内なる理
神之児戯ep81
「おう、来てたのか?」
菫は庵の問いに返事も返さずに庵の手を取り居間まで引っ張って行く。
「柊花さんから聞きましたが、百合さんという方を権妻として迎えるらしいですね?」
菫の問いに庵が居間にいた柊花を見ると申し訳なさそうに困った顔をしてこちらを見ていた。
「あ、ああ、まだ先方には返事してないが、……というか、まだ柊花と一緒になる事も伝えてなかったのに気になるのはそこなのか?」
「何を言ってるんですか⁉ 柊花さんが庵様を慕っている事は見てれば分かるのですから一緒になる事は予想できます!」
……やはり気付いてたのか。
「それよりも、なぜ私を差し置いて他の女性を迎える事になるのですか⁉」
「差し置いてって、……菫も俺と一緒になりたかったのか?」
「これまで柊花さんと一緒に庵様を支えてきて、まさかお気づきになられてなかったと⁉ 以前、柊花さんと二人で支えていこうと意気投合した事もお話したはずです」
そういえばそんな事も言っていたな。
だが、支えてくれてるから惚れてるとはならんだろう。
「いや、それは領地の管理やそれを通して菫にも利益があるからじゃないのか?」
特に領地の管理に関しては吉宗から任され、その義務感から支えてくれていると思っていたが。
「確かにそれもありますが、それ以上に庵様をお慕いしてるのは事実です!」
おう、なんか直球だな。
柊花ほどじゃないが百合の様な義務や役目としてでもなく、その間と言った感じだな。
正直、菫は容姿も整っていて魅力的ではあるが、今まで、そういう目で見てなかったのか本音だ。
「一旦、落ち着いて話をしよう。俺もそう言われて嬉しくない訳じゃないが、柊花はどう思ってるんだ?」
「……私ですか?」
「つい数日前に妻をもう一人迎えると言ったばかりで、もう一人なんて、俺がよくても柊花が嫌なら……」
謙虚な柊花に本人を前に聞いても本音は出さないかも知れないが、柊花には嫌な思いをさせたくない。
「そうですね。百合さんが、まだどういう方なのかわからないですが、菫さんはこれまで二人で一緒に庵様のためにとやってきましたし、菫さんがいれば百合さんを迎える時にも心強いです」
う〜ん、確かに二人は仲がいいし、柊花だけでは百合と合わなくても菫がいればお互い何かあった時に間を取り持ってくれるかもしれない。
俺では女心などは理解できないだろうからな。
だが、こんななし崩し的な感じで菫を迎えてしまってもいいのだろうか。
もっとこう、お互いの気持ちを確かめる様な……。
「……菫はどうして俺を慕うようになったんだ?」
「そうですね……、切っ掛けは別邸の怪奇現象を解決していただいた時ですが、はっきりと意識しだしたのは秋の国の問題を解決し上様から信頼を得られた時ですね」
菫は少し頬を染め浮かれながら答える。
成る程、吉宗からの信頼を得た事で俺が魅力的に見えたか、損得勘定で判断するのは大店の娘らしいな。
まあ、俺は菫と一緒になれるし、柊花をそばで支えてくれる人間が増えると考えれば悪くないか。
「わかった、それなら菫の両親にも挨拶しなければならないな、そういえば見た事ないがどこにいるんだ?」
「庵様、それはしてはいけません」
菫は先程と打って変わって冷静に言う。
「なぜだ?」
「武家と商家では身分が違います。本来であれば仲人を通しますが、今回は我が家が娘を権妻として輿入れする事で家格が向上しますので、我が家から礼を尽くすのが筋です」
「そういうものなのか?」
庵が言いながら柊花を見るが、よくわからないのか柊花は小首を傾げて見せる。
気持ちが乗ってるとスラスラ書ける
最近、前作の神域の管理人がよくランクインするけど、遅れて認められてきたって事なのかな?




