸せにできるのはこの世にただひとりだ。そしてそれは私ではないのである。彼と結ばれることこそチカの幸せであり、我が望みだ。しかし我が願いは私がチカと結ばれることである。

 望みと願い、すなわち願望。我が願望を共に叶える唯一の方法、それを成しうるのはこの世界では私のみだ。全知全能とまでは言わぬが黄金の領域に達した私なら不可能ではない。

 問題はこれが私の属する秩序の勢力では忌み嫌われる類のわざ――混沌と称する勢力の成す業であることだが……今の私には勢力にこだわることそのものが愚かしく思えている。

 人としての存在を捨てて黄金の領域に踏み込んだそもそもの理由が人の身にては成し得ぬことを成したかったがゆえだ。勢力の奴隷や手駒になるためではないのである。

 属性を超えてでも、禁忌タブーを破ってでも成したいことを成す。それが黄金の領域に達したものの特権だ。これまではその方向性が秩序の勢力と一致していただけのことである。今の私はチカのためなら世界ひとつの運命を変えることすらいとわない。秩序の勢力が私をちゅうしようとするのなら、それを迎え撃つ覚悟もある。

 もっとも、秩序の勢力にとって嫌悪すべきことではあっても誅するまでは至らぬだろうという読みもある。黄金の領域まで達したものは秩序と混沌の勢力に別れ、世界をいくつもまたにかけての戦いを繰り広げているのだ。私が庇護する世界で私が何をして戯れようと気にかけるものはほぼいるまい。


 私は創造力の翼を広げ、一体の夢魔を創りだした。その能力は、複数の夢を繋ぎひとつの夢を見せることにある。我が望みと我が願い、我が邪なる願望を同時に叶える為の、これが最初の一手だ。私は侵略する。皇恭一郎、お前の夢を……。


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