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神之児戯  作者: 田澤 邑


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四人の彩女

神之児戯ep91

「妖狐……、もしかして別邸で怪奇現象を起こしていた化け狐……」

 (すみれ)は怪訝な表情で琴葉(ことは)を見つめる。

「楔を打ち込まれた家で問題を起こして住めなくしていた妖狐なら我じゃぞ?」

 琴葉は空気を読まずにあっけらかんと答える。

「……」

 菫は琴葉の言葉に無言で固まる。

「いや、隠していたわけじゃないんだ」

 (いおり)は菫の様子を見て慌てて取り繕う。

「いえ、元々こちらがあそこに家を建てて霊脈を堰き止めたのが原因ですから、ただ驚いてしまっただけです」

 菫にしてみれば、良い思い出がなく長い事苦しめられた怪奇現象の原因を作った張本人なんだから複雑だろう。

「私は家の格が上がるなら琴葉さんが四人目になっても構いません」

 百合(ゆり)は庵の気持ちを知ってか知らずかとんでもない事を言い出す。

「別に四人目にならなくてもいるだけで格は上がるだろ?」

 琴葉がここに住んでいる事は周知の事実なので大して変わらないはずだ。

「いえ、いついなくなるかも分からない関係と生涯を共にすると誓う婚姻関係とでは全く違います」

 なぜか菫が琴葉が四人目になる事を後押しする。


「だいたい、琴葉とじゃ子供もできないだろう?」

「できるぞ。我ら妖狐が人の姿に化ける時は身体を人間の身体に作り変えておるから交配は勿論、人間の子供を宿す事も可能じゃ、でなければ半妖などは存在せんじゃろ」

「交配って、そもそもお前、俺とそういう事して子供を作りたいって思うのか?」

 庵の言葉に柊花(しゅうか)(すみれ)は何かを想像して頬を赤らめる。

「……う〜ん、庵の事は気に入っておるが雄としてはよくわからん」

 琴葉は右手の人差し指の先を唇に当てながら考えるが自分の感情は理解できない様子だった。

 それなりに信頼関係は築けていたと思うが、今思うと出会った時と比べたら随分な変化だな。


 庵がそんな事を考えながら柊花を見ると、柊花は突然の事態に、複雑な表情を浮かべていた。

「いや、ない、それはない」

 そもそも琴葉の裸は見慣れてしまっていて、そういう気にならないだろうし、このまま曖昧な返事をしていたら、なし崩し的に琴葉を四人目に迎える事になりそうだ。


 庵はきっぱりと否定する。


「そうじゃな、我もまだ子供はいらぬし、母上も我を産んだのは二百歳近くらしいから、我もそれまで子供は産む気はない」

「二百歳……、妖狐というのはどれくらい生きるのですか?」

 菫は驚き目を見開きながら聞く。

「ん? 我らは数百年から長ければ千年くらいは生きるぞ」

「……」

 琴葉の答えを聞いて柊花と菫は一様に言葉を失う。


 庵がそんな二人の様子を見ながら百合に視線を移すと百合はその事を知っていたのか、あまり驚いている様子はない。

 そういえば百合は霊力が多いし、大百足も退治していたから、そういったものと関わる事が多かったのかもしれない。

 霊力といえば……。


「百合は異能は使えるか?」

 霊力の多さは人それぞれで異能が使えなくても霊力の多い者はいるが百合の霊力の多さは異常だ。

 異能を使えると考えるのが普通だろう。

「はい、私は風の異能が使えます」

 確かに鑑定すると、百合は風の異能の才能を現す白い霊力を持っている。

 御前試合の時の様に張り詰めた緊張感はなく周囲を包み込むような温和な雰囲気ではあるが、その量が異常だ。


「少し見せてもらっていいか?」

 言いながら庵は庭を指さす。


 全員で庭まで移動する。


「的はこれで良いか?」

 庵は一箇所に纏められていた湯船を作る際に出た削りカスの山から掌の大きさの木片を百合から離れた場所に置く。

「……ええ」

 百合は返事をすると腰に携えた刀を鞘から抜き構える。


本当は90話を投稿した翌日には91話が完成してたんだけど、あまりにも早すぎるかな、と、少し待ってみた。

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