第五戦 戦略芸術(2)
黒い拳銃が宮部の手から飛び去ったと同時に、暴発したらしく自動的にシュートした。
ゴロゴロという音に伴って、バタフライナイフと拳銃は一緒に絶壁の下に落ちていく。
静寂は再度分かれ道に舞い降りてきた。
現場に残ったのは、片膝をつく僕とどうにか立ててる柳下、そして戸惑いながら怒ってる宮部だけだ。
君だろう。
普段あんな変わった挙動はただフリをしてたんだろう。君こそがヘプタ・エックスのアサシンだ、宮部術美!
絶対間違いない。主動的に奇襲した上、自分の手の内をあばくのに等しい。
でも相手がターゲットを間違えた、だから柳下が致命的な攻撃を避けられたことになった。
彼女を混乱させる原因は説明なんて要らない。
そう、宮部が僕を撃った──柳下に変装した僕を。
僕の下駄箱にあったものは、まさに変装用の道具だ。芸音がこれで護衛の責任を取ることを合図した。
すでに軍帽とめがねがさっきの回避動作によって外した。宮部は一体どういうことだかわかったはずだ。
「身分を交換した?でもどうして……」
と、その見開いた目が益々細くなり、最後冷酷な目つきになった。
「なるほど。相手が悪意を持つ場合だけアレができるわね」
…………
さすがエージェント。とうとうこの直感の弱点を発見された。
そう、この危機回避っていう能力は、必ず他人の悪意を前提としてしなければ発動できないんだ。つまり、単純な事故なら、僕はどうしても回避できないんだ。
だがこれはただその中の一つだけ、この直感にはもう一つ弱点がある。
「ずっとおかしいと思ってたけど、どうして最初お宅に押し入った時、君が押し倒されるのを避けられなかったのか。別に悪意を感じてなかったからね」
「この前中央情報局の人だと思ってたが、どうやらヘプタ・エックスのアサシンは君の正体だな」
「ヘプタ・エックス?ふふふふふ…………」
そっと後ろへ跳んで、僕らと距離をおいた宮部、身のこなしが素早くて迅速だ。
「あんな影に隠れる組織なんかに所属してないわ。あたし本物のエージェントなのよ」
「まだ認めないのか。じゃどうして柳下を狙うんだ!」
「だって共通利益の面で、あたしとヘプタ・エックスの目標は一致してるわ」
異様な輝きが一閃、その黒玉のような双眸が恐ろしい光を放ってる。
「そう、その先進兵器を抹殺すること」
先進……兵器?
相手が筋道のないセリフを出し、一体何を言ってるか全然わからない。
「おっ……おまえなぜ知ってる……」
宮部が言った言葉の意味をはっきりしようとすると、傍の柳下が変な反応を見せた。
まるで本能からの恐れのよう、柳下がすっかり畏縮に陥って、宮部を攻撃したりするどころか、しっかりと立つことさえも困難だ。
結局、うめき声が聞こえてきて、彼女は両足がぐったりと床に横座り、さらに手で脛をつかんでる。
「柳下?」
しまった、さっき暴発した弾が柳下の脛に当たったようだ。
ましてもう一本の足も捻挫しているし、こうなら彼女は全然動けない。
「フン、本当に天助ですわ。銃はなくしたけど君を動かせなくできたわ」
「おい!宮部!はっきり言え!一体先進兵器って何なんだ」
「文字通りなのよ。それとも一層詳しく説明してあげようか」
頭の上の街灯は間歇的な点滅が起きた。閃光のその一瞬、宮部の顔に冷笑が現れた。
「十六年前、ある企業は国連の目を盗んで、次世代人間のプロトタイプの開発に成功した。このプロトタイプは驚異的な身体能力と凄いスタミナを持ち、さらに遺伝子組み換えを通して強大な先進兵器に改造することができる。人の目をごまかすために、全計画のコードネームはただ『略』っていう一文字だけ。その後、この開発計画の責任者の科学者夫婦がそのプロトタイプを連れて逃亡した。残念ながら結局彼らはヘプタ・エックスの人に見つけられて殺され、でもプロトタイプは他人の協力により無事に日本に逃げてきた。この次世代人間のプロトタイプは今どこにいるか知ってる」
次世代人間?サイボーグっていうこと?
!
まさか──
「そう、君の隣にいる、あの柳下誠って偽名を使うモノ!」




