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『血塗られた狼と贄の羊』と私←食レポ聖女って誰の事ですか!?  作者: 牧蒼
第一章 『血塗られた狼と贄の羊』
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幕間:おるすばん

シトロン視点の短いお話です。

アイル様とスミレ様がサロンへ行くために屋敷を空ける数時間、お屋敷は私とマリー様の二人で過ごすこととなります。マリー様は非常に繊細な方で、まるで小動物みたいな可愛さをお持ちでした。お返事をするときは頬を紅潮させてぺこりと頭を下げます。


マリー様のお仕事はお花の水やりに庭木の手入れ。お買い物はアイル様の担当だそうで、マリー様は庭より外には出ないようにしているとの事でした。


「いつもお屋敷の外に出なくて、退屈しませんか?」

「アイルも居るし、主様(ぬしさま)もいるので、寂しくないです。おうちがあるだけで、幸せです。」


遊びたい年頃でしょうに、なんて健気なのでしょう。このお歳で住処の重要性を認識している辺り、幼少期に苦労されているのかもしれません。


「では本日は、私のお手伝いをしていただけますか?」

「おてつだい……?」


そこで私は、マリー様と一緒に過ごせるよう共にお仕事をすることといたしました。マリー様は「でも私、失敗しちゃう」と乗り気ではございませんでしたが、そこは私が全力でサポートいたします。


お掃除中に陶器の傾く音がすれば颯爽と駆け寄り受け止めます。お洗濯物は物干し竿に手が届かないので、シーツを渡してくれるだけで良いのです。お皿洗いは、割れない素材のものだけやってもらいました。カトラリーやステンレス製のボウルなら、落としても割れる心配はございません。これでマリー様の自己肯定感が上がればとても良いことです。


「疲れていないですか?」

「だいじょうぶ!たのしいです」

「それはよろしゅうございます。そろそろご夕食を作るお時間です。スミレ様達が帰って来る時間を予測して、丁度良い時間に出来上がるように頑張りましょう。」

「がんばりましょう。」


包丁には触らせない。火の番をさせる時はごく弱火で。教える時は常に後ろに。気をつけることは口に出して伝える。これだけ守ればマリー様も怪我せず安心して調理できるでしょう。


「一緒にメニューを考えましょう。今あるものは……」

「チキン、ミルク、玉ねぎ、トマト。チーズとパンもあります。」

「小麦粉は……ありました。では、グラタンとミネストローネは如何ですか?グラタンなら、スミレ様達が帰ってきてから焼けば良いので楽ですよ。」

「グラタン!大好き!」

「フフッ、じゃあそうしましょう。」



◇◆◇



「た、ただいまー……。」

「おかえりなさいませ、スミレ様。」

「アイル、おかえり!あのね、わたし、今日いっぱいおしごとできたよ!お料理も、シトロン様とがんばったの!」

「ただいま、マリー。偉いな、よく頑張った。……シトロン嬢。感謝します……本当に。」


マリー様はアイル様をぎゅうと抱きしめて、アイル様はマリー様の頭をずっと撫でています。微笑ましい光景です。


「スミレ様、今日のご夕食はグラタンとミネストローネです。」

「やったー!グラタン大好き!」


こうして私とマリー様のおるすばんは何事もなく完遂した次第です。

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