■断章一 エピゴーネンでも恋がしたい! 戀
■断章一 エピゴーネンでも恋がしたい! 戀
この物語は私好みだな。特にこのチカという少女がいい。こんな愛らしい少女と巡り合うことができていたら、私の人生も違った物となっていたかもしれない。
チカ……チカに会いたい……。
なんだ? この感情は一体なんなんだ? 寂しい? 切ない? なぜこのような感情が? そんな、馬鹿な……まさか、恋? 恋だというのか? こんな年端もいかぬ異世界の少女に、黄金の領域にまで達した私が、よりによって恋をしたというのか? 私が覚醒してよりの年月の一割にも満たぬ、まだこんな子供同然の娘に? なんと愚かな――。
ヒトの身を捨てた私が今更恋だと? うら若い乙女に恋だと? 異世界の存在に恋だと?
なんと愚かしい――許しがたい……そして、抗いがたい誘惑であろうことか。
私は……狂ってしまったのだろうか? 恋に狂ってしまったのだろうか? 恋などいつ以来だろう。いい加減歳の差を考えるべきだ。そのようなことは人として許すわけには……いや、もはや人ではないのだったな。私は人ではない……ならば……ならば古代神話の神々のように私は私の持てるポテンシャルの全てを己自身の願望充足のために使おう。
全てはこの恋を成就させるために。
しばし待つが良い。
我が想い人……小日向千佳よ。