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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

取り替えっ子

作者: 舘津テト
掲載日:2026/04/23

 きょう、ごさいのおたんじょうかいのあと、おかあさまが、だいじなおはなしがあると、おかあさまの おとなりのへやにつれていってくれた。


 とうしゅの、ちすじにかかわる、だいじなはなしなんですって。おとうさまがここにいないのは、そういうことなのね。おとうさまは、ここへははいれないのだわ。


 ありしゃは、かしこいこだから、ごさいでもわかるでしょう? と、あたまをなでてくれながら、おかあさまがいいました。


 おかあさまのおとなりのへやには、はじめてはいりました。ちすじのものしか、はいれないしかけがあると、おかあさまがいっています。

 かぎは、おかあさまの◯◯◯の◯◯◯◯です。


 かぎにするのは、とうしゅのからだのいちぶなら、どこでもいいそうです。

 わたしもおかあさまとおそろいにしました。

 おかあさまがとおろくしてくれました。とうしゅが、つぎのせだいにひきつぐやくめがある、といっていました。


 なかには、ちいさいきんこがありました。

 きんこをあけるのも、ちすじのもののまりょくがひつようだそうです。

 なかにはおおきなはんこ? と、なんまいものかみがはいっています。

 だいじなしょるいよ、とおかあさまがいいます。おかねのふくろもあるそうです。おかあさまがいれば、わたしにはそれでいいのですけれど。



694年6月2日


 お母さまがお亡くなりになりました。

(お母さまが以前、日記には、日付けが必要と言っていました。さかのぼって、おぼえている日は書いています)


 わたしはまだ十にもなったばかりなのに。急に、身体の具合が悪くなったかと思えば、何もしゃべれなくなって、すぐでした。

 ああ、お母さま。


 わたしは涙でおぼれるくらい泣いて、泣けなくなってから、日記を書いています。ああ、また泣きそう。


 お父さまは、どこかへ行ってしまいました。

 哀しみを家いがいで出しているのでしょう。



694年7月27日


 お父さまが、女の人を連れてきました。

『お前の新しいお母さまだよ』と言いますが、わたしのお母さまは、お母さまだけです。

 そう言ったら、お父さまと女の人に、無言でにらまれました。

 よく、物語で読む、“ごさい” でしょうか。

 “ぎし” も “ぎまい” もいないようですが。



694年8月2日


 今日、あの女の人が、お部屋をとりかえる、と言いました。

 わたしの部屋をあの女の人が使うそうです。

 わたしは、1階のすみの、家具の予備がつめこまれている部屋の、端です。


 お父さまは、見ていたのに、見ていないように去っていきました。

 こうぎしていた使用人たちは、しばらく後、見なくなりました。



694年8月3日


 お勉強をしているところ、あの女の人が、どなり込んできました。

 となりの部屋へ、どうやって入るのかと。

『つま』なら入れるはずだ、とお父さまは言っていたそうです。


 何かイヤな感じがしたので、『知らない』と言いました。

 女の人は、感謝もせず出ていきました。

 お母さまなら、『人に何かしてもらったら、感謝するのよ』と言っていたのに。



695年3月3日


 今日から、かていきょうしが、突然来なくなりました。女の人が辞めさせたそうです。

 まだげんごも、歴史も、マナーもちゅうと半端なのに。間違えることもたくさん。

 勉強部屋にも来るな、と言われました。

 食事も、食堂ではなく部屋で食べるように、と言われました。


 メイドのミーサが、お国では今、聖女さまが召かんされるようで、貴族もしょ民も、大にぎわいだそうです。



695年3月10日


 なじみの使用人たちは、次々辞めさせられ、やる気のなさそうな人たちに、どんどん変わっていきます。

 わたしは、このたいぐうの悪さから、しいたげてもかまわないのだと、そんな人物に見られたようです。


 前のメイドなら、ふつうの食事を持ってきたのに、だんだん悪いものが混ざってきます。


 ミーサもいなくなってしまいました。


 お母さまの、お父さまやお母さまは、りょう地から出てきません。お母さまのことも伝わってないのかも?


 4月1日には、聖女さまが召かんされるようです。わたしはお祝いに参加できるのでしょうか。



◇ ◇ ◇



 日記は、ここで途切れていた。

 日記の一部は、人の指で消されたようにこすられていた。読み取れるように魔力鑑定をしたら、《みぎてのなかゆび》だそうで。

 あの男は、たとえこの日記を見つけたとて、魔力鑑定さえ思いつかなかっただろうな。

 もちろん日記は、見つかりづらい場所に隠されていた。あの消された部分も、自分で『書いていては良くない』と思って消したのだろう。

 本当に賢い子だ。


 この家の捜索を始めてから、唯一の長女のだと言う部屋に連れてきてもらって、その質素さに驚いた。壁のあちこちがボロボロだ。日記には一言も文句は書いてなかった。

 子どもの虐待だけでは捕縛はできないが、あの男は、入り婿で当主の代理だ。血筋ではなければ、貴族の家の乗っ取りだ。大罪である。しかも女は平民であると言う。娼婦の身請けだ。ますます大罪である。


 領地の祖父母は身体を弱くしていて、領地の経営はほぼ家令が指揮を執っているとか。

 これで祖父母も亡くなっていたら、本物の血筋は長女しかいない。母親は一人っ子だったそうだ。係累もいない。もうこの家の将来は『お取り潰し』だろうな。


 聖女の召喚が無事に終わったあと、代理印では処理できない案件で、当主印を使いたいと、あの男が大騒ぎを起こして家中を探したところ、長女はすでにいなかったそうだ。

 まあ、そのおかげで、様子がおかしいと捜査の手が入ったのだが。


 召喚がなされたと同時に、神殿には一つの神託が降ろされた。


『当代の《聖女》も、一人につき一人、この世界から《交換で》人を差し出す。もっとも哀れな人間を』


 スラム街の人間よりも酷い暮らしをしていたのか、長女は。神にも哀れまれるほどの。


 あちらへ渡ったなら、どうか平穏な暮らしを願う。

思いついて3時間くらいで書きました。

いつもAIさんに添削してもらってますが、スマホだと行き届かない部分があるかと思います。

お話のあとの部分は皆さんのご想像にお任せします。

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