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神之児戯  作者: 田澤 邑


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懸念

神之児戯ep82

「そういうものなのです」

 (いおり)柊花(しゅうか)の反応を見て、(すみれ)はそう言って話をまとめる。


「それに私の両親は慌ただしく国中を行き来していますので会いに行くのは難しいかと」

「そうか、だから、いつ行ってもいなかったんだな」

「ええ、以前、帰ってきた時に庵様の事は伝えてありますので、次に帰ってきましたら改めて挨拶に伺わせますね」

 どの様に伝えたのか分からないが、こうなる事を想定してたのか?

 そうだとしたら、ずいぶんと根回しの良い事だ。


「それで今日はどんな用事で来たんだ? 柊花と一緒になるって話はさっき聞いたんだろ?」

「すっかり忘れていました、今日は以前お選びいただいて採寸した反物で仕立てたお着物をお持ちしました」


 そういえばそんな事あったな。

 その直後に色々ありすぎてすっかり忘れていた。


「ずいぶん上等な仕上がりの物ばかりだが、いいのか?」

 庵は菫が差し出す着物を確認しながら呟く。

「庵様は質素すぎるくらいです。代官なのですからもっと贅沢をしてもいいと思いますよ」

「そういうものか?」

「庵様の羽振りがいいと我が家の評判も良くなりますが、その逆もまた然りです。こちらに袖を通してもらえますか?」

 菫はそう言いながら庵の背後から羽織に袖を通しやすい様に広げてみせる。

「丁度良い様ですね」

 庵が袖を通すと菫は羽織の皺を伸ばしながら様々な角度から見て確認する。

「そうみたいだな」

 庵がそう言いながら柊花に目を向けると、柊花は庵の姿に見惚れていた。

「どうした?」

「……い、いえ」

 庵に声をかけられ、気づいた柊花は慌てて庵から目線を逸らす。


 その様子を見て菫は口に手を当て笑っていた。

 

 ――城。


 庵はいつもの十二畳程の広い部屋で桜姫(さくらひめ)守岡(もりおか)に菫の事を話していた。


「え〜と、つまり柊花さんの様子に気づいた菫さんが柊花さんに詰め寄り、百合(ゆり)さんの事を知った菫さんが庵様に自分も妻にして欲しいと迫った……と言う事ですか?」

 庵の話を聞いた桜姫は頭を抱えながら庵の話を整理する。

「端的に言えば、そういう事です。ははっ」

 庵は誤魔化すように愛想笑いする。

「随分な色男だな」

 守岡は何かに納得する様に腕を組みうんうんと頷いていた。

「まさか菫さんまで……、いえ、菫さんが庵様を慕っているのは知ってましたが、まさかこうも大胆な行動に出るとは……」

 桜姫は頭を抱えたままぶつぶつと呟く。

「それで、百合を権妻にする件は考えてくれたのか?」

 守岡が組んでいた腕を解き本題に入る。

「ええ、三人で話して二人とも納得してくれてます」

「そうか、姫様」

「……ふう、そうですね。だいぶ驚きましたが、朧藩にはこちらからお返事を出しておきます。挨拶の場はこちらになると思いますが、その際は柊花さんと菫さんもお連れした方が良いでしょう」

 桜姫は守岡に声をかけられ抱えていた頭を上げ、気持ちを切り替えると庵に向き直り説明する。

「わかりました」

 庵は桜姫の疲れた様子を気にしつつ城を後にした。


 城からの帰り道。


 庵は百合の事を考えていた。


 改めて考えると百合の大百足を倒したという腕前と霊力のあり得ない多さだ。

 城で会った時は温和な雰囲気だったが琴葉(ことは)が戦慄を覚えたのも、間違いなく百合の霊力だ。


 一つ懸念がある。

 神の事だ。

 オシラサマの一件以来、接触はもちろん、何かを仕掛けてくる様子もない。

 百合はその神が寄越した者ではないかという事だ。

 そうだとすれば、あの霊力の多さも納得がいく。

 まあ、ただ単に神と人では時間感覚が違うだけかもしれないが。

日常の話だとなぜかスラスラ書ける

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