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後編

 女神教会の神父が、聖女を拘束したとのことで、王家に批判が来なかった。


「皆、搾取されているのよ!」

 と護送中の馬車で騒ぐが、貧民達は相手にしない。


「馬鹿・・騒ぎが起きたら暴虐王女と騎士団が来るぞ」

「いや、確かに、あの王女のおかげでガキどもが元気になった」

「だからと言って働き手の子供を取られるのは割に合わない!」


 と半々ながら、エリザベスを擁護する声が上がる。


 今日、聖女は王城で、引き渡しをされる日だ。


 ☆王城


 聖王国から転生聖女と、魔族から転生幹部がやって来た。

 あの日、四天王としか名乗らなかったが、名前は、ササキというらしい。

 聖王国の聖女は、畏敬の念を込めて、聖女と言えばこの方と言う意味で、単に聖女と呼ぶ。


「2年前と違って、魔族と人族女神教会で協定が結ばれました。だから、こうやって、大手をふって来られるのです」


 と彼女は淡々と説明した。


「ヒィ、私は悪くない。社会が悪いのよ。生活保護のないこの世界は遅れているわ!」


「ふう、この人、あれですわね」

 と聖女がため息をつく。


「ええ、あれですね。何を言っても無駄です。しかし、我が魔族領の奥に、彼女の理想とする原始共同体があります。そこは、所有の概念もなく、貨幣もなく、階級も、世話役として酋長しかありません。

 彼女、魅了を永遠に使えないように、処置はされているのですね?」


「ええ、聖王国の医療魔道団が責任を持って・・・再生魔法も効かないように目を潰しましたわ」


「まあ」


「ジャームズ」

「エリ・・・・」


 私は思わず婚約者の手を握る。辺境伯領から、ワザワザ来てくれたのだ。年は3つ上で、今は修行中、辺境騎士団で修行している。

 暴虐王女と悪名が広まったが、


『ギャハハハ、次期辺境伯夫人はそれぐらいでいい』

 と逆に評判になった。


 聖女タナカは叫ぶ。


「ちょっと、待ちなさいよ。私はこの国で暮らすのよ。貴族学園に通って、貴族と結婚してあげてもいいわ!」


 それに、役人は、無慈悲に答える。


「申し上げにくいのですが、貴族学園は、15歳から18歳、アカデミーは18歳から~22歳、聖女様の年齢は30を超えられております。入学できません。

 ええ、勿論、各家に、婚姻の打診をしましたが、どこも断られました。魔族領保護地区は大変すみやすく聖女様の理想とする貧富の格差のないところと聞いております」


「魔族なんて、嫌よ。私は聖女よ!」


 ・・・魔族を差別するなと言ったクセに


「では、ササキ殿・・・よろしくお願いします」

「陛下、分かりました。交易の協定も考えて下さいね」

「ああ、前向きに善処する」


 ササキは、そう言い残して、飛龍に聖女を積んで、魔族領奥まで飛んでいった。


 ・・・協定前に、我国をスパイしていたのよね。助けてくれたけど油断出来ない。

 情報網を強化する必要があると兄上に進言ね。



 ☆☆☆魔族領良性ゴブリン居住区


 ・・・ここには貨幣もない。魔石を貨幣として使う文化もない。服も草で大事な所を隠して、裸に近い。

 しかし、皆、善良だ。

 善良すぎて、他の部族と接触すると、すぐに滅びるだろう。貴重なので、歴代魔王様から、保護地区に指定されている。


 森に、赤い旗を立てて、この良性ゴブリンの居住地域に入らないように警告されている。

 何か、皮肉ね。でも、赤旗は目立つから仕方ない。


「ギギギギギギギギギーーー」(あたらしい仲間だ!目が見えない)

「グル、ギギギ」(魔族様、任せて下さい)


「では、皆様、宜しくお願いします。目が見えないのでフォローをお願いします。治癒魔法が使えます。今は飛龍酔いをして、ぐったりしてますが目が覚めたら、その日から、平等に労働させて下さい」


 見た目はゴブリンで怖いが・・中身は善人、きっとタナカさん気に入るでしょう。


 あっ、それよりも交易協定の話、熱い内にまとめなければ、


 ササキはすぐに、タナカのことを忘れた。


 聖女タナカが、ここで幸せに暮らせたのか、誰も興味を持たなかった。




最後までお読み頂き有難うございました。

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