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神之児戯  作者: 田澤 邑


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百合の要件

神之児戯ep76

「おおっ!」

 一見、刀についた水を払っている様にしか見えなくも無いが、実際は刀に水を纏わせ飛ばしている。

 後は飛ばす水の形を刃に変えられれば守岡(もりおか)家に伝わる異能を再現できるだろう。


「見事です」

(いおり)殿の指導のお陰だ!」

「いえ、守岡殿が人一倍努力した結果ですよ」

 実際、守岡は実直な性格で異能の鍛錬にひたむきに取り組んでいた。

 その証拠に鑑定をしてみると守岡の霊力は出会った頃より随分上がっている。

 しかし、霊力の上昇は鑑定ができなければ分からないので、こうして成長をお互いに分かち合えるのは喜ばしい。


 それに守岡が異能を使えた事を知れば柊花(しゅうか)と親しくしている俺の事が気に食わない信仰団体の者たちも俺を見る目が少しは変わるだろう。


 ――城。

 城に着くとそのまま守岡の先導でいつもと同じ十二畳程の広い部屋に通されると、そこには桜姫(さくらひめ)百合(ゆり)が待っていた。


「先の試合での腕前、お見事でした」

 庵の顔が目に入ると百合は座ったまま庵に向かって深く頭を下げて言う。


 なんか、御前試合の時とは雰囲気が違うな。

 御前試合の時は張り詰めていて緊張感のあった霊力が今はまるで周囲を包み込むような温和な雰囲気になっている。


 そのまま、庵は百合の向かい側に腰を下ろすと守岡は桜姫の後ろに控える。

 落ち着いて、改めて百合を鑑定してみると百合の霊力は白く、風の異能の才能がある事がわかる。


「褒美を使って俺との面会を希望したらしいが会うくらいなら直接訪ねてくればよかったんじゃないか?」

 庵は百合の様子から危険はないと思い率直に聞いてみる。

「試合とはいえ、引き分けた相手が突然訪ねるのは変な誤解を招くと思いまして」

 そう言うと百合は微笑み、その美しい顔に庵は言葉を失う。


「……こほん」

 庵の様子を見て桜姫はわざとらしく咳払いをしてみせる。

「んん、それで俺に何の用だ?」

 桜姫の咳払いに庵は取り繕うように聞く。


「はい、庵殿に私の夫になっていただきたいのです」

「……は?」

 突拍子もない発言に庵は思わず疑問の声を漏らす。


 夫? 夫っていうと夫婦になるって事か?

「いやいやいや、突然何言ってるんだ?」

 まともに話すのもこれが初めてでお互いの事を全く知らないのにいきなり過ぎるだろ。


「そうです! 庵様にはすでに柊花さんがいます!」

 ……え? なんで柊花が。

「いや、俺と柊花はそんな関係じゃないです」

「……本気で仰っているのですか?」

 庵の言葉に桜姫は真剣な顔で庵に問う。

「……はい」

 桜姫の圧に庵は驚きながら返事する。

「はあ、(すみれ)さんから聞いていましたが、どうやら本当のようですね」

 桜姫は庵の返事を聞くと頭を抱えながら溜め息をつき呟く様に言う。

「百合さん、その話は少しだけ待っていただけませんか?」

「……どうやら先に解決しないといけない問題があるみたいですね」

 百合は桜姫の様子から事態を察する。

「ええ、問題が解決しましたらお知らせ致します」

「それでは本日はこれで」

 百合はそう言うと守岡が呼んだ従者に連れられて帰っていった。


「さて、庵様は柊花さんについてどうお考えですか?」

「どうって……」

 初めは腫れ物扱いされる村からの保護する気持ちだった。

 だが、この間、村へ行った時にそれも和解していた。

 もし柊花が帰りたいと言うならそれも仕方ないだろう。


「庵様、今一度、柊花さんがなぜ庵様のお側にいるのか真剣に考えてあげて下さい」

 桜姫は懇願する表情で庵に訴えた。

タイトルを最初は百合の告白にしようと思ったけど、それだと読む前に内容を推察されるので百合の頼みにしようとしたけど、何か違う気がして百合の要件になった。

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