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第三戦 MADっていう暮らしの始まり(6)

「意外だろう。作品豊富の学者は海外の学校で身を隠して運転手をするなんて。当時俺はまだマイスターの正体がはっきりわからねぇから、ただ多くの先生があの方を学院長や教官などと担当して欲しいのを知ってるだけだ」

教える仕事をやめて、スクールバス運転手をするなんて、よく考えると確かにお袋の世に対して不真面目な態度とぴったり合うな。

「ある日クラスは早めに終わったから、俺がスクールバスで寮へ帰る途中のことだ。バスの中に他の生徒がいないから、マイスターは自ら声をかけてくれた。あの日にマイスターと知り合ったんだ」

「早めに終わったからといって、どうしてスクールバスに乗るのはおまえ一人だけだったんだ?」

目を伏せ、柳下がそっと唇を噛む。

「フフ……おまえも気付いたのか。どうもマイスターの養子としてはまあまあだな」

「締め出された……とか」

固く目を閉じた柳下は首が微かに後ろに仰ぎ、その後自分の気持ちを混ぜ合わせる濁った気体を吐き出した。

こんなに直接な聞き方は少女に対してはちょっと残酷かもしれないけど、自分が何をやってるのかはっきり知ってるんだ。

会話する時、もし相手が遠回しな話し方が嫌だったら、自分が聞きたいことを後にするなんて逆効果だ。

もちろん、それもとあるスクールバス運転手になったことがある女性から学んできたことだ。

「マジで直球だなぁ。でも構わねぇ、所詮それは男同士の交流方法だからな」

性同一性障害──思い出した、芸音が言っていたことを。

「そうだよ、まさに締め出しだ。クラスの中で武道と軍事に興味があるのは俺一人だけだから。他の人はこんな俺を受け入れられない。ただ俺が……」

言いながら、柳下が頭を下げ自分の胸元をちらっと見て、僕の視線も一緒に移していく。

完全に平らだ。まったく見えないよ、その90……真の性別が。中にさらしなどを着たかもしれないが。

首を振りながら、柳下が言葉を言い終えないまま、また視線をこちらへ移した。

「要するに、海外で勉強してた時触れ合ってくれる生徒が誰もいねぇ。あの日皆が遊びに行って、寮へ帰るのは俺だけだった。しかし、そのおかげでマイスターと知り合うチャンスをもらったから、残念な気持ちがちっともなかった」

「そんな生活を改善してくれる先生は」

「いない」

「小学生頃の友達は」

「いない」

「話し合えるきょうだいは」

「いない」

あっさりと答えてくれたものの、その声は益々か細くなって、あわせて握る両手はぶるぶる震え始めた。

この時、自分は柳下があまり部外者と分かち合わない領域にうっかり踏み入ったと意識してしまった。

しかし、相手はあっさりと答えてくれた。

多分先ほどの約束を貫きたいのだろう。約束を果たしたからこそ優秀なリーダーだと柳下は思ってるなら、あまりにも無理させたと思う。ましてそこまでできるリーダーはあまりいないし。

相手に自分の秘密を言わせばかりなのは道理がない。次は僕の番だ。

「……きょうだいと言えば、僕は妹が一人いるよ」

「ほう、幸せだな。毎日お兄ちゃんって呼んでくれるよな?」

「十年前にいってしまった。火事で以前住んでいた家が燃えちゃったから」

微かだが、柳下がつい抑えきれず驚いた声をもらした。

下を向いて目を瞬き、さっきまでの皮肉る態度を控えた相手。

「……失礼。思慮に欠ける言葉を言ってしまった……謝る」

ナニッ!こいつがこんなまともな態度で謝るなんて。宇宙人はまだ日本に攻撃してきてないだろうな?

今、どんだけショックを受けたかというと、さっきの柳下の反応に劣らないと思う。

「いや、大丈夫だ。もうずいぶん昔……その後、キャトが僕を他の所に引っ越すのを手配し、学校も別の小学校に転校した。その間は僕も一緒に遊ぶ友達などいなかった」

しばらく沈黙して、相手の表情は現在の情況を判断してるように慎重だ。

「なぜ俺にそんなことを教えてくれるんだ」

「さっきプライバシーに触れすぎたから。交流するっていうなら、一方的に話すわけにはいかないだろう」

平静な眼差しでこちらを眺め、どのくらい時間がたったのか気にかけてない。

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