8 寝言は寝てから言ってください
そこから王太子は怒りに顔を赤くして、フィーナが行ったとされる、レミー嬢への嫌がらせについて話し出した。
教科書破損
ドレスの切断
過剰な注意
お茶会などに故意に呼ばない
など
・・・うん。
テンプレだね。
そんなことで、処刑になっちゃうんだ・・・
それとも、「そんなこと」と思うのは、現代的な感覚だからなのだろうか。
「改めてお伝えいたしますが、私はその様なことはしていません。
そもそも、なぜ私がそんなことをしなければならないのですか?」
「決まっている。レミーに嫉妬したからだ。王太子である私の寵愛を失いたくないと考えたのであろう。」
王太子の言葉にフィーナは眉をひそめた。
「王太子・・・様? 申し訳ありませんが・・・本気でおっしゃってるのですか?」
「・・・何がだ?」
「私が?
あなたの?
寵愛を失いたくない?
・・・つまり、わたしがあなたをお慕いしていると?
寝言は寝てから言ってください。
以前はいざ知らず、あの様な女に骨抜けにされた時点で、とっくにあなたのことなど見限っています。
・・・まさか、気がついていなかったのですか?
ですから、私にレミー嬢への嫉妬心など一切ありません。
あなたが考えている『動機』とやらは、全力で否定させていただきます。
キモチワルイ。」
うわ~。小さい声で(でも聞こえる様に)キモチワルイとか言っちゃったよ。
フィーナサン、アタリマエダケド、メチャクチャオイカリデスナ・・・
フィーナのあまりの発言に場が静まりかえっていた。
処刑を待っていた先ほどまでの熱気が消え失せている。
民衆も、何か変だと気づき出したのかもしれない。
「この処刑、本当に正しいのか?」
そう思い出したのだろう。
「あなたの親友、本当に凄いな。
ここまで空気を変えるとはね・・・」
「そうです。フィーナは凄いのです。
・・・ただ、それでもこのまま、王太子は処刑を実行するでしょう。」
そりゃそうだ。
ここまで場を設定して、ここまで言われて、処刑を止めたなどといったら、ピエロそのものだ。
だから、王太子は話を続けた。
(メチャクチャショックを受けた顔をしているけどな)
「もうよい!
戯言はお終いだ。
何を言おうと、お前の罪は明白だ。
フィーナ、お前を処刑する!
誰か反論はあるか!!!」
場を制する様に王太子は言い放った。
この場を設定し、味方ばかりを集めた自信からの発言だろう。
【完結】兄妹そろって断罪中のヒロインの中に入ってしまったのだが
【完結】兄妹そろって断罪されている息子を見守る王様の中に入ってしまったのだが
【完結】兄妹そろってハンターの中に入ったと思ったら俺だけかよ!!
【完結】ざまあ、してみたかった
【完結】ざまあ、してみたかったな2
【完結】ざまあ、してみたかったな3
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