~ミステリーツアー~
今日は大学最後の思い出作りとして、俺の所属するテニスサークルのメンバーで貸し切りバスでミステリーツアープランの旅行だ。
この旅行が終わったらみんなともお別れ
就職する奴。大学院に進む奴。就職が決まってない奴。
それぞれの道へ進むことになる。
俺はこの旅行が終わったら就職先の関係で地方に飛ばされることが決まっている。
「みんなは何を思い、何を感じ、この時間を過ごすのかな・・・最後だし思いっきり楽しもう」
俺はそんな事を考えながらバスに揺られていた。
まさかこんな形でみんなと別れることになるとはこの時は思ってもみなかった。
~ミステリーツアー~
「ってかさ!!いくらミステリーツアーだからって2万円で4泊5日の旅行でバス貸し切りなんて安すぎじゃね??」
俺の隣の座席に座っているこいつは「三宅竜司」大学に入学して一番最初に仲良くなった友人だ
こいつとは入学当初から卒業に至る今までずっと大学生活を一緒に過ごしてきた。
「確かに安すぎる気はするけど 宗司 がプラン立てたんだから間違いないっしょ」
「内藤宗司」こいつとはサークルに入ってから友人になった頼れる兄貴的な存在でサークルのまとめ役。まぁ部長みたいなもんだ。
「ハハッ言えてる!!しかしミステリーツアーなんてまさか宗司がこんなチャレンジするなんて思わなかったは」
竜司はそう言って鼻で笑った。
「なんだよ悪いかよ!!一回行ってみたかったんだよね~まさかみんな賛成してくれるとは思わなかったけどな」
宗司が二つ前の席から身を後ろに乗り出して来た。
「だってちょっと面白そうだったんだもん!!」
「私も~」「宗ちゃんのプランなら大丈夫だと思うし」
みんながそれを見て笑いながら言った。
それにしても宗司の人気と信頼の厚さにはたまに驚かされる
まぁそんな俺も宗司の事を信頼しているし、一人の人間として尊敬までしている。
一度はバラバラになりかけたサークルをまとめあげ
入った時からあった派閥をなくし一つにしたのだから
こんなに楽しい時期を過ごせたのは宗司のおかげでといっても過言ではない。
バスが出発して2時間経っただろうか
バスに車内放送が流れる
「ミステリーツアーに参加していただきありがとうございます。」
「本社はのツアーはよりみなさんに楽しんでいただくためこれより車内から外の風景が一切遮断されます。」
放送と同時にバスの窓が真っ暗になり外の風景が遮断される。
運転席と座席の間にシャッターが降りた。
あまりに本格的なサービスに車内は盛り上がる。
「っしゃーUNOやろうぜUNO!!」
竜司が立ち上がりUNOを頭上にかざす
旅行参加者23名全員が手を挙げ盛り上がる。
その時時刻は既に22時をまわっていた。
いったいいつになったら到着するんだ・・・
どこに向かっているんだ・・・
「ミステリーツアーのわくわく感たまんねー・・・」
そうつぶやいた瞬間異変に気付く
「あれ?これ車走ってるか?」
走っている感じを全く感じなくなったのだ
周囲もその異変に気付き始める
しばらくするとパレードの様な音楽が流れ始める
段々とその音が大きくなっていった
ガシャン!!
急な大きな音に思わず声をあげて驚いてしまった
「シン驚き過ぎだから」
「うるせーよ!!竜司だってびびってたじゃねーか!!」
一瞬車内は和やかなムードにつつまれる
「ご乗車ありがとうございます。到着しましたので降車の方よろしくお願いします。」
全員気になるのか荷物を持ってそそくさと降り始める
「おい・・・今何時?」
「え?丁度0時だけど・・・」
降りた瞬間驚くべき光景が広がっていた