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第五戦 戦略芸術(4)

「……芸音?」

「そう。中央情報局は多少君たちの関係を知ってるから、あたしは自らあの人に絡んだりして、もちろん相手もすべてを教えてくれたわ。君がどうやって彼女の後見人を巻き添えにしたこともね。交換条件としてあたしは必ず彼女に回路を盗む隙間を作って協力すること。それは多分復讐でしょうね、本当に皮肉だわ、自分の親友がヘプタ・エックスのストーカーなんて」


視線の角度で、柳下の顔に何か変化があったかは見えなかった。


が、その身震いしてる上半身から、誰でも彼女がどのくらいの大きい打撃を受けたのかがわかる。


芸音はマジでヘプタ・エックスのストーカーなのか?そして柳下に復讐するために秘密を宮部にもらしたわけ?んなバカな!


「……戦嵐……逃げろ、俺はほっとけ……もう動けせねぇから。おまえはあいつに勝てねえ」

「何でだよ!まさか見殺しにしろっていうの?」

「これは本来俺の宿命だ」


淡然、時折絶望の象徴でもある。


無感情の声からは、柳下の精神がすでに崩壊寸前だともらしていた。


「元々おまえに知ってほしくねぇんだ、いつかこの身分でおまえが殺されてしまう羽目になるかも心配してる……」


殺されるって?それは──

あ、わかった。

これだ。柳下がプロトタイプだからこそ、お宅はヘプタ・エックスに狙われたんだ。


それで、芸音の後見人が犠牲になったんだ。


しかも、自分が最も信頼する友達が、それで裏切ったりしてたし。


さらに次世代人間としての事実がバレされたから、こんなに落ち込むんだ。


柳下は僕に芸音の後見人と同様、次世代人間の彼女を守るために命を失わせたくないんだ。


もし自分が死んだら、もうそんなに多くの人を引きずり込まなくて済むんだ──相手の心の声が聞こえてないが、その思いはわかるつもりだ。


柳下がかつらを脱ぐや否や、暗黄色のロングヘアーが落ちて、その顔の大半を遮った。


「早く……まだ宮部が目標をおまえにしてないうちに──」

「黙れ!」


内心からわいてきた怒りが、僕に宮部さえもちょっとおびえた怒鳴り声を上げさせた。


柳下がぼう然とこちらに向き、表情はさっき話しかけたままで凍っていた。


「おまえが何を考えてるのか口出しできないが、ただ次世代人間やら何やらは関係なく、あのいつも僕に因縁を付ける部長だってことは変わらない!」


本当に善良すぎ。

そして人を怒らせるほど善良だ!

もしも自分が普通の人間じゃないだけで気を落とすなんて、まったくそんな必要ない。


僕が十六年の人生でお袋にどのくらいの迷惑をかけて、怯者っていう称呼を背負いながら生きてきたが、従来自分はこの世に存在すべきではないなんて考えたことないんだ。


身分というのは、あくまでもコードの一種にすぎないってことを柳下に証明する義務があるんだ。


「動けないのはいいんだ、必ずおまえの護衛として責任を取る!絶対に逃げない!」


目線をゆっくりこちらの目から逸らし、もう一度頭を下げた柳下、その無力な横座りの姿ままで保ち続けてる。


体だけではなく、彼女は反抗する意志さえもすっかり失ったようだ。


今宮部の相手にできるのは僕しかいない。


「質問がある、素直に答えろ」

「いいよ、どうせ時間はいくらでもあるしね」

「確か図書館の事件は黒羽さんが君をサポートしたってさっき言ってたな。それはマジか」

「そうよ、黒羽さんは図書館三階の隅に隠れ、君たちの三階での一挙一動を全部見て、リモコンももちろん彼女が押したわ」


そっと微笑む宮部、その顔がすぐ冷酷に変わった。


「でも当時のミッションは失敗した。参考できる監視画面などもないし。かつてその直感のことを聞いたことがあるので、多分君がプロトタイプを助けたって思ったから、理事会捜査員の身分を使って君を調査した。でも、お宅でのアクシデントに迷わされて、その能力はうそだと思ってしまったわ。黒羽さんは今日絶対プロトタイプをベースから離れさせることができるのを保証してたからもう一度チャンスを与えたのに、結局また君が邪魔してきたわ」


すべては芸音の段取りだ──宮部の説明により、まず連想したのはきっとこうだったよな。


だとすると、あの娘が僕に護衛の仕事をくれた理由は何なんだ?


それと、どうしてこの変装セットをくれたのか。まさかただ僕をベースから誘い出して宮部に手を出させるつもりか?


なんかどこか妙に引っかかった感じだ。宮部の話しは僕が把握する事実とギャップがある。

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