賞味期限の来る日まで
拙筆ながらありきたりであろうことをお許しください。
この冬、高校を卒業しました。3月になり、憧れだった東京の大学に合格はしたけれど上京と大学の準備に明け暮れる日々。忙しない中に垂れ流すテレビには毎日のように『ホワイトデー』の特集が。でも、1か月前はそれこそ大変な時期で、当日にチョコをあげたのは女友達以外では1人だけでした。その人とは幼馴染で、物心ついた時からずっと一緒に過ごしてきましたが、彼は地元の大学に進学します。地元とはいえ、この時期はみな忙しいでしょう。それに当時大変だったのは彼も同じですし、彼は非常によくモテました。そんな状況だったにも関わらず彼は沢山の人からチョコを貰っていたのです。私があげたのを覚えているかどうかもわかりません。期待はしていない、.......とは言いながらもどこか虚しい日々を過ごしていました。
引越し先も決まり慌ただしさも一段落したある日、テレビから毎日のように聞こえていたタレントやアナウンサーの方がお洒落なお店や様々なお菓子を紹介する声を今日は聞いていないことに気がつきました。気になって画面を見ると3/14の文字がありました。いつの間にかそんなに月日が経っていたことに驚きつつ、自分でも気づかないうちにため息が出ました。
それからはなにかをする気も起きず、ずっと自室でごろごろ過ごしていましたが、夕方になって母が扉をノックしてきました。なにやら私を訪ねる人がいるらしいです。.......心当たりはあります。ですが、そんなことがあるでしょうか。期待と不安がごちゃ混ぜになりながら玄関へ向かい、ドアを開けました。
そこに立っていたのは幼馴染で。
渡されたのはホワイトデーのお菓子でした。
.......でも、
でも、そのお菓子は、その辺のコンビニでも売っている市販品でした。
彼とはずっと一緒に過ごしてきました、彼の性格はよくわかっています。私の家は前から知っていますし、彼は優しいので覚えてさえいればお返しはしようとするでしょう。
その後彼とは当たり障りのない会話をして別れました。私は部屋に戻って、つい先日見たテレビの特集の内容を思い出していました。それはお返しに使うお菓子の意味についてでした。
私は彼の性格をよく知っています。とても照れ屋な人でした。渡されたそれは、私の好きな味のものでした。
私は彼の性格をよく知っています。誕生日などは贈り物の意味をちゃんと調べるタイプの人でした。
私は、それを東京に持っていく荷物の入った段ボール箱の中にそっといれました。ええ、『飴』は賞味期限が長いので。
賞味期限ぎりぎりまで眺めているつもりです。
さすがに短すぎると思うのでここからちょいちょい調整したり前後日談を加えたりしたいです。そしたら再投稿します。
ちなみにホワイトデーのお返しでの飴/キャンディーの意味は「貴方の事が好きです」という意味があると言われています。飴やキャンディがゆっくり溶ける様子が甘々な恋人同士を連想させるらしいです(諸説あり)へ〜