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神之児戯  作者: 田澤 邑


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引っ越し

神之児戯ep74

 ――(いおり)の家。


「という訳で、引っ越しだ」

「また急な話じゃの」

 庵は居間に柊花(しゅうか)琴葉(ことは)咲耶(さくや)を集め引っ越しの話をしていた。

「武家地にはあまり行った事がないのですがどういったところなのですか?」

 そういえば、柊花は城に来る際は籠を利用しているから武家地を歩いた事がなかったか。


「町人地に比べると静かで通りが広くて左右を塀や門で固められてる感じだな」

「関係者以外立ち入れないところなのでしょうか?」

「そういう訳じゃないが、関係者以外は立ち入る事が少ないってだけだ。実際に見た方が早いだろう」

 百聞は一見に如かず、というやつだ。


 引っ越し作業は、元々そんなに荷物は多くなかったので大八車も使わずに自分たちだけで引っ越しは完了した。


 代官屋敷にやって来た庵が改めて屋敷を確認すると、門を入ってすぐ横には奉公人用の平長屋があり、屋敷の部屋数は大小合わせて全部で三十と他に台所と土間があり、湯殿は当主用と奥方や子供と家臣が使う用に二つと厠は住人と来客用が二つ、更に外には土蔵(どぞう)まである。


 湯殿が当主用と別れているのは身分や家長制度など序列を明確にする為だろう。

 元の世界の価値観からするとくだらないと言わざるを得ないが。

 問題はその湯殿だ、江戸時代の風呂は今の様な肩まで浸かるものではなくサウナの様な蒸風呂が主流だ。

 また、当時は風呂を沸かす薪代が非常に高かったため風呂は贅沢品で毎日沸かせるのは豪商か高位の武士くらいだろう。

 だが、俺には異能がある。


 水の異能で水球を作り、下から火の異能で水を温める。


 ふむ、これならお湯は十分だな。


 ――森。


 庵は自身が治める領地の森で太い木を風刃で根元から真横に真っ二つにする。

 切れた木はそのまま周りの木々に枝を引っ掛けながら大きな音を立てて倒れる。

 倒れた木から再び風刃で幅 六尺六寸(約二メートル)高さ三尺三寸(約一メートル)の丸太を二つ切り出す。

 丸太を次元収納に収め屋敷に戻ると庭で取り出す。


「何じゃそれは?」


 物音に気付いた琴葉と柊花がやって来る。


「これで湯船を作る」

「湯船といいますと湯殿でお湯に浸かる?」


 柊花は丸太を覗き込むように見ながら言う。

 庵はいつぞやと同じ要領で手先に纏わせた風の異能で丸太から肩まで浸かれる深い湯船を削りだす。


 湯殿で削り出すと削りカスの処理が大変だからな。

 板にして組み合わせる事も考えたが、水が漏れないくらい精巧な木組みは俺には難しいのでこちらの方が早いだろう。

 横の厚さは水の圧力に耐えられる様に丈夫にして……。

 ……こんなものか。


 削り出した湯船を再び時限収納に収め湯殿に移動する。


 元々蒸風呂として使っていたからかある程度の広さの空間にあるのはお湯を沸かすためであろう小さな釜と排水口らしき穴くらいだ。

 釜は後で処分するとして。


 湯殿に入って一番奥の壁際に湯船を取り出し設置する。


 見た目だけなら元の世界の旅館にある個室風呂だな。

 後は先程と同じ様に水の異能で水球を作り、下から火の異能で水を温める。

 十分な熱さのお湯になったら湯船に入れる。

 これを数回繰り返せば、……完成だ。


 それじゃあ、さっそく……。

「おっ、風呂ができたのか?」

「ん? ああ」

 庵が風呂に入る為に脱衣所で服を脱ごうとすると琴葉がやって来る。

「おおっ! 湯浴みは久しぶりじゃっ! どれ……」

 琴葉はそう言うと乱雑に服を脱ぎ出す。

「おまっ、ちょっ、待てっ!」

 琴葉の裸は見慣れているが、ここには柊花もいる。

「琴葉さんっ!」

 すると、琴葉の後ろから柊花が琴葉の名を叫ぶ声が響き渡る。


 庵と琴葉は思わず固まる。

蒸風呂なのは調べてわかったけど、湯殿がどうなっていたのかいまいちわからないのでなんとなくで

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