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神之児戯  作者: 田澤 邑


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紅葉姫(もみじひめ)

異世界の管理者ep32

「こちらはこの秋の国の姫である紅葉姫(もみじひめ)様だ」

 (はぎ)に紹介されると紅葉姫は(いおり)たちに向かって軽く頭を下げる。

(くすのき)庵です」

 庵はすぐに頭を下げる。

「我は琴葉(ことは)じゃ」

 琴葉は腰に手を当てながら胸を張って言い放つ。

「おまっ⁉」

 庵は琴葉の態度を見て慌てる。

「構いませんよ。そちらの方は人間ではありませんよね?」

 紅葉姫は琴葉の様子を見て微笑みながら聞いてくる。


 紅葉姫の言葉に庵と琴葉は驚き、琴葉はどうすればいいかわからず助けを求める様に慌てて庵の顔を見る。

「はあ、はい、こいつは妖狐ですので」

「まさかっ! 人間が妖狐を従えるなど!」

 庵の言葉に萩は目を見開いて驚く。


「庵様、こちらの萩と力比べをして頂けませんか?」

 紅葉姫は庵の返事を聞き何かを考えたかと思うと一人で納得した様に頷き庵に萩との力比べを提案してくる。

「え?」

 紅葉姫の突拍子のない提案に庵は思わず疑問の声を上げる。


「萩は秋の国一番の力を持っています。その萩と戦って、まずは庵様のお力がどれほどのものか見せてほしいのです」

 紅葉姫には何か考えがあるのか庵の目をまっすぐ見ながら言う。

「……わかりました」

 庵もそれを察し了承する。

「萩もいいですね?」

「はっ!」

 萩も頭を下げて紅葉姫の提案に了承する。


 庵たちは紅葉姫たちに案内され城の廊下を通って中庭にまで来ると廊下から庵といつの間にか槍を持った萩が中庭の中央に移動してお互いに向き合う。


「勝負は武器や異能など何を使って頂いても構いません。相手を先に戦闘不能にするか、どちらかが降参したら終了です」

 廊下から紅葉姫が勝負の説明をする。


 さて、どうしたものか。

 いくら力比べといっても萩の実力がわからない内は、いきなり本気を出して大怪我でもさせたら大変だ。


 庵は萩の様子を横目に紅葉姫の説明を聞きながら思案する。


「よろしいですね?」

 紅葉姫は片手を上げると庵と萩を交互に見て確認をする。

「では、始め!」

 掛け声と同時に紅葉姫は上げた片手を振り下ろす。


「ふん!」

 紅葉姫の合図と同時に、萩が片手を地面につけると萩の周囲から木の根が勢いよく飛び出して庵に襲い掛かる。

 庵はすぐに鞘から刀を抜きその根をすべて斬り伏せると、そのまま萩に向かって袈裟斬りで斬りかかる。

 萩はそれを左に避けると槍で庵を突く。

 庵は刀で槍の方向を逸らし、すぐに後方に移動し槍の間合いから出る。


 まずはお互い様子見といったところか。


 庵は呼吸を整えると改めて萩の様子を見ながら思案する。


「異能は使わないのか?」

 萩は槍の柄を地面につけると笑いながら挑発してくる。


 そういえばこちらの霊力の多さには気づいてるんだったな、だったら……。


 庵は真横に駆け出すと左手を萩に向かって構え異能の火球を放つ。

 それを見た萩がその場で再び地面に手を付くと数本の木が地面から生え火球を防ぐ。


 萩はすぐに横に移動して木の陰から出るとそのまま庵に向かって槍で突いてくる。

「どうした! 敵わないと思ったのは俺の見立て違いだったかな⁉」

 萩はそのまま立て続けに突きや横薙ぎで庵を攻め続け、庵はそれをすべて刀で防ぎながら切り結ぶ。


 庵は大きく後ろに飛び退き、再び槍の間合いから出ると、また真横に駆け出し萩に向かって火球を放つ。


「また懲りずに同じ手を!」

 

 そう言って萩がまたその場で地面に手を付き数本の木が地面から生えると、すぐに萩の足元から土の棘が飛び出し萩を襲う。


「なっ⁉」

 萩はすぐに後方に飛び退きそれを躱す。


「まさか二種類の異能を扱えるとは!」

 萩が着地して土の棘を見ながらそう言うと、今度は萩目掛けて四方八方から無数の風刃が飛んでくる。

「なっ! これは⁉」

 言いながら萩は自ら地面を転がり風刃を避ける。


 すると萩は真横に気配を感じ、すぐにそれを槍で突くが、手応えのなさに突いた物を確認すると、それは水で出来た人形で、すぐに形を崩して地面を濡らして消える。


「いったい何がっ⁉」

 萩が信じられない出来事の連続に狼狽えていると、背後から萩の首元に庵が刀の刃を当てる。


「そこまで!」

 紅葉姫のその声で勝負は終了した。

春の国の姫は桜姫、なら秋の国の姫は紅葉姫

安直だが、わかりやすい

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