表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/51

小鬼

異世界の管理者 第2話

 (いおり)は村に向かうため、崖を降りて森の中を歩いていた。

 異世界ではあるが森の様子は現実世界の森と変わらない。

 そのまま辺りの様子を窺いながら歩いていると、横の茂みから物音が聞こえ何かが三つゆっくりと姿を現す。


 小鬼だ。

 人の子供くらいの背丈に額の真ん中から短い骨が角の様に一本出ていて、裸に腰蓑(こしみの)を巻いた下級の怪物だ。


 早速お出ましか。


 こうして対峙すると、自分で造形した怪物とはいえ緊張する。

 まずは刀の切れ味を試そうと鞘から引き抜き構える。


 いざとなるとやっぱり緊張する。

 思えば、前世では虫以外の生き物を殺した事がなかった。

 しかも、目の前に今いるのは人間の子供ほどの背丈の小鬼、どうしても殺す事に抵抗を感じる。


 いや、やらねば。

 創造主が創造物に殺されたなんていい笑い草だ。

 ……いや、神殺しなんてのがいるからそうでもないのか?


 小鬼たちはこちらの様子を窺っているのか一向に襲ってくる様子はない。

 ならばと刀を水平にしながら切先を後ろに構え走り出し一気に間合いを詰める。


 突然の事に小鬼たちはその場で狼狽している。

 そのまま勢いに任せて手前の小鬼二匹の首めがけ刀を振りかぶると、刀はそのまま二匹の首を切り裂き二つの頭が地面に落ちる。

 それを見た残りの一匹は恐怖し慌てて庵に背を向けて逃げ出す。


 次は異能だ。

 ()の初級の異能である火球を試す。

 右手を逃げる小鬼に向かって構え、頭の中で手の平から火の玉が飛び出す想像をする。

 すると、身体中から何かが構えた手の先に集まっていく感覚がする。

 霊力、異能を使うための力の源、わかりやすく言うと魔力だ。

 手の先に集まった霊力は手の平から飛び出すと同時に想像した通り直径三十センチほどの火球に変わり小鬼めがけて飛んでいく。


 小鬼は走りながら火球に気づくが避けられず直撃を食らい倒れる。


 全てが終わり、改めて小鬼たちの死体を見るが思ってたほどの忌避感や恐怖などはない。

 個人的なものなのか、現代人はみんなこんなものなのか、理由はわからないが自分の精神状態に安堵すると小鬼の死体に近づき刀で小鬼の角を削るように切り取る。

 小鬼の討伐証明だ。

 討伐した怪物の部位を退治屋組合(たいじやくみあい)に持って行くと報酬が貰える、わかりやすく言うなら冒険者ギルドだ。


 くっ!

 小鬼の角は頭蓋骨の額部分から隆起した骨なので切りづらい。

 なんとか切り取ると次は魂だ。

 倒した怪物の魂を吸収する事で基礎能力が上昇する。要は経験値だ。


 すぐに小鬼の死体から鬼火が出現してくる。

 この鬼火は普通の人間には見えない。

 霊力が高ければ見えるかも知れないがこの世界では認知されていないので見える人間は少ないのだろう。

 その結果、この世界の人間は基礎能力は上がらず一生能力はそのままだ。


 魂に向かって手を伸ばし霊力で囲うように魂を吸収する。

 少しだけ能力が上がった気もするが、やはり小鬼程度では上昇も微々たるものだ。


 それでも、ここまで自分の作った設定が反映された世界があるなんて期待に心が躍る。

 庵は意気揚々と再び村に向かった。


 村に近づいていくと、その村は木の板で出来た塀で村全体が囲まれ四方には物見櫓があるのが見える。


「あんちゃん、退治屋(たいじや)か?」

 物見櫓から周囲の様子を窺っていたらしい男が庵の姿を確認して聞いてきた。


 退治屋、確かこの世界で組合に属し怪物退治を生業とする者の事だったか。

「ああ!」

「今門を開ける!」

 男がそう言って下の方を見るとゆっくりと音を立てながら木製の門が開いていく。

 門の中に入ると木製の長い棒を杖の様に持った江戸時代頃の農民の服装をした数人の男が庵を出迎えた。

思いついた内容を勢のままに書いてます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ