2 爽やかな乙女ゲーム
「お兄ちゃん、乙女ゲームってやっぱり楽しいね。」
「急にどうした?」
「今やっているゲームね。『奪う!』って感じじゃないの。」
「ほほう?」
「例えばね、王太子ルートだとしても、ちゃんとその婚約者さんとも話ができるの。仲良くなる事だってできるんだよ。」
「それは珍しいな。」
今まで入り込んだ世界では、ヒロインと婚約者の間に交流する場面はあまりなかったように思う。少なくても、「良い関係を築く交流」はなかったはずだ。
「お互いに自分を磨いて、王太子に愛されるように正々堂々と勝負するルートもあるんだ。」
「へぇ。」
「まあ、綺麗事っぽく感じたりもするけれど、もうドロドロはお腹いっぱいだから、こういうゲームがいいなって思う。」
「そうだな。完全に同感だ。」
教科書破損や物隠しで国外追放や処刑っていう世界観はもう勘弁してもらいたい。
「しかもね、ちょっと調べたんだけど・・・この手のゲームでは必ずある逆ハーレムエンドもないみたいなんだよ。」
「・・・それはありがたい。」
何しろ逆ハーレムルートには本当に大変な目にあわされたからな。
俺たち兄妹にとってはトラウマレベルのタブーだ。
「婚約者やその友達も、出てくる人達はみんな気持ちのいい人達だし・・・なんか、すっごく爽やかなんだよ。」
まるで乙女ゲームじゃないみたいだな何て思ったが、口には出さなかった。
「まあ、いいゲームに出会えてよかったな。」
「うん! この世界だったら喜んで入りたいよ~。」
「やめとけ!
そういうのフラグになるから!」
「わかってるよ~!」
ヤバイ。フアンシカナイ・・・
そして予想は当たり前のように的中した。
妹がすっころび
それに俺も巻き込まれ
また、ゲームの世界に入ってしまったのだ。
【完結】兄妹そろって断罪中のヒロインの中に入ってしまったのだが
【完結】兄妹そろって断罪されている息子を見守る王様の中に入ってしまったのだが
【完結】兄妹そろってハンターの中に入ったと思ったら俺だけかよ!!
【完結】ざまあ、してみたかった
【完結】ざまあ、してみたかったな2
【完結】ざまあ、してみたかったな3
こちらも読んでいただけると嬉しいです