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第五戦 戦略芸術(9)

理論的に宮部のスピードは速いが、何故かこの目の中にまるでスローモーションのように見えて、さらに彼女の後ろに揚げた土煙、その光景はまったくアクション映画の結末にキャラクターが危機から逃げようとするシーンのようにショックだった。


もう宮部が分かれ道の端に近寄ってきたとたん、つり橋の橋台が砲弾に当たった。


少しの支えもなく、つり橋が切れたロープのように崩落していく。


「キャアアアアアーー!」


甲高い叫び声が耳鳴りの音を覆い、宮部の姿はつり橋と一緒に崖に落ち、谷間にその悲鳴が木霊する。


砲撃が止まり、最後一つの砕石が宙に舞い上がって落下し、再度周りは靜寂に戻った。


「あいつ……落ちたのか」


柳下が疑いをかけるや否や、まだこちらの分かれ道を繋ぐつり橋の残骸が動いた。


一本の手が崖の下より現れた──顔がほこりだらけになった宮部がつり橋の残骸から緩々とよじ登ってきた。


ちゃんと地面に着くと、すっかり地の上に腹ばいになった宮部が息を切らしながら、そのバラバラに振り乱した髪が一層やつれた格好に見えた。


どうやらこの展開は彼女の予想とは全然違ったようだ──でもどうして?


「まったくもう、部員たちに座標をセットし直してもらったのに、結局やっぱり橋台に当たったのね」


なじみの声が宙から聞こえてきて、僕が声の出どころを探した。


すると僕と宮部の真ん中にある街灯の上に、その小柄な姿を見つけた。


芸音、しっかり街灯の柱の上に立ち、その手がツインテールを撫でてる。


いつそこに出てきたんだ、あの娘?


「……芸音?」

「申し訳ありません、ユアハイネス。説明は後ほどさせていただきます」

「ちょっ!あんたもう逃げたんじゃないの!どうしてここにいるの!」


向こうの宮部が咆哮し始め、その声は魚屋のおじさんほど大きい。でも恐らくそれは彼女の残った全部の力だ。


「守らなければならない人を見捨てるのは、命を見捨てるのと同様なの。私のような人間にとってはね」

「っ!あんた、ヘプタ・エックスのストーカーじゃないの」

「ストーカーだったよ。でもそれはただ偽の肩書きの一つにすぎない、もう一つの肩書きを持ってるの」


しっかり歩みを動かし、向きを変えた芸音が宮部に目をやる。


「次世代人間のプロトタイプ『略』の守護者、一般的にはボディーガードと呼ばれるもの」

「ボディーガードって?しかし……」


一時絶句して、宮部が再び口を開ける時に歯をむき出しにした。


「あんたは復讐の為にあの人に近づいたんじゃないの」

「近づいても必ず復讐の為というわけじゃないもの。勝手な推測に惑わせられただけよ」

「じゃこの前教えてくれた情報や言動は全部ごまかすため?」

「いや、半分以上は真実。私の後見人がどうしてなくなったかということも含め、君はとっくに他のルートを通して知ってたから。でも図書館の事件は君の信用を取るために企んだもの。予期せぬ出来事にならないように、佐野さんに替え玉をしてもらって、身分を交換する用の変装もあずけた。最初の試みはまさに図書館で」

「まさか彼らを尋問した時もう身分を交換してたわけ?」

「やはり気づかなかったのね、だから今回の計画を立てようと決めたの。こうしないと順当に君に自らその身分を暴露させられない。アウテック学院理事会の幹部の娘──いや、殺人未遂のアサシンと呼ぶべきかな、宮部術美さん」


周りが物音一つせず静まり返り、ただ芸音の訴えが明確に皆の耳に入っただけだ。


「あたしは……違う……あたしは……あたしはアサシンじゃない!あたしは中央情報局のエージェントなのよ!」

「そんなのこれから調査してもらうよ。殺人未遂は殺人未遂、特に君のような理事会と関係ある人をね」

「あたしを逮捕するの?理事会から許可がおりるわけないわ!あんたはただの副部長にすぎないから!」

「この場にいる人は君が殺人の意図があるって証言できるよ、それにね──」


と言いながら、芸音がある腕章のようなものを袖につけ、わざと宮部に見せつけた。


続きの展開は僕の推測通りだ──二列の白い歯をあらわし、宮部はびっくりして口が半開きになった。


「リッ!……理事会の秘密風紀委員?」

「そう。理事会に屬する反国際スパイ機関として、君を逮捕する権力があるのよ!」


気迫十分の声が分かれ道に反響すると、地に伏せる宮部が必死に芸音を遠ざけるよう体を動かそうとしてる。でもそれは無駄だ、却って腕立て伏せのようだ。

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