表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/82

間章 遠い昔の夢(1)

「靴を取って来て」


確かあれは十年前のことだった。


そのころはまだ僕は小学校で勉強してて、傍に話しかけられる友達が一人もいなかった。毎日放課後、学校の通用門から離れるのは僕だけ。一人で登下校することはとうに日常茶飯事だった。


でもあの日だけは特に違った。人生の奇遇といっても過言じゃない。


相手は小柄な女の子、明るいロングヘアは僕をコマーシャルの中でシャンプーのイメージキャラクターに連想させ、すらっとした手足と素朴なカジュアルウエアの組み合わせはあの手の外向的な女性に見える。


娘は橋の欄干の上に座ってる。その橋は帰宅する時必ず渡すところだった。


橋の外側に向いて、サンダルを履く両足を軽やかにゆらゆらさせる娘は夕日が沈む風景を楽しんでるようだ。

あまり人がいない橋に現れる娘は僕に深い印象を残したが、話しかけようとする考えがまったくなかった。年齢のせいだろうか、当時の僕は女性に対して、特別な感情がないどころか、拒否するぐらいだった。


ランドセルを背負って相手の近くを通り過ぎると、娘は急に足を蹴って片方のサンダルを橋の下に落した。


「靴を取って来なさいよ。聞いてないの?」


女の子の僕に対する話し方はまるで僕がずっと彼女に仕えてきたしもべのようだ。


初めは彼女が独り言を言ってると思ったけど、相手が二度目に言ってから自分がロックされたのを確かめてしまった。


「くつ?」

「サンダルよ、さっき橋の下に落ちたの。取って来てよ」

「君が落したんだろう、どうして僕が?自分のことは自分でやれって先生に教えてられてないの?」


けさに学んだばかりの道理を受け売りで抗議した。ふざけるなよ、こんな女の子に奉仕する義務があるか?

娘が僕の異議を聞くと、不思議な状況が起きた。


いなくなった。耳元に風が吹く音が聞こえたとたん、娘の姿が消え去った。


「あれ?あの子は?」


やにわに体が沈むように、ある柔らかなものが上に現れ、まるで何かが突然頭のてっぺんにしっかりのってきた感じだった。


視線の上のへりに黒い影が出て、あの女の子が一体何処へ行ったか意識した。


あれは足指だ!あの子は僕の頭を踏み、しかも片足だった。


「動かないで。動いたらバランスを保つことができないの。あなたの首が折れるかもしれないよ」


娘は静かに審判を下すように言葉を言い、足で踏まれてる僕は受審人のようにじっと聞くしかできなかった。


けっこう軽い体とはいうものの、かなりプレッシャーを感じさせる。娘が少しでも力を入れれば僕の頸椎が怪我し、ひいては半身不髄になるかもしれない。


「これが最後。サンダルを取って来なさい。そしたら自由にさせてあげる。いやだったら何が起きるか分からないよ」


恐らく首が踏み潰されるだろう。そんなことになれば車椅子で学校へ行くのみ、押してくれる人がいるかな。


この女の子に本当に手を出させるわけにはいかないんだ。やはり従った方がいい。これは将来のための戦術だ!怖がったりなんかしない!


「わっ……わかったよ。取ってあげるから早く降りてよ」

「約束よ。男ならやってね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ