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43話:ダンジョン


「ん? ダンジョン?」


 お昼時。冒険者ギルドで、リーザさんにそんな話を持ちかけられた。


「王都近くで新しく見つかったらしいわね」

「へぇ、そうなんだー」


 ダンジョン。魔物が生息する未開の地。

 洞窟だったり古代遺跡だったりするらしいけど、魔物が住み着いている場所は大体ダンジョンと言うらしい。

 実際にはもっと色々あるらしいけど、正直よくわからない。


 何かいつの間にか現れて、魔物が沸いたりするらしい。

 なので見つけ次第調査して、定期的に一定数の魔物を狩らないといけないとか聞いた覚えはある。


 まーぶっちゃけ、あまり興味が無かったから詳しく知らないけど。

 ダンジョンなんかよりチビ達の世話の方が大事だったからね。


 でも今なら行ってみるのはありかもしんないなー。

 何か手がかりになる情報とかあれば欲しいし。んー。

 あとゲルニカの古代遺跡にももっかい行きたいんだよなー。

 ……まーいっか。とりあえず、いっぺんダンジョン行ってみるかなー。


〇〇〇〇〇〇〇〇


 という訳で。噂のダンジョンに来てみた。

 見た目、ただの洞窟だ。けどその周囲がかなり異様な光景になっている。


 なーんで洞窟の周りに屋台が並んでるかな。

 串焼きの香りとか凄いんだけど。

 奥の方には宿泊施設や出張治療院なんかもある。

 なんだろ。こう、小さな町みたいになってんな。

 頑張れば生活できるんじゃないかな、ここ。

 なんてーか、冒険者がたくさん来るからお店も出るんだろうなー。


 ふむ。ま、とにかく入ってみるか。


〇〇〇〇〇〇〇〇


 てなわけで、洞窟の中に入ってみた。

 おー。中も普通の洞窟だわ。

 岩肌がゴツゴツしてるけど、所々光る石があって中は明るい。

 んー。不思議だけど、便利だから問題ないか。


「あ、ねーリング。マップ作れたりする?」

「――解析完了。表示します」

「あんた、本気で便利ねえ」


 リングがいれば初めての場所でも道に迷うことは無い。ほんと超助かる。

 マップを見た感じ、地下七階まで続いているらしい。

 そんなに複雑な作りでもないようだ。


 念のため拳銃をホルダーから抜き、少し気を引き締めて進む。

 初めての場所はやっぱ緊張するな。


 たまにゴブリンを見かけたけど、これはいつものようにさくっと狩っていった。

 狭い以外はいつもとあまり変わらないし。

 ふむ。まーとにかく一番下まで行ってみよう。


 ある程度進むと、行き止まりに突き当たった。

 あれー。マップ見る感じまだ先があるはずだけど。

 でもどう見ても壁だもんなー。

 壁を叩いてみると、コンコンと軽い音。

 んー……おりゃっ!


 ぼこんっ


 おし、蹴ったら穴空いた。

 薄い壁で通路が覆われてただけみたいだ。


 あー。なんて言うか、昔うちのチビ達も教会の通路を拾ってきた枝で塞いじゃった事があったなー。

 ヒミツキチとか言ってたけど、男の子ってあーゆーの好きだよねー。


 いやまー私も好きだけどさ、ヒミツキチ。

 大きな木の上に小屋作って遊んでたし。

 あの小屋、危ないからって大人に取り壊されちゃったんだよねー。

 あの時はめっちゃ泣いたなー。

 うん、今となってはよい思い出だ。

 あ、ゴブリンみっけ。撃つべし撃つべし。


〇〇〇〇〇〇〇〇


 地下五階。何事もなく進行中。

 今さらだけどこの洞窟の中、風が通ってるみたいだな。

 地下なのにどうなってんだろ。魔法かなあ。


「――警告:魔力反応。ゴーストです」

「うげ。まじか」


 不意にリングから警告された。

 ゴースト出んのかここ。やだなー。

 あいつら殴っても効果無いらしいから嫌いなんだよね。


 あ、てか銃弾は効くんだろうか。

 一応魔力の塊だけど、どうなんだろ。スライムには効かなかったしなー。

 まぁ、無理なら逃げ帰るしかないんだけどさ。


「……ていっ!」


 バンッ!


 ぱしゅんっ!


 お。何だ、当たるじゃん。当たるなら何も怖くないわ。

 ふははは……あ、ごめんなさい、ちょっと団体さんは勘弁なんだけど、ちょ……ひゃああああ!


 戦略的撤退。


 あー危なかった。油断大敵だわ。

 地下六階。ゴブリンとゴーストを狩りながらじわじわ進む。

 このくらいならサクラドライブ使わなくてもなんとかなるな。


 てか、ゴーストって討伐部位残んないけど、討伐証明ってどうするんだろ。

 いや、証明できないから依頼が上がらないんだろうか。

 まー魔法使えれば簡単に退治できるし、それでも困らないんだろうけどね。


 さてさて。そろそろ何かでかいのが出てきてもおかしくないと思うんだけど。

 絵本とかだと門番っぽい奴がいるものなんだけだなー。


 ……って、あれ? 階段みっけ。おかしいなー。

 うーむ。まあ、行ってみるか。


 地下七階。

 階全体が広間になっていて、そのど真ん中に鉄製のゴーレムっぽいのが居た。

 え、降りた先にいるの?

 この階段は通さないぞーとかじゃないんだ。

 そういうもんなんだろうか。


 ま、とりあえず、気合い入れて行きましょうかましょうか。


「リング、いこっか」

「――Sakura-Drive Ready.」


「Ignition」



 足元から立ちのぼる、洞窟内に吹き荒れる桜色の吹雪。

 中々の大物だ。気を引き締めていこうか。


「さあ踊ろうか、デカブツ」



 駆け寄る。まずは牽制の一撃。

 胴に向かい射撃。しかし、やはり鉄の肌に弾かれる。

 振り降ろされる腕を銃底で受け流し、そのまま前身。

 関節部分を狙い近接距離から射撃するも、効果はない。


 ならば。魔力を廻し、銃口に集中される。


 横薙ぎに振り回される腕。しかし、遅い。

 地を舐めるように伏せ、回避。そのまま前身し、がら空きの胴体に拳銃を突きつける。


 トリガー。桜色の閃光が、ゴーレムを貫通して洞窟の壁を削った。


 離れ際、胸を狙って射撃。同じように貫通。

 攻撃が通った。後は反撃を躱しながら撃ち抜いて行くだけだ。

 なのだが、ゴーレムは煙を出してその場で崩れてしまった。

 ……おい。まさか、終わりか?


「リング。魔力反応は?」

「――消滅しました」

「……そう。状況終了を確認」


 ホルダーに拳銃を戻し、サクラドライブを解除した。



 うやー。まじか。肩透かしもいいとこなんだけど。

 道中のゴーストの群れが一番やばかったわ。

 ……まー、いっか。しゃーないしゴーレムの核持って帰ろ。


〇〇〇〇〇〇〇〇


「ただいまー。お土産です」

「あら、ゴーレム核?」

「ダンジョンの最深部にいました」

「……えっと。まさか、一日で最深部まで行ってきたの?」

「はい。他はゴブリンとゴーストしか出ませんでした。私的に外れです」

「そう。それは残念と言うか何と言うか……一日で踏破しちゃたったかぁ」


 久々に苦笑いのリーザさん見た気がする。

 あれ、なんか不味かったかな。


「あ、でも見た目面白かったです。なんか石光ってましたし」

「あら、光石があったのね。発掘調査隊を向かわせないと」

「そんなら地図描きましょうか?」

「そんなことまで出来るの? じゃあ、お願いできるかしら」

「紙とペンあります? あ、ども」


 リングのマップをそのまま描き写すと、情報量として銀貨がもらえた。

 危険がないのは良いことなんだけど、なんだかなー。


 不完全燃焼だ。やっぱ近い内にゲルニカの遺跡に行こうかな、うん。


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