6発目 タイトル回収はお早めに。
久しぶりの投稿です!
仕事をやりながら小説書くのって、なかなか続かないものですね〜。
けれども粘り強く書いていきたいと思います。
もしかしたら読んでくれている読者の方!
できたら応援よろしくお願いいたします!
自分の能力は「超パワー」、今まではそう思っていた。だけど、最近気付いたことが一つある。それは自分が能力を使った際に、周りの温度が急に少し上がっているということだ。
超パワーで自分の温度があがるなら分かるが、周りの温度の場合なら衝撃によって、むしろ下がるはずだ。なのに上がるのはおかしい。
もしかしたら私、原賀唯の能力が「超パワー」とは少し違うのかもしれない。
昼休みにて、
「さて、では始めよう、まずは原賀から!」
「はい!私はONEPIECEが一番だと考えます!その理由は作品の中で独自の世界を構築している上、数々の感動シーンを生み出しているからです!」
「なるほど!では次、北野!」
「はい!あたしは絶対に進撃の巨人です!なぜなら、人類が一致団結して生死を賭けてまで巨人という脅威に立ち向かう作風がとても気に入っているからです!」
「なるほど、なるほど!では次、鈴村!」
「はい!俺は王道的にドラゴンボールが好きです・・・ってなんじゃこりゃああああああ!」
と、ノリツッコミしながら机をバンと叩く鈴村。
「うむ、確かに王道だな」
「「だね」」
「いや待て待て!急に呼び出すから何かと思えば、何?この4人で好きな漫画を語り合うっていう流れ!?」
「正確には、この4人で知り合ったからそろそろお互いに趣味・趣向をさらけ出していこうという企画だ。続けるが俺は銀魂が好きだ!理由はギャグ・人情・侍・時代劇・SF・バトルなど多くの漫画界のジャンルを網羅しているところが気に入っているからだ!」
「ならはっきりそう言ってくれよ・・・まあ良いけどよ。じゃあ聞くけどよ、3人はなろう系の作品では何が好きなんだ?」
「「「それはNGだからダメ!!」」」
「ジャンプ作品はNGじゃねえのかよ!」
その放課後、帰り道...
「...さっき別れたばかりなのに何で来たんだ?原賀」
帰宅道が違うはずの原賀が何故か俺を追いかけてきていた。
「ちょっと相談したいことがあるの、そこの公園で話しても良いかな?」
「...別にいいぞ」
何やら大事なことらしいので、とりあえず聞いてみることにした。公園に入ると原賀は振り向いて口を開いた。
「私の体、見て欲しいの!!」
その時、どっかの吸血鬼がスタンド能力を使ったかのごとく、世界の時間が一瞬制止してしまったように感じた。
「いやお前は何を口走ってんだ!それ誤解しか生まないぞ!ちゃんと内容を言え、内容を!!」
だがツッコミは止まらない。
「何?ストリップ?」
「最近の女子ってそんなふしだらに…」
そして周りの人々への誤解も止まらない。
「え…あ、ごめんごめん!」
自分で言って恥ずかしがる原賀。その顔も中々可愛いけど。
「最近ね、自分の能力が超パワーなのかちょっと疑問になってきたの」
「ああ、やっと気付いたのか」
「え?私の能力が何なのか知ってるの?」
実は初めて原賀のパワーを見た時、俺は彼女の周りの温度が上がったのを感じ取っていた。そこで彼女のパワーは能力自体ではなく、能力がそれを可能にさせているのだと考えた。
「はっきりは分かってないが、単純なパワーじゃないことはあの時すぐに分かったからな。でももう一度見てみないとな、ここでもう一度見せてくれないか?」
「うん、分かった」
原賀はさっそく拳を構えて、空を切るかのように前に突きを繰り出した。
ヒュオッ。そしたら原賀の前でそんな音と一緒にちょっとした風圧が起こり、俺のお腹にそれが伝わった。
「俺に当てるんかい!」
「体で感じればもっと分かると思って…ちゃんと手加減してあるよ?」
「してもしなくてもダメ!二度とやっちゃいけません!」
「なんで若干お母さん口調!?ってそっちこそいきなり腕を!」
俺は今掴んでいる原賀の腕に起きた一瞬の小さな現象を見逃さなかった。人間の体から出ないはずの煙が出ていたのだ。
「原賀、今度は能力だけを使うってイメージしてみてくれないか。あ、殴るなよ、絶対に殴るなよ!」
「その前振りみたいな言い方、古いよ」
ですよね…。
それはさておき、もし原賀の能力が思った通りのなら彼女の腕からあるものが出るはず。原賀は右腕に意識を集中させて能力を発動しようとしている。そして段々腕から煙が出てきて、
そしてついに“それ”はボッと吹き出した。
「思った通り!“炎”だ!」
「うそ…、じゃあ私が超パワーだと思っていたのは、この炎だったの?」
「ああ。おそらくその炎が起こしていた熱気の波動が腕の肘の部分から出たことでジェット噴射みたいな理屈で勢いをつけてたんだろうな。でもそうなると同時に体の耐久度が相当高いからこそ超パワーが出せていたってことに…なるな」
「それってつまり私は固い女って言いたいの?そんなの女の子としては嫌なイメージだし、ましてや好きな人にまでそう思われるなんて…」
「いや、別に俺は気にしないぞ。そんなことで嫌いになんてならねえよ」
「あ、ありがとう」
またしても赤面する可愛い原賀。しかし疑問が残っているのだ。忘れているかもしれないが原賀は今、長袖のセーラー服を着た状態でその炎を肘の部分から出させたのだ。それだとセーラー服が燃えてなきゃおかしいのに燃えてないのだ。
「これ、なんで服は燃えないんだろうね。燃えちゃったら嫌だけど」
「もしかしたら“体に身につけてるものは燃えない”ってことなのかもな。とにかく、能力が超パワーじゃなく炎を出すって分かった以上、扱いは気をつけないとな」
空を見たらもう夕日で赤く染まっていた。
「そろそろ帰るか」
「私、もうちょっと試したいことがあることがあるからここに残るよ」
「あまり人に見られないようにな」
翌日。
学校の校門前まで来たときに他の生徒たちが空にある“何か”を見ている。そしてその“何か”は遠くからこっちに近づいてきていた。俺にはその正体にすぐ気付いていた。
校門前に颯爽と現れたのは、両手足から炎をジェット噴射のように出して飛んできた原賀だった。
「アイアンマンだな」
「確かにそこから考えたけどそれを口にはして欲しくなかったかな」
一緒に教室に向かう中で話を聞いたところ、あの後原賀は公園で色々試してみて、その内の一つとしてさっきの飛行能力を身につけたらしい。
「でもよ、さっきのスカート履いてると恥ずかしくねえか?」
「大丈夫!速過ぎて誰も分からないから」
俺には結構見えてたんだが、縞パンが。だがそれは口にしない。
「メインに考えてみたのがさっきの飛行と炎の弾丸」
「炎の弾丸?何だそのいかにも攻撃手段みたいな名前」
「やってみせようか?」
ここは2年生の教室エリア。
「原賀唯に北野奈々。杉田の奴、なんであんなに女にモテるんだよ!!」
物語のはじめにやられたボンボンこと神田利助は、噂の二人の1年女子に告られた杉田義羅を妬んでいた。
「でも本人は断ったらしいぞ。なのにその二人は以後アピールしてるって話だってよ」
「お前がちょっかい掛けた女が強かったって話だろ。精神的に」
「うるせえ!大体なぁ」
神田が何かを言いかけたその時、教室の入り口から声が飛んできた。
「神田利助せんぱーい!神田利助先輩はいますかー?」
今一番聞きたくない人間の声が。
「お、噂をすれば杉田だ」
「大声で呼ぶな杉田義羅!一体何の用…」
「Fire!!」
次の瞬間、赤黄色に光った何かが飛んできて自分の胸に当たり、衝撃で体制を崩して仰向けに倒れ、意識が飛んだ。
「こんな感じで相手を倒す」
原賀は人差し指と中指をまっすぐに伸ばして、拳銃のように二つの指先から炎の塊を飛ばしたのだ。これが彼女の言う“炎の弾丸”だそうだ。
「おおー良いな、ちゃんと調整もして傷も負わせないとは。狙いも正確Good job!」
「Good jobじゃねえ!!神田をサンドバッグにするな!いやそもそも今の警察沙汰だぞ!」とキレる神田のダチさん。
「「じゃ」」
「“じゃ”じゃねえ!!おい!戻ってこーい!!」
「「逃げるんだよ~!!」」
「いや学校でするなよ。警察が出動したらどうするんだよ!」と鈴村がさっそくツッコミ。
「そうなるとある意味ミュータント騒動だよな」
「だね」
「XーMANが次元越えて出動しても知らねえぞ。で?原賀の能力が実は炎を操るんだって?」
「そうそう、こんなふうに…」
そう言いながら原賀は鈴村の腕に手を触れさせた。多分ちょっとだけ熱を上げようとしたのだろう、だがそれからは何も起きず、少し間が空いた。
原賀は困惑した表情を浮かべていた。
「どうした?原賀」
「おかしい…能力が発動しない」
「なんでだ?」
「わからない。でも急に何も起きなくなったの」
(それってもしかして…)
「なあ原賀、いったん鈴村から手を離してやってくれ」
「?こう?あ、できた!」
原賀は問題なく今は炎を出せている。鈴村の腕に触れていた時だけ能力を発動できなかった。ということは、
「鈴村。お前能力は無いって言ってたよな」
「そうだけど…何?」
嘘はついてないようだ。となると・・・。
「鈴村、もしかしたらお前の右手は幻想殺し《イマジンブレイカー》かも・・・」
「俺、ツンツン頭でもないしあいつほど不幸になったことないけど?」
「ツッコむとこそこなの?」
「さて、色々試してみたが、鈴村。どうやらお前は無能力者じゃなく、無効化人間らしい」
「体のどこ触っても能力が使えなくなるなんてねえ」
「俺も能力者だったなんて驚きだよ。今でも信じらんねえし」
「つまり鈴村は体全体が幻想殺しってことだね」
「そのネタはもういいから」
場所は屋上に移っている。
本当にそれだけなのだろうか。普通能力は本人の意思で発動、または質を変えることができる。鈴村の場合もしかしたら、
「鈴村。ちょっと頭ん中で“衝撃を無効化”って考えながら身構えてくれないか」
「は?なんだ、いきなり」
「いいからはやく」
「お、おう」
鈴村は言われたとおり身構えてくれた。
「よーし、じゃあ動くなよー」
俺はそう言いながら近づいて、鈴村の顔に手を近づけて、
ピンッと、デコピンをした。だが、
「あれ?ギラって今俺にデコピンしたよな?」
「ああそうだ。でどうだった?」
「…何も感じなかった」
「え?それってどういう…」
「こりゃ面白い。今度は"重力を無効化"って考えてみてくれ」
「え、っておお!?」
その場の誰もが驚いた。鈴村の体が浮き始めたからだ。だんだん鈴村が風船のように空に上がろうとしている。
「2代目ウラビティの完成だな」
「言ってる場合か!お、おいこれどうやって止めるんだ?」
「考えて!さっきみたいに"無効化解除"って!」
「え、え〜と解・・・じょおぉぉぉぉ!?」
重力を取り戻したのか、鈴村はまっ逆さまにビターンと屋上に落ちてきた。
これは原賀に続いて超人の誕生かもしれない。
「何やってんだ?」
そこへ北野がやってきた。ちょっと試したいことが浮かんだ。
「おう北野。ちょうど良いところに」
「何?」
「おーい鈴村!」
「なんだぁ?」
「とりあえず、北野に本気で殴られてこい」
「つまりお前は俺に死ねと?」
「そんなひどいことさせねーよ、さっきみたいに衝撃を無効化してみ」
「・・・わかった」
二人に準備させて、俺と原賀は少し距をとった。
「なんでわざわざ衝撃無効にするの?鈴村の能力は素で相手の能力を無効化するんじゃ」
「ああ、北野の超パワーは能力じゃないからな」
「え!?」
「オラぁっ!!」
ズンッッ!!
人間相手に殴ったはずなのにものすごい音とともに、二人の間から衝撃の風が周囲に吹き荒れた。
正直、やる場所を間違えた。
(ここまでは考えてなかったな…)
改めて、二人を見てみると、やっぱり鈴村はなんともなくそこに立っていた。むしろどっかのワンパンで片付けるヒーローのように表情が死んでいた。
一方、北野は自分の自慢の拳が全く聞かなかったことに呆然としていた。
「これって・・・とんでもない能力じゃないか?ギラ」と驚く鈴村と、
「おい、ギラ!これってどういうことだ!?」ともっと驚いていた北野であった。
「鈴村のやつ、自分が能力者だってことに気付いてなかったみたいで」
「そっちじゃねえ!あたしが言ってんのはお前らのこと!」
多分、北野が言いたいのは原賀がさっきの衝撃で吹き飛ばされそうになったところで俺の右腕にしがみついて今もそのままでいるからだ。
あ、こっちね・・・。
「何どさくさに紛れてくっついてんだ!」
「これはその・・・吹き飛ばされそうになったから」と言い訳をする原賀。
それは自分の能力を使えば解決するんじゃと言いかけたが、多分乙女心が関係していると思い、黙っておいた。
「あたしだってやる!」
同じく乙女心全開の北野も俺の左腕に腕を通してきた。
「はっはっは。両手に花だなギラ。全くうらやまけしからん」
「それをそんな笑顔をしながら言わないでくんない?」
マジ怖いわー。
そこで原賀が突然、
「ねえ、せっかくだしLUMEでこの4人でグループ作らない?」
と提案を出してきた。
「お、それ良いな。グループ名どうする?」
「じゃあ"とんでも能力をを持った超人たちの集まり"はどう?」
「そんな今どきの小説のタイトルっぽいのはやめろ、却下だ」
「単純に"拳"はどうだ?」
「単純ってのは良いけどそれだと木刀で戦うギラが残っちゃうし」
なかなか意見が合わない3人。
俺はちょうど良いと思う名前があるが。
「ギラはどうなの?」
突然、原賀が俺に意見を求めてきた。それに続いて鈴村と北野も期待の目を向けてきた。
「・・・ブレッツはどうだ?」
「「?」」
「それ、どういう意味?」
「英語の綴りではBULLETS。意味は弾丸の複数形。名前を考えた理由は弾丸の如く発射したら止まることなく行動する者たちってところからだ」
「へぇ、その考え方良いね、気に入った!」
「あたしたち自身が弾丸か、悪くないね」
「よし、決まりだ!今日から俺達は...」
「「「「BULLETSだ!!」」」」
これから先、このたったの4発の弾丸から、更に何発もの弾丸に増えていくことを、彼らはまだ知る由もなかった。